WEBコンテンツと著作権

基礎知識

WEBコンテンツを作成する際には、文章や画像などの著作権を気にすることが多くありますので、個人的に調査してまとめてみました。
あくまでも個人的なまとめですので、間違いがあってもご容赦ください。

保護する対象

著作物

著作権法上の主な保護対象は「著作物」であり、次の4つすべてを満たすものを言います(著作権法第2条1項1号)。

  • 思想または感情
  • 創作的
  • 表現
  • 文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する

思想または感情

著作物は「思想または感情」である必要があります。つまり、著作者自身の精神的活動に基づいていることが必要で、単なる事実の羅列にすぎないものは著作物ではありません。
ただし、素材や情報の集合物は、選択または配列・構成に創作性があれば編集著作物・データベースの著作物として保護される場合があります(著作権法第12条)。

表現したもの

著作物は「表現したもの」である必要があります。抽象的なアイデア自体(技術思想等)は、著作物には該当しません。つまり、頭の中で思っているものであっても、外に表現されていなければなりません。

創作的

著作物は「創作的」である必要があります。単なる表現ではなく、その表現の中に著作者の個性が何らかの形で現れていなければなりません。
芸術性や独創性までは不要ですが、誰が表現しても同じになる場合は創作性がありません。

文芸、学術、美術または音楽の範囲に属する

著作物は「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」である必要があります。工業製品は著作物には該当しません。

保護を受ける著作物の範囲

著作権の保護を受けるためには、著作物であることに加え、次のいずれかを満たす必要があります(著作権法第6条)。

  • 日本国民の著作物
  • 最初に日本で発行された著作物(発行地主義)
  • 条約により保護される著作物

日本国民の著作物

住所地に関わらず、日本国民の著作物であれば、著作権の保護対象になります。日本国の法律に基づいて設立された法人および国内に主な事務所を有する法人の著作物も対象です。

最初に日本で発行された著作物

日本国民の著作物でなくても、最初に日本で発行された著作物は、保護されます。
なお、最初に外国に発行された日から30日以内に日本で発行されたものも含まれます。

条約により保護される著作物

日本国が加入している著作権に関する国際条約で規定されている著作物も保護されます。該当する国際条約として、ベルヌ条約、万国著作権条約、TRIPs協定等があります。

著作物の種類

著作権法第10条では、次のようなものが著作物として例示されています。

(著作物の例示)
第10条  この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一  小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二  音楽の著作物
三  舞踊又は無言劇の著作物
四  絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五  建築の著作物
六  地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七  映画の著作物
八  写真の著作物
九  プログラムの著作物
2  事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3  第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一  プログラム言語 プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二  規約 特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三  解法 プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

WEBコンテンツにおいては、小説、脚本、論文、講演、詩歌、俳句、随筆、商品のマニュアル等が「言語の著作物」に該当します。

「言語の著作物」に該当するためには、思想・感情が創作的に表現されている必要があります。よって、単なる事実の伝達にすぎないニュース記事や報道資料は「言語の著作物」になりません。また、キャッチコピー、見出しなど、創作的な表現を織り込むのに不十分な短い表現も、「言語の著作物」には該当しません。

ただし、「そうだ 京都、行こう。」などの、特定の者が利用しているよく知られたキャッチフレーズを営利利用した場合、著作権侵害にはなりませんが、民法第709条の不法行為の責任を問われる可能性があります。

著作者人格権と著作権

著作者の権利は大きく著作者人格権著作権(財産権)に分けられます。
一般的に「著作権」と呼ばれているものは、この二つを含めた広義的な著作権を指すと考えられます。

著作権に関する争いが起きた場合、どの条文の何の権利の侵害に該当するのかを特定する必要があります。
WEBコンテンツの場合、複製権(21条)と公衆送信権(23条)の2つが絡むことが多いです。

著作者人格権公表権18条
氏名表示権19条
同一性保持権20条
著作権(財産権)複製権21条
上映権・演奏権22条
上映権22条の2
公衆送信権・伝達権23条
口述権24条
展示権25条
頒布権26条
譲渡権26条の2
貸与権26条の3
翻訳権・翻案権等27条
二次的著作物の利用に関する許諾権28条

複製権(21条)

複製権とは、手写、印刷、写真、複写、録音、録画など、どのような方法であっても、著作物を有形的に再製することに関する排他的権利です。複製権は著作権の中でも最も基本的な権利です。

著作者の許諾なしに著作物を複製すると「著作権侵害」となります。たとえ一部であっても、それが著作物としての価値を持つものであれば該当し、無許諾で複製すると著作権侵害になります。

複製権侵害の要件として、判例では「同一性」のほかに「依拠したこと」も必要としています。つまり、元の著作物の内容を知らずに自ら創作したものが、たまたま原著作物と同じ内容であった場合は、元の著作物に依拠していませんので、複製には該当しません。

公衆送信権(23条1項)

公衆送信権とは、著作物を公衆送信する(不特定多数の人に電磁的方法で送信する)権利です。

公衆送信には、無線型有線型の2種類があります。また、一斉送信型(同一の内容が同時に受信される)とオンデマンド型(公衆の求めに応じて送信する)に分けられます。それぞれ次表のように整理されます。

無線送信有線送信
一斉送信型放送
(テレビ、ラジオ等)
有線放送
(ケーブルテレビ、有線音楽放送等)
オンデマンド型自動自動公衆送信(インターネット、オンラインサービス等)
送信可能化行為(サーバへのアップロード等)
手動手動公衆送信(FAX等)

許諾なく著作物を利用できる場合

著作権法では、著作物の公正かつ円滑な利用の観点から、著作者の許諾なく著作物の利用ができる範囲を定めています。

民間営利企業におけるWEBコンテンツ制作で絡むのは、引用(32条)になります。

私的利用のための複製30条
図書館等における複製31条
引用32条
教育上の利用33条~36条
福祉目的の利用37条、37条の2
営利を目的としない上演等38条
報道目的の利用39条~41条
司法・立法・行政上の利用42条~43条
放送上の一時的固定44条
美術の著作物等の利用45条~47条の2
プログラムの著作物の利用47条の3
電子計算機での利用に付随する利用等47条の4
電子計算機によるサービス提供に付随する軽微利用等47条の5
翻訳、翻案等による利用47条の6

WEBコンテンツ制作で著作権が絡むケース

記事

WEB上の文章も、思想・感情を創作的に表現したものであれば、著作物となります。ニュース記事は単なる事実の羅列ですので著作物ではありませんが、表現に工夫が見られたり、著作者の意見が入っている文章は著作物となります。よって、WEB上に公開されている多くの記事は、ひとまずは著作権の保護の対象となると考えたほうが良いでしょう。これらの記事を丸ごとコピーして自らのWEBサイトに掲載した場合には、複製権および公衆送信権の侵害となる可能性が高くなります。

ただし、著作権の保護対象は、「思想・感情の創作的表現」であり、表現された文章そのものを保護するものですから、そこで書かれた内容を参考にして別の表現で新たに文章を作成した場合には、複製には当たらないと解釈されます。料理のレシビ、裁判の手続き方法など、ノウハウ自体は著作物ではありませんので、著作権で保護することはできません。商品の製造方法や考案などを保護したいのであれば、特許権・実用新案権など別の権利にて保護することになります。

ただし、ある特定の者が独占的に利用しているノウハウに関する文章を、別の表現に変えて無断で利用した場合、著作権侵害には該当しませんが、民法上の不法行為の責任を問われる可能性はあります。

画像・写真

画像・写真は、著作権法第10条1項の美術の著作物(4号)または図形の著作物(6号)、写真の著作物(8号)に該当し、典型的な著作物に当たります。
これらを無許諾で自らのWEBサイトで利用すれば複製権および公衆送信権の侵害に当たります。

インターネット上で公開されている画像・写真の利用に当たっては、無償/有償を問わず、その画像に関するライセンスをよく確認してから利用する必要があります。

リンク

「リンク」とは「ハイパーリンク」とも呼ばれ、他のページあるいはWEBサイトのURLを自らのサイト内に記述することですが、著作権侵害には当たりません。なぜなら、単に相手のサイトの住所であるURLを書いただけであり、コンテンツを複製してはいないからです。

たとえ、リンク先のサイト管理者がリンクを貼ることを許可していなかったとしても著作権侵害にはなりません。

サイトのトップページではなく下層のページに対してリンクを貼ることを「ディープリンク」と呼ぶこともあるようですが、これも通常のリンクと同じく著作権侵害には該当しません。

ただし、ログインしないと閲覧できないような会員サイトで、リンク先のサイト管理者が、リンクを貼ることを禁止しており会員登録の際にそのことに同意している場合は、無断でリンクを貼ると、債務不履行の責任を問われる可能性があります。要するに、約束事を守らなかったということになります。

埋め込み画像、フレーム内リンク

自らのサイトのimgタグに第三者サイトのURLを記述することで、リンク先サイトの画像をあたかも自らのサイトに表示されているかのように見せることができます。閲覧者側からすると、その画像が自らのサイトに置かれているのか、相手のサイトに置かれているのか、すぐには区別がつきません。

この場合でも、画像はあくまでもリンク先サイトに置かれていて読みだして表示しているだけであり、自らのサイトに置かれているわけではありませんので、複製権侵害には当たりません。

imgタグによる画像表示の仕組みを理解すれば納得できるでしょう。
ブラウザはまずサイトにリクエストを送り、返されたコンテンツ(多くの場合、HTMLファイル)を解釈します。その中にimgタグがあれば、改めてそのサイトにリクエストを送り、返された画像を表示します。つまり、imgタグでは画像のURLを示しているだけであり、ブラウザが直接リンク先サイトから画像を取得して表示しています。通常のリンクとなんら変わらないことがわかります。

引用

適切な方法で引用した場合には、たとえ相手の許諾を得ていなかったとしても、複製権の侵害には当たりません。

適切な引用と認められるためには、次のような要件を満たす必要があります。

  • 明確に区別されていること
  • 主従関係があること
  • 引用することに必要性があること
  • 引用の範囲が適切であること

(引用)
第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
2  国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

明確に区別されていること

どこからどこまでが引用文であるか明確にわかるようになっていなければなりません。たとえば「」『』などの記号を利用したり、別のフォント・色・デザインにしたりするなどして、本文と引用分の区別が明確になるようにします(上記は著作権法の引用ですが、blockquoteタグを利用し、その部分のデザインをCSSで変えています)。

主従関係があること

あくまでも本文がメインで、引用分はそれを補完するものでなければなりません。引用分のほうが文章量が多かったり、本文にほとんど内容がなかったりすると、主従関係が逆転し、侵害になるおそれがあります。

引用する必要性があること

客観的に見て、引用することが必要であるかどうかです。本文の内容に対する客観的証拠やデータを示すために引用することは、必要性があるといえるでしょう。

引用の範囲が適切であること

引用の範囲が適切であることも必要です。たとえば、ある一文を引用すれば事足りるのに、全文を引用したとしたら、範囲が不適切となります。
本文内で何度か別の箇所を引用する場合には、最後のほうにまとめて引用するよりも、それぞれの場所で適切な範囲で引用したほうが良いでしょう。

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