インスタなどSNSで人の顔写真を勝手に載せる罪と拡散の対処法は?

SNS写真ネット誹謗中傷

友人や会社の同僚などと撮影した写真を、勝手にSNSにアップする行為は、ネット上のマナー違反を超えて「罪」になるのでしょうか?

最近も中学生や高校生がSNS上に勝手に自分の写真を投稿して、本人にとって実害が生じてしまうこともありました。

勝手に投稿された自分の写真から思わぬトラブルに巻き込まれないように、不本意な写真については削除を求めたいところです。

自分の姿などをみだりに撮影されない権利は、法律上「肖像権」として議論されています。

この記事では、知恵袋などでも話題になりがちな、インスタやfacebook、ツイッターなどのSNSで自分の写真・顔写真を勝手に載せられた・許可なく使われた・拡散された場合の対処法について、中学生や高校生でも理解できるよう肖像権と絡めて解説します。

なお、かなり悪質な拡散行為を受けている場合、急いで対処する必要がある方、削除依頼の方法がわからない方は、すぐに弁護士に相談したほうが良いでしょう。

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 SNS上で勝手に自分の写真を載せられるとどうなる?

SNSで勝手に自分の写真を公開されてしまった場合、単純に写りが悪い・気分が悪いといった感情的な不満が生じるだけでなく、以下のような実害が生じてしまう可能性があります。

個人的な情報の流出に繋がる

SNSに投稿された写真からは、たとえばいつどこで誰と会っていたのかという行動に関する情報や、普段の交友関係に関する情報を窺い知ることができます。

自分で投稿した写真であれば、これらの情報が拡散されることは自己責任の問題として片づけられますが、他人が勝手に自分の写真をアップした場合、自分のあずかり知らぬところで個人的な情報が拡散されてしまうことに繋がります。

プライバシーの重要性が高まっている現代においては、こうした事態は避けるべきでしょう。

第三者から思いがけないクレームを受けることがある

写真に写りこんでいる内容について、投稿を見た第三者から思わぬ指摘やクレームを受ける可能性があることにも、SNS全盛の時代においては注意しなければなりません。

たとえば、

  • 勤務時間中に遊んでいたのではないか
  • 不倫や浮気をしていたのではないか
  • 未成年の異性と交際していたのではないか
  • 食べ物を粗末にしたのではないか

など、重いものから軽いものまで、さまざまなパターンのクレームにより、インターネット上の炎上に巻き込まれてしまうことにもなりかねません。

他人の勝手な投稿が原因で、こうした炎上に巻き込まれてしまうのは、不条理というほかないでしょう。

人の写真を勝手に載せられると、客寄せに使われる

ビジネスマン・スポーツ選手・タレントなどとしてある程度の知名度がある方は、容貌を撮影した写真自体に集客効果という経済的価値があります。

本来であれば、本人または写真利用を許諾された人だけが、こうした経済的価値を享受できてしかるべきです。

しかし、有名人の写真を無断で商業利用された場合、そのイメージへの「ただ乗り」を許すことに繋がるので、何としてもやめさせなければなりません。

また個人の写真の場合でも、容姿端麗な場合は、マッチングサイト・出会い系サイト詐欺の写真に利用されるケースもあります。

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肖像権とは?|人の写真を載せるとどうなる

SNS上に無断で他人の写真をアップする行為については、「肖像権」の侵害が問題となります。
肖像権には、「人格権」と「パブリシティ権」の2種類が含まれるとされています。

人格権

肖像権のうち「人格権」は、自己の容貌などを承諾なくみだりに撮影されない権利を意味します(最高裁昭和44年12月24日判決参照)。

また、それと同時に、自己の容貌などを撮影した写真をみだりに公表されない人格的利益も認められています(最高裁平成17年11月10日判決)。

パブリシティ権

一方「パブリシティ権」は、人の氏名や肖像などが持つ顧客吸引力を商業的に利用する権利をいいます(最高裁平成24年2月2日判決)。

スポーツ選手やタレントなどの有名人の写真などを販売したり、その写真を使ってイベントの集客を図ったりすることは、パブリシティ権を有する本人か、または本人の許諾を受けた人にしか認められないのです。

肖像権侵害になるケース、ならないケース

SNS上に勝手に人の写真を載せる行為が肖像権侵害に該当するかどうかの基準については、一連の最高裁判例によって大まかな目安が示されています。

肖像権侵害の有無を判断するための考慮要素

最高裁が示した、肖像権侵害の有無を判断するための基準を、人格権侵害とパブリシティ権侵害のそれぞれについて見てみましょう。

①人格権侵害の基準

最高裁平成17年11月10日判決(毒物混入カレー事件)は、刑事被告人の法廷での姿を無断で撮影した写真などを写真週刊誌が公開した事件に対する判決です。

同判決は、容貌などの無断撮影が不法行為法上違法となるかどうかについて、

  • 被撮影者の社会的地位
  • 撮影された被撮影者の活動内容
  • 撮影の場所
  • 撮影の目的
  • 撮影の態様
  • 撮影の必要性

などを総合考慮して、人格的利益の侵害が社会生活上受忍の限度を超えるものといえるかどうかで判断すべきとしました。

②パブリシティ権侵害の基準

最高裁平成24年2月2日判決(ピンク・レディー事件)は、有名女性歌手の写真を、写真週刊誌が無断で記事中に使用した事件に対する判決です。

同判決では、肖像などを無断で商業利用する行為が不法行為法上違法となるのは、

  • 肖像それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品として使用している
  • 商品などの差別化を図る目的で肖像を商品に付している
  • 肖像を商品の広告として使用している

など、「専ら肖像などの有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合」であると判示しました。
その反面、あくまでも記事の内容を補足する目的で肖像などが使用されているに過ぎない場合には、パブリシティ権の侵害には当たらないとしました。

肖像権侵害になるケースの例

上記の最高裁の基準を踏まえると、SNSへ無断で写真を投稿する行為が肖像権侵害に該当する例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 風呂やトイレなどのプライベートな行為を撮影した場合
  • 鍵のかかる室内などのプライベートな空間で写真が撮影された場合
  • 本人に撮影している旨を伝えずに隠し撮りをした場合
  • 本人に無断で写真を販売した場合
  • 写真を用いて広告宣伝活動を行った場合
    など

肖像権侵害にならないケースの例

一方、以下のようなパターンについては、肖像権侵害とまではいえない可能性が高いでしょう。

  • 一般的な友人同士の食事会の風景を撮影した場合
  • 屋外など公の空間で写真が撮影された場合
  • 本人がわずかに写りこんでいるにすぎない場合
  • 広告宣伝目的の写真掲載だとしても、本人のイメージを集客に利用しているとは認められない場合(大勢で写っている場合など)

勝手に載せること自体には罪にならない

上記のように、インスタやツイッターなどのSNSに人の写真を勝手に載せることは肖像権侵害になる場合があります。

ただし、肖像権の侵害行為を「処罰」する法律はなく、罪に問われて警察に逮捕されたり刑罰が課されることはありません。

ただ、写真とともに誹謗中傷行為が行われた場合は、名誉毀損罪・侮辱罪が成立する可能性はあります。

顔写真拡散・勝手に許可なく顔写真をSNSに出された場合の対処法は?

勝手に許可なく顔写真をSNSに出されり、拡散されるなど、肖像権侵害の被害に遭った場合、以下の方針に従って対応しましょう。

投稿者に写真の削除を求める

投稿者と面識があるのであれば、基本的には当事者同士の話し合いで問題を解決するのが一番です。
投稿者にメッセージを送って、問題となる写真を削除するように求めましょう。

投稿者との関係性が良好であれば、削除の要請に素直に応じてくれることも多いです。

損害賠償請求・差止請求をする

一方、投稿者が悪意をもって写真を投稿している場合や、投稿を原因とした炎上による実害が発生している場合などには、損害賠償請求・差止請求を行うことも有力な選択肢となります。

裁判上の手続きにより損害賠償請求・差止請求を行う場合には、権利・利益侵害の根拠や、実際に生じている損害の内容などについて、証拠により立証または疎明する必要があります。
そのため、事前に周到な準備を整えることが必要不可欠です。

このように、当事者同士だけでは問題解決が難しい場合には、弁護士にご相談ください。
弁護士に相談をすると、損害賠償請求・差止請求など、必要となる法律上の手続きをスムーズに取ることができます。
また、弁護士が投稿者や裁判所などとのやり取りを代行してくれるため、依頼者の負担は大きく軽減されます。

なお、かなり悪質な拡散行為を受けている場合、急いで対処する必要がある方、削除依頼の方法がわからない方は、すぐに弁護士に相談したほうが良いでしょう。

弁護士の初回相談自体は無料のケースも多いです。弁護士探しは、全国対応のネット誹謗中傷に強い弁護士を掲載している「ネット誹謗中傷弁護士相談Cafe」で探すことをおすすめします。

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まとめ

今回は知恵袋でも話題になりがちな顔写真の拡散された場合について解説しました。

SNS上に自分の写真が無断投稿された場合、悪質なケースでは肖像権侵害として、損害賠償請求・差止請求の対象となります。

実際に権利侵害が生じているかどうかは、法律的な詳しい検討が必要ですので、一度弁護士にご相談ください。

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