私有地の無断駐車と法律|対処をしたい!制裁として出られなくすべき?

隣人トラブル

勝手に私有地に車を停められる、いわゆる「無断駐車」。

「私有地に無断駐車をされて困っているが、どのような対応をとればいいのか分からない・・・」

なんて疑問、ありませんか?具体的には、

・警察に通報すれば動いてくれるのか?
・張り紙をしたり、レッカーで車を移動させるなどの対処をとってもいいのか?
・出入り口をふさいで、出られてなくてしてもいい?
・損害賠償責任を追及できるのか?

など、様々な疑問があると思います。

この記事では、私有地において無断駐車をされた場合の法律問題や対応方法について、分かりやすく解説していきます。

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私有地における無断駐車で、警察は動いてくれる?

原則として、警察は動いてくれない

警察は、犯罪について捜査を行う責務があり、民事上の問題については介入しないという「民事不介入の原則」がとられています。

私有地における無断駐車のトラブルは、民事上の問題であり、犯罪ではありません。

そのため、警察に通報しても、原則として警察は動いてくれません。

警察が動いてくれるケース

私有地における無断駐車であっても、警察が動いてくれるケースがあります。

相手が暴力団などの場合

無断駐車をした相手が、暴力団などの反社会的勢力で、穏便に解決できそうでない場合には、警察が間に入って対応する場合があります。

また、反社会的勢力でなくても、相手とまともに会話ができなかったり、暴行事件に発展するおそれがあるなど、当事者間での解決にはほど遠い場合にも、警察が対応してくれる可能性があります。

業務に支障が生じる場合

無断駐車が、コンビニやスーパーなどのお店においてなされている場合には、従業員が無断駐車に対応しなければなりません。

しかしそうすると、一時的とはいえ、従業員の人手が足りなくなり、業務が円滑に進まなくなる可能性があります。

このような場合には、業務が困難になる旨を警察に伝えてみましょう。
警察が動いてくれる場合もあります。

犯罪につながるおそれがある場合

無断で駐車されている車やバイクが、盗難車などの場合には、犯罪につながるおそれがあります。
このような場合には、捜査として、警察が積極的に動いてくれる可能性があります。

そのため、盗難車の疑いがある場合には、警察に通報しましょう。

警察が動いてくれなくて解決もできない場合

当事者間での解決が見込めず、警察に通報しても動いてくれない場合には、弁護士などに相談してみましょう。

法的手段として、損害賠償責任を追及したり、適法に車を撤去できる可能性があります。

もっとも、弁護士に相談する場合には、費用と時間がかかってしまうことを、念頭に置いておく必要があります。

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レッカーで移動させても良い?

原則として、レッカーで移動させることはできない

私有地に勝手に無断駐車をされたのだから、レッカーで移動させてもいいのではと思うかもしれません。

しかし、法律的には、原則としてレッカーで移動させるのは許されないと考えられます。

法律では、「自力救済禁止の原則」という考え方があります。

「自力救済」とは、自分の力で被害を回復することをいいます。

たとえば、盗まれた自転車を自分の力で取り返しに行くなどの行為が挙げられます。

法律では、この「自力救済」が原則として禁止されています。
なぜなら、世の中全ての人が「自力救済」を行うと、手段を問わず実力行使を行う人もでてきて、社会秩序が乱れてしまうおそれがあるからです。

したがって、私有地に無断駐車がされているとしても、レッカーで移動させる行為は「自力救済禁止の原則」に反する可能性があり、許されていません。

法的な手続きを経たうえで、解決することが望ましいとされます。

例外的にレッカー移動が許される場合

「自力救済禁止の原則」はあくまで原則ですから、例外も認められています。以下、裁判例を2つ紹介します。

昭和40年12月7日最高裁判決

まず、自力救済が例外的に許される場合があることを示した、裁判例を紹介します。

事案は省略しますが、この裁判例はまず、「私力の行使は、原則として法の禁止するところではある」と示し、「自力救済禁止の原則」を認めました。

その上で、下記のようにしました。

「法律に定める手続によったのでは、権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能又は著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情が存する場合においてのみ、その必要の限度を超えない範囲内で、例外的に許される」

つまり、緊急で、やむを得ないといえるほどの特段の事情がある場合には、例外的に自力救済も許されるということです。

そして、その手段としては、やりすぎは許されないが、必要な限度を超えない範囲であれば許されることになります。

どの程度が手段として許される範囲なのかは、個々の事案により異なりますので、一概にはいえませんが、たとえば、1時間無断駐車をしていただけなのに、その車をハンマーで壊して処分してしまうなどの行為は、自力救済として必要な範囲を超えていると判断されることになるでしょう。

昭和63年2月4日横浜地方裁判所判決

次に、実際に自力救済を認めた裁判所を紹介します。

<事案>

Xさんの不動産の前に、Yさんが勝手に無断駐車をしていました。
XさんはYさんに対して、何度も車を移動させるよう、要求していましたが、Yさんは聞く耳をもたず、無断駐車を3か月もの間にわたって継続していました。
そこで、Xさんは、無断駐車していたYさんの車を処分しました。

※この裁判例はYさんが、Xさんによる車の処分が違法であるとして損害賠償を請求したものですが、自力救済の部分だけを解説するため、詳しい事実関係は省略しています。

<裁判所の判断>

裁判所は、このXさんによる車の処分は、「やむを得ない特段の事情」があると判断して、自力救済を認めました。

自力救済が認められるのは、限られた場合のみなので、いきなり車を処分するのではなく、Xさんのように、まずは車を移動するよう要求することから始める必要があります。

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出入口をふさいで、車を出られなくしてもいい?

私有地に無断駐車をされたら、その制裁として、出入口をふさいで車を出られなくしたいと思う気持ちは分かります。

しかし、出入口をふさいでしまっては、私有地を自分自身が使うことすらできなくなってしまいますし、これによって解決できるわけではありません。

しかも、出入口をふさぐことで自分の権利が回復されるわけでもないので、先ほど解説した「自力救済として許容されるもの」ではありません。

したがって、出入口をふさいで車を出られなくする行為は、法律的には許されません。

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無断駐車をしている車に張り紙をしてもいい?

車に張り紙をすることはできる

無断駐車をしている車に、無断駐車をやめるよう、張り紙をすることができます。

張り紙は、レッカーで車を移動させる行為や、出入口をふさぐ行為に比べて「相当な行為」ですし、車の所有者が戻ってくるまでの間、ずっと監視しておく手間もないので、有効な手段です。

張り紙をするときの注意点|器物損壊罪

張り紙をすることは許されるとしても、張り紙によって車を傷つけたり、汚したりした場合には、逆に「器物損壊罪」として訴えられる可能性がありますので注意が必要です。

張り紙をするために利用したガムテープが、車の窓ガラスにくっついて剥がれなくなったり、雨などの影響で、張り紙が窓ガラスにくっついてしまい、落ちなくなってしまった場合にも、器物損壊罪に問われることがあります。

ガムテープは、張り紙をしっかりつけることができる分、車を傷つけやすいです。

一方、張り紙を車のバンパーにはさんでおけば、車を傷つけにくいですが、張り紙が剥がれやすくなります。

粘着性の弱いテープとしては、マスキングテープがありますが、車に傷をつけにくいか否かは、車の性質にもよりますので、一概にはいえません。

車に張り紙をする際には、車に傷をつけないように、テープ選びも慎重に行う必要があります。

自分が責任を問われないようにするためにも、張り紙の方法をしっかり考えることは、重要になります。

張り紙に、罰金を科すことの記載をしてもいい?

張り紙に「1日当たり5万円の罰金を頂きます」などの記載をしても、法的な拘束力は一切ありません。

「罰金」という文言を使い、相手に車を移動させるよう、プレッシャーを与えることは可能ですが、実際に罰金を支払うよう要求することはできません。

もっとも、後に解説するとおり、損害賠償を請求することは可能です。そのため、罰金ではなく、「損害賠償を請求する」と警告することがいいでしょう。

張り紙の例文

張り紙の例文を紹介します。
張り紙を作成する際には、参考にしてみてください。

<例文1>

あなたの車両が駐車しているこの敷地は、○○○○の私有地です。
あなたが駐車することに対して、誰も何ら承諾を与えておりません。
そのため、あなたの駐車は無断駐車であり、誠に遺憾です。
つきましては、速やかに車両を移動させてください。

令和〇年〇〇月〇〇日
○○○○(名前)

また、例文1よりも、より一層、警告的なメッセージを伝えたい場合には、次の文を付け足すといいと思います。

<例文2>

「速やかに車両をご移動されない場合には、運輸支局、自動車検査登録事務所にて、車両の所有者を調査の上、損害賠償責任の追及など、法的処置を検討させていただきます。」

警告的な張り紙をすることは、効果的な面もありますが、一方で相手に苛立ちを与え、トラブルになる可能性もあります。

そのため、過激すぎる警告文を書くことは避けておくことが無難です。

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損害賠償責任を追及できる?

無断駐車をした者に対し、不法行為に基づき、損害賠償責任を追及することが可能です(民法第709条)。

損害賠償の額は、駐車場の使用料とこれに対する利息になります。

駐車場の使用料は、無断駐車が行われた敷地の周辺地域における、駐車場の単価が相場になります。

たとえば、1時間当たり500円が相場の地域であれば、500円×無断駐車の時間が、損害賠償の額になります。

そのため、張り紙で「5万円の損害賠償請求をします」などと記載しても、相場からはかけ離れているため、5万円の請求は難しいと思います。

また、不当利得に基づいて、使用料相当額の返還請求をすることも可能です。

この場合も、請求できる額は、不法行為と変わりません。

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無断駐車を防止するためにとるべき対策は?

「駐車禁止」の看板をたてる

無断駐車を防止するために、「駐車禁止」の看板をたてる方法があります。

この看板は、目のつきやすい場所にたてると、効果的です。

もっとも、看板を作るためには、費用と時間がかかりますので、看板をたてることは簡単ではないかもしれません。

そのような場合には、張り紙をしておくことでも、無断駐車を防止できる可能性があるでしょう。

張り紙は看板に比べると小さいので、数か所に貼っておくとより効果的だと思います。

カラーコーンを設置しておく

駐車できるスペースがあると、駐車をする人が出てきます。

そのため、カラーコーンを設置することで、物理的に駐車することができないようにしておくという方法があります。

カラーコーンであれば、看板のようにわざわざ作らなくても、ホームセンターなどに行けば、比較的安価で手に入れることができます。

また、カラーコーンだけでなく、駐車スペースを物理的にふさいでおくことができるグッズとして、バリケードやサインキューブ、アーチスタンド、チェーンスタンドなどがあります。

お値段は高いものから安いものまであるので、興味があれば調べてみてもいいかもしれません。

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まとめ

私有地での無断駐車は、非常に腹立たしい行為です。しかし、だからといってどんな制裁を与えてもいいわけではありません。

違反者に対しては、きちんと法的な手続きに従い、損害賠償請求をするなどの方法で、制裁をしましょう。

また、無断駐車を防止するために、ご紹介した対策をとってみるのもいいかもしれません。トラブルは、予防が大切になります。

私有地に無断駐車をされた場合に、どのような対応をとるべきかは、事案によって異なってきます。
困った場合には、弁護士などの法律家に相談するといいでしょう。

駐車場違反に関する記事は、こちらのサイトを参考ください。

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