ぼったくりバーと法律|警察は動かない?逃げちゃダメ?対処法は?

身近な法律問題

ペアーズなどのマッチングアプリで知り合った女性に連れられて、あるバーに行ってみると、カクテルを1杯しか飲んでいないのに、数万円、数十万円もの高額を請求してくる「ぼったくりバー」。

  • このようなぼったくりバーを規制する法律や条例はないのでしょうか。
  • ぼったくりバーに入ってしまった場合は、警察は動いてくれるのでしょうか。
  • ぼったくりに対して支払いを拒むことや、ぼったくりだから支払いたくないといって逃げてしまうことはできるのでしょうか。
  • クレジットカードで支払ってしまった場合はどうすればいいのでしょうか。

この記事では、ぼったくりバーにまつわる法律問題について、分かりやすく解説していきます。

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ぼったくりとは?

「ぼったくり」とは、法外な値段を無理矢理支払わせることをいいます。

もちろん、お店には商品の値段を「自由に決める権利」があり、そのため、ワイン1杯5万円に設定することも、お店の自由であり、違法ではありません。

メニュー表には「ワイン1杯5万円」と表示されており、お客さんもそれを分かった上で1杯5万円のワインを注文したのなら、お客さんは5万円を支払う義務がありますし、ぼったくりにはなりません。

しかし、メニュー表に商品の値段を記載していなかったり、記載していたとしても店員がうまく接客することで値段の表示を見せずに注文させて、高額の代金を請求するような行為はぼったくりであり、違法となります。

したがって、商品の値段を適正に表示しているか否かが、ぼったくりにあたるか否かの判断基準になるといえるでしょう。

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ぼったくりバーを規制する条例・法律はある?

各自治体は、「ぼったくり防止条例」という条例を制定しています。
以下では、大阪府のぼったくり防止条例について紹介します。

ぼったくり防止条例の正式名称

大阪府における「ぼったくり防止条例」の正式名称は、「大阪府酒類提供等営業に係る不当な勧誘及び料金の不当な取立ての防止に関する条例」といいます。

ぼったくりに限らず、不当な客引きなどについても定められた条例です。

キャバクラ・ガールズバーの名称を用いてなくても規制対象

この条例が規制の対象とするのは、「酒類提供等営業」です。

「酒類提供等営業」の第2条によれば、「キャバクラ」や「ガールズバー」などの名称を用いていなくても、お客さんにお酒を提供し、歓楽的な雰囲気を醸し出しておもてなしを行い、不当な勧誘や不当な取り立てをするようなお店は、この条例の規制対象となります。

料金の表示義務

条例第3条は、料金の表示義務について、次のように定めています。

<第3条>
「酒類提供等営業を営む者は、公安委員会規則で定めるところにより、その営業所において客に見やすいように料金を表示しなければならない。」

つまり、お客さんに料金を確認できないようにしたまま注文させ、高額の支払いを請求することは、この条例に違反することになります。

不当な誘惑の禁止

第5条は不当な誘惑について、次のように定めています。

<第5条>
「営業者又は酒類提供等営業に係る勧誘の委託を受けた者は、人を当該酒類提供等営業の客となるよう勧誘するに当たっては、次に掲げる行為をしてはならない。
①料金について、不実のこと又は実際のものよりも著しく低廉であると誤認させるようなことを表示し、又は告げること。
②声をかけ、又はビラ、パンフレット等を配り、若しくは提示してつきまとうこと。
③勧誘を拒む者の身辺から立ち退こうとせず勧誘を続けること。」

少し分かりにくい条文かもしれませんが、実際は1杯5万のワインを、あたかも1000円であるかのように装う行為や、つきまとってお店に来るようしつこく勧誘したりする行為を禁止しています。

条例に違反したらどうなる?

この条例に違反してぼったくり行為を行った場合は、その店は6月を超えない範囲内で期間を定めて「営業停止」を命じられる可能性があります(第8条)。

また、条例には罰則も定められており、たとえば先ほど解説した第5条第1号に違反してぼったくり行為を行った場合には、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処されることになります(第13条第1号)。

そのため、警察に逮捕される可能性もあるといえます。

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ぼったくりバーに入ってしまった場合、支払いを拒んでもいい?

ぼったくりに対しては、法律上、支払いを拒むことができます。
理由は、①金額の合意がないこと、②公序良俗に反すること、の2点が考えられます。
以下、それぞれについて解説します。

金額の合意がないこと

「契約の成立」においては、各当事者が商品の内容と金額を合意する必要があります。

飲食店では、商品の値段が表示されていますので、お客さんが商品の内容と金額を理解した上で注文をすれば、契約が成立したことになります。

1杯5万円のワインを、お客さんにあたかも「1杯1,000円」であると思いこませ、注文させたのであれば、お客さんは「ワイン1杯1,000円」の理解しかしておらず、「ワイン1杯5万円」の合意はなされていないといえます。

したがって、そもそも契約は成立していないことになりますので、お客さんは5万円の支払いを拒むことができます。

公序良俗に反すること

公序良俗とは?

民法第90条は「公序良俗」について、次のように定めています。

<第90条>
「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。」

「公序良俗」とは、簡単に言うと、「社会生活において非常識な行為」のことをいいます。

民法は、この非常識な行為については、たとえ契約が成立していたとしても「無効にする」としています。

そのため、コンビニで買えるような激安ワインを提供し、その他チャージ料等を不当に付け加えて、ワイン1杯で5万円を請求するような場合は、公序良俗に反し無効となるので、お客さんは支払いを拒むことができます。

公序良俗に反するとされた裁判例

実際に、公序良俗に反すると判断された裁判例を1つ紹介します。

【東京地方裁判所平成27年12月11日判決】

<事案の概要>
AさんとBさんは、客引きのXから「1人4,000円」との説明を受けてお店に入店し、女性従業員とお酒を飲みながら1時間ほど歓談をしました。そしてお会計の際、AさんとBさんはお店から、合計26万7,000円の請求をされてしまいました。

お店の請求額の内訳は次のとおりです。
①セット料金2万円(1万円×2名)
②テーブルチャージ料14万円(7万円×2名)
③女性用ドリンク9,000円
④その他チャージ料9万8,000円
(ボーイチャージ料・ホステスチャージ料・ボトルチャージ料・リザベーションチャージ料)

<判決>
裁判所は、この店は特段、高級店として営業をしている店ではないことを考慮し、この店
の飲食料金は「一般的な料金水準を大幅に上回る水準である」と判断しました。

また、店の従業員はAさんとBさんに料金について誤解を生じさせるような行動をとっており、店の請求額が妥当であると判断できる事情もないことから、「本件契約は公序良俗に反する」とし、無効と判断しました。

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ぼったくりバーに入ってしまった場合の対処法は?

逃げると無銭飲食で逮捕の可能性

ぼったくりだとしても、1杯くらい飲んだことは事実ですので、お金を支払わずに逃げてしまうと無銭飲食になり、逮捕される可能性があります。

そのため、ぼったくりだとしても逃げずに、次のような対応をとるようにしましょう。

対処1:明細を見せるよう要求する

キャバクラやバーは、金額だけが記載されたものを提示されることがよくあります。

そのため、明らかに高額な場合は、明細を見せるように要求し、金額の説明を求めましょう。

公序良俗に反するような金額であれば、支払う必要はありません。

対処2:「最初に聞いていた値段しか支払わない」と主張する

ぼったくりのお店は、最初に安い値段を提示して勧誘してきます。そのため、聞いていた値段と異なる高額の請求をされた場合には、「最初に聞いていた値段しか支払わない」と主張しましょう。

注文する前に、従業員とのやりとりを録音しておくのが効果的です。

対処3:警察は民事不介入だが、場合によっては通報をする

警察は原則「民事不介入」です。

ただ、支払いを拒むと、従業員から暴行・恐喝を受ける可能性があります。

暴行・恐喝に発展した場合は、刑事事件となりますので、警察は対応してくれます。

また、暴行・恐喝に発展しなくても、先ほど解説したとおり、条例違反として警察が対応してくれる場合もあります。

そのため、事件になりそうな場合や条例に違反しているような場合は、直ちに警察に通報するようにしましょう。

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ぼったくられた場合はどうすればいい?

警察に相談をする

先ほど解説したとおり、警察は「民事不介入」ですが、暴行・恐喝などに発展した場合は、刑事事件として対応してくれます。

店の従業員から胸ぐらを掴まれたり、「支払わないと殴る」などと言って脅されたような場合には、警察に相談をしましょう。

また、ぼったくりをした店がある地域の自治体が「ぼったくり防止条例」を定めている場合には、条例違反として警察が対応してくれる場合があります。

弁護士に相談をする

お会計の場では、揉めたくなかったので高額を支払ってしまったという場合は、弁護士に相談をしましょう。

先ほど解説したとおり、「そもそも契約が成立していない」という主張や、「公序良俗に反するから無効」という主張をすることで、支払った代金の返還を請求できる場合があります。

また、詐欺罪や恐喝罪が成立するとして、契約を取り消すことも考えられます。

いずれにしても、事実関係をしっかりと立証することができれば、支払ったお金を取り返すことができるので、店とのやり取りを録音したものや、請求書など、証拠になりそうなものは大切に保管しておきましょう。

国民生活センターに相談する

私生活においてトラブルに巻き込まれた場合には、国民生活センターに相談することができます。

国民生活センターは国が設置する独立行政法人であり、消費者トラブルの情報を全国から集めているほか、消費者と事業者間のトラブル相談、生活に関する情報提供などを行っています。

幅広い分野について相談にのってくれるので、ぼったくりの被害についての相談をしてみてもいいでしょう。

クレジットカードの支払いを停める

ぼったくり店に対する支払いをクレジットカードで行ったという場合は、カード会社に連絡をして、支払いを停める手続きを行いましょう。

通常は、窃盗や詐欺によりクレジットカードを不正利用された場合に、支払いを停める手続きを行うことができますが、ぼったくりバーによる支払いであっても支払いを停めることができる場合があります。

実際に、ぼったくりバーで100万円の支払いを請求された事案で、警察への被害届があることを前提に、カード会社への支払いを停めることができた裁判例があります。

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ぼったくりに合わないためにはどうすればいい?

客引きについていかない

先述した、ぼったくり防止条例では、「客引き」自体を禁止しています。

そのため、客引きをするお店は、ぼったくりをするお店である可能性があります。

お店選びに迷っていると声をかけられることが多いですが、「安く飲めるよ」と勧誘されても、客引きにはついていかないように心がけましょう。

ぼったくりのお店を検索できるシステムを利用する

「ぼったくり防止条例」の施行により、条例に違反して行政処分を受けたお店は、インターネット上でお店の名前が公表されるようになりました。そのため、事前に調べておくことも、ぼったくり被害の防止になります。

また、「ぼったくり被害防止アプリ」というアプリがあり、行政処分を受けたお店を地図上で見ることができます。

このアプリを利用することで、少なくとも過去に行政処分を受けたお店は避けることができます。

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まとめ

ぼったくりは条例に違反するものであり、場合によっては刑事事件に発展することもあり得ます。

また、ぼったくりは公序良俗に反するとして無効になることもあるので、ぼったくり被害にあった場合には、逃げずに警察や弁護士・国民生活センターに相談するようにしましょう。

ぼったくり被害にあわないためにも、法律・対処法を知り、事前にインターネットやアプリで検索をして、ぼったくりバーには入らないように注意しましょう。

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