交通事故通院1日でも慰謝料をもらえる?軽症・通院日数が少ない場合

交通事故

交通事故の被害に遭った場合、加害者側に対して賠償を請求できる損害項目・示談金の中に「通院慰謝料」というものがあります。

たとえ短期間であったとしても、通院により治療を行った事実があれば、通院慰謝料を受け取れる可能性があります。

この記事では、軽症で「通院日数が少ない場合」にもらえる、慰謝料は通院1日だけでもらえるのか?通院慰謝料の相場・計算方法、1日いくらなのか?全治一週間ならいくらか?などについて詳しく解説します。

なお、軽症の場合は慰謝料について弁護士に依頼してもほとんど金額はアップはせず、費用倒れになるケースがほとんどですが、ご自身が加入する任意保険に「弁護士特約」というオプションを付いていれば相談する価値はありますので、下記サイト等で確認してみてください。

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示談金の一部:「通院慰謝料」とは

「通院慰謝料」は、交通事故によって生じたケガを治療するために通院を強いられたことに関して、被害者が負った精神的損害を補償するものです。

示談金の一部である治療費や交通費などは、もちろん実費として損害賠償の対象になりますが、通院慰謝料についても対象となり、支払いを受けられます。

通院慰謝料の金額の計算方法・相場については、後で詳しく解説しますが、通院日数や治療期間に応じて算出されることになっています。

通院日数が多い方が通院慰謝料を多くもらえる?

通院日数が少ない場合、もらえる通院慰謝料の金額が少なくなってしまうのではないかと不安になる方も多いでしょう。

実際のところ、通院日数が多い方が、通院慰謝料を多くもらえるのでしょうか。

交通事故実務における取り扱いを詳しく見てみましょう。

原則として通院日数が多い方が通院慰謝料の金額は増える

結論としては、多くのケースにおいて、通院日数が多い方が、受け取ることのできる通院慰謝料の金額は増えます。

通院慰謝料の金額は、後述する「通院慰謝料の算定基準」に従って、治療日数に応じて支払われます。

治療日数は、原則以下の2つのうちいずれか少ない日数が用いられます。

・総治療期間の日数
・実際に通院した日数×2

通院の頻度が低い場合には、上記のうち「実際に通院した日数×2」の数字の方が小さくなりますので、それがそのまま治療日数となります。

たとえば1日しか通院しなかった場合、治療期間は「2日」となりますので、2日分の通院慰謝料しかもらえません。

通院日数が増えれば増えるほど、「実際に通院した日数×2」の数字が大きくなりますので、その分もらえる通院慰謝料の金額も増えるというわけです。

高頻度の通院は意味なし!2日に1回以上のペースで通院すると頭打ちになる

ただし、2日に1回以上のペースで通院した場合には、上記のうち「総治療期間の日数」の方が大きくなります。

たとえば、1か月(30日間)の間に15日通院した場合、慰謝料計算で利用する治療日数は「30日」となります。

この期間に20日、25日と通院日数を増やしたとしても、治療日数は「30日」で変わりません。

このように、2日に1回以上のペースで通院した場合には、認められる通院慰謝料の金額は頭打ちとなることに注意が必要です。

慰謝料を計算する際の3つの基準

通院慰謝料の計算にあたっては、実務上用いられている3つの基準がありますので、それぞれの基準の考え方と併せて解説します。

通院慰謝料を計算する際には、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」という3つの基準が用いられます。

それぞれの基準の概要は以下のとおりです。

①自賠責保険基準

加害者が加入している自賠責保険から支払われる保険金を計算するための基準です。

自賠責保険は、被害者に対して「最低限の補償」を提供することを目的としているため、実際の損害よりも保険金額は抑えられた水準となります。

②任意保険基準

加害者が加入している任意保険会社が、保険金額を最初に提示する際に用いる基準です。

金額水準としては、自賠責保険基準と弁護士基準の間に位置しています。

ただし、保険金額は被害者と任意保険会社との交渉によって決定されるため、任意保険基準に従って計算された保険金額を受け入れる必要はありません。

③弁護士基準

弁護士基準は、裁判例に照らして、被害者が受け取るべき損害賠償の金額を客観的に算定するために用いられる基準です。

3つの基準の中では被害者にもっとも有利な基準ですが、裁判になれば、基本的には弁護士基準により算定された金額の損害賠償が認められます。

弁護士を代理人として任意保険会社との保険金支払い交渉を行うことによって、弁護士基準によって計算された金額を保険金として支払うことを基本線として、交渉を進めることが可能です。

通院1日ごとに通院慰謝料はいくらもらえる?

それでは、通院1日ごとに通院慰謝料はいくらの金額を受け取れるのでしょうか。

通院慰謝料の日割額|1日だけ通院した場合は?

先述した「自賠責保険基準」と「弁護士基準」における、治療期間1日当たりの通院慰謝料の金額を見てみましょう(なお、任意保険基準は各保険会社によって異なり、非公開とされています。)

①自賠責保険基準における通院慰謝料の日割額

自賠責保険の通院慰謝料は、治療期間1日あたり4300円です。

これは一律の金額であり、治療期間が長くなるほど、比例的に通院慰謝料の金額も増えることになります。

②弁護士基準における通院慰謝料の日割額

一方、弁護士基準における通院慰謝料の金額は、治療期間1か月ごとに、以下の表のとおり目安相場が定められています。

他覚症状がない場合

(むちうち、打撲など)

他覚症状がある場合

(骨折など)

1か月19万円28万円
2か月36万円52万円
3か月53万円73万円
4か月67万円90万円
5か月79万円105万円
6か月89万円116万円
7か月97万円124万円
8か月103万円132万円
9か月109万円139万円
10か月113万円145万円

上記の表からは、治療開始初期の通院に多めの金額が割り振られており、治療日数が増えるほど、1日当たりの通院慰謝料の金額は減っていくことが分かります。

なお、1か月に満たない治療日数が発生する場合には、上記の金額について日割り計算(1か月=30日)を行い、通院慰謝料の金額を計算することになります。

以下で、具体的な例を見てみましょう。

軽症の通院慰謝料の相場・計算例を紹介|骨折・むちうち等

軽症のため通院日数が少ないケースを中心として、通院慰謝料の金額の計算例を見てみましょう。

自賠責基準での計算で8600円(旧8400円)のケース

通院が1日だけの場合、通院慰謝料の金額を計算する基礎となる治療日数は、以下のとおり求められます。

治療日数
=実際に通院した日数×2
=2日

治療日数2日の場合において、自賠責保険基準・弁護士基準による通院慰謝料を計算すると、以下のとおりとなります(小数点以下四捨五入)。

■自賠責保険基準
4300円×2日
8600円(*以前は8400円でしたが、令和2年4月1日に自賠責基準が改正され8600円)

■弁護士基準
①他覚症状がない場合(むちうち、打撲など)
19万円÷30×2=12667円

②他覚症状がある場合(骨折など)
28万円÷30×2=18667円

なお、他覚症状のないむちうちの慰謝料についての計算は、下記のページもご参考ください。

交通事故によるむちうちの慰謝料を計算|通院3ヶ月・6ヶ月の場合
交通事故に遭った場合、身体に強い衝撃が加わり「むちうち(頚椎捻挫)」になってしまうケースが、主婦・学生・社会人に限らず、よく見られます。 交通事故でむちうちになってしまった場合、加害者側に対して慰謝料などの示談金・損害賠償の請求が可能...

全治一週間の慰謝料相場|1週間「毎日通院」すると?

1週間(月曜から土曜の6日間とします)毎日通院して、その時点で治療が完了した全治一 週間の怪我の場合、2日に1回以上のペースで通院しているため、通院慰謝料の金額を計算する基礎となる治療日数は「総治療期間の日数」となります。

治療日数
=総治療期間の日数
=6日

治療日数6日の場合において、自賠責保険基準・弁護士基準による通院慰謝料を計算すると、以下のとおりとなります。

・自賠責保険基準
4300円×6日
25800円

・弁護士基準
①他覚症状がない場合(むちうち、打撲など)
19万円÷30×6=38000円

②他覚症状がある場合(骨折など)
28万円÷30×6=56000円

全治一週間の慰謝料相場は、通院1日だけと比較すると、かなり金額が大きくなることが分かります。

事故で通院5日だけ!全治1ヶ月の慰謝料の場合

総治療期間が1か月間であり、その間に5日だけ通院した場合、通院ペースは2日に1回未満ですので、通院慰謝料の金額を計算する基礎となる治療日数は、「実際に通院した日数×2」となります。

治療日数
=実際に通院した日数×2
=10日

治療日数10日の場合において、自賠責保険基準・弁護士基準による通院慰謝料を計算すると、以下のとおりとなります(小数点以下四捨五入)。

・自賠責保険基準
4300円×10日
43000円

・弁護士基準
①他覚症状がない場合(むちうち、打撲など)
19万円÷30×10=63333円

②他覚症状がある場合(骨折など)
28万円÷30×10=93333円

全治一週間と比較すると、さすがに事故で通院5日だけとはいえ、全治1ヶ月の慰謝料金額が高くなることが分かります。

通院日数が少ない場合の注意点

通院日数が少なくなる理由は、さまざまですが、一例としては以下の注意点があります。

治療の効果が感じられず足が遠のいてしまうのは注意

むち打ちやヘルニアなどのケガを治すために通院してみたものの、医師が行う治療によって症状が改善していることを感じられない場合には、治療の意味を見いだせずに通院をやめてしまうケースもしばしば見られるところです。

しかし、ケガが完治していないにもかかわらず、自分だけの判断で通院をやめてしまうことは、後遺障害のリスクを引き上げることにも繋がりますし「慰謝料も減額」されてしまう可能性があります。

医師を信用できないと感じている場合には、他の医師の診察を受けるなどして、通院を再開することをお勧めいたします。

仕事などが忙しく通院の時間がとれない場合も注意

仕事などが忙しい方にとっては、病院に通う時間を取りづらい場合もあるかもしれません。

しかし、定期的に通院しなければ後遺障害のリスクが高まりますし「慰謝料も減額」されてしまう可能性があるので、曜日や時間を決めて通院を行うことが望ましいでしょう。

面倒くさい気持ちに注意

「面倒だから」という単純な理由で通院をやめてしまうケースも多いです。

特に病院が自宅から遠いようなケースでは、通院時間が無駄に思えて、病院から足が遠のいてしまうことも多いようです。

しかし、ケガの症状が悪化していないかについて、定期的に医学的な見地から確認してもらうことはきわめて重要です。

面倒だからという理由で通院をやめてしまった方は、ケガが完治していないのであれば、速やかに通院を再開しましょう。

まとめ

通院日数が少ない場合であっても、治療日数に応じた通院慰謝料の支払いを受けることが可能です。

ただし、通院日数が増えた方が通院慰謝料の金額相場は増え、結果的に示談金も増えます。

何より通院は後遺障害が残ることを防ぐために非常に重要ですので、定期的に通院することをお勧めいたします。

通院慰謝料を含めて、交通事故によって生じた損害について任意保険会社に支払いを求める際には、弁護士に相談することが得策です。

弁護士を代理人として保険金支払い交渉を行えば、被害者に有利な弁護士基準により計算された保険金の支払いを受けることができます。
また、面倒な申請や交渉の手続きを弁護士に任せることができるため、被害者の精神的・時間的な負担も大きく軽減されるでしょう。

交通事故の被害に遭ってしまった方は、お早めに弁護士までご相談ください。

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