隣人のピアノがうるさい!|ピアノの騒音の苦情と解決方法

隣人トラブル

近所の騒音問題で苦しんでいる人は少なくありません。

・賃貸やマンションの場合、上の階、隣の部屋、下の階の音が気になる!

・一軒家の場合でも、子どもの泣き声や遊びまわる音が聞こえてきて耐えられない!

そんな隣人・近隣の騒音問題で悩む人の中で、特に多いのが「楽器の騒音」です。特にピアノの音が毎日うるさいのでなんとか苦情を伝えたいと考える方は多いようです。

そこで、今回は、隣人のピアノの騒音、音漏れの対処法についてご説明いたします。ピアノの音を規制する法律から、ピアノの騒音をやめてもらうためにできること、ピアノの騒音が収まらない場合にできることについてお伝えいたします。

ピアノの騒音|音漏れを規制する法律と騒音の目安は?

規制する法律

ある時間になると、近所の家族の演奏するピアノの音が聞こえてくるという情景は珍しくありません。一見、特に問題のない日常のように思えますが、これが毎日大音量で聞こえてくると、騒音に感じる人もいらっしゃいます。

騒音の問題については「環境基本法」により一定の規制がなされています。

具体的には、環境基準を設けることにより、どれくらいの音が生活環境を保全して、人の健康に資するのかの目安を定めているのです。基準以上であれば、騒音と考えることもできます。

デジベルで基準化

騒音に関しては、デシベルという数値で基準化されています。

例えば、商業・工業とともに住宅街もある地域では、日中が60デシベル以下、夜間で50デシベル以下にすべきであると規定されています。

通常の住宅地とされる地域では少し下がり、日中で50デシベル以下、夜間で45デシベル以下となります。社会福祉施設などが集合している地域では、これよりも小さい音が基準値とされています。また道路に面していれば、その分少しずつですが基準値は上がります。

このように、騒音の基準は細かく規定されていますが、一般的には「45デシベル〜55デシベル」を基準と考えて良いでしょう。

ただし、この基準値を超える音を出したからといって、特に罰則が課されることはありません。

よほど迷惑な行為だと判断された場合には、警察に通報した上で、軽犯罪法違反(1条14項)として処罰してもらうことは考えられるでしょう。

ピアノの騒音レベル

このように環境基本法では一定の騒音基準を設けてはいるものの、これに反するからといって直ちに罰則が課されるようなものではありません。基本的には近隣の生活騒音に関しては、ご近所同士の話し合いなどで解決すべきだと考えられています。

では、ピアノの騒音レベルはどれくらいなのでしょうか? 楽器に関してはかなり大きな音量が出ますので、マンションの規則などでも制限されていることが多いでしょう。

戸建て住宅などでは規制はないものの、できるだけ近隣に迷惑がかからないように配慮したいものです。楽器の音の目安は以下となります。

・ピアノ 90-100デシベル
・ギター、バイオリン 80-90デシベル
・ドラム、パーカッション 130デシベル
・サックス 110―120デシベル

先ほどの騒音目安の45-55デシベルを大きく超える音が楽器からは発せられていることがわかります。ドラムやサックスなどに比べると、ピアノの音はまだ音量が小さいといえますが、人によってはやはり不快に感じることもありますので、周囲に配慮する必要はあるでしょう。

このように、ピアノの騒音レベルは90-100デシベルですので、通常の住宅地域では騒音になりうるということになります。

ピアノの騒音をやめてもらうためにできることは?

ピアノの騒音をやめてもらうためには、騒音元となっている家の方と話し合いで解決するのが一般的です。しかし、どのように伝えるべきかで苦慮する方も多いでしょう。そこで、ピアノの騒音苦情を伝える方法についてご説明します。

一定の仲がある場合には、会話の中で伝えてみる

「ピアノの音がうるさいな」と感じても、ご近所同士だとお互い様という気持ちもありなかなか言い出せないという方は多いのではないでしょうか? しかし、騒音に感じている音を放置していると、ストレスが溜まったり、家にいるのが苦痛に感じてしまったりする原因にもなりかねません。そのため、きちんと騒音元の方に伝える必要があります。ご近所同士のトラブルにならないような伝え方として、以下を参考にしてください。

・乱暴な言い方をしない
・関係ない話の中に苦情をおり混ぜる
・時間帯を区切ってお願いする
・相手の気持ちにも配慮する

まず、「うるさいからやめてくれる?」というように直接的な言い方だと相手は不快に感じてトラブルの元になってしまう可能性があります。そのためできるだけ丁寧な言い方を心がけてください。

一番良いのは、普通に話をしているなかにピアノの話をおり混ぜることです。

例えば、たまたま会った際に「昨日は◯○ちゃん遅くまでピアノ練習してたけど、発表会でもあるの?」というように相手を気遣いつつも音に気付いていることをアピールしましょう。

その話の中で「できれば夜間は控えて欲しいこと」を伝えます。「うちも子どもがいて、起きちゃうからできれば昼間に練習してほしいな。」と話せば、大抵は応じてくれるでしょう。

ピアノが家にある家に「ピアノを演奏するな」というのは無理ですので、常識的な範囲内の時間に演奏してもらうようにお願いすると良いでしょう。

知らない御近所さんの場合は、手紙・投書で丁寧にお願いする

騒音の元となっている家がわかっているけれど、「話したことがない」というケースもあるでしょう。この場合は、インターホンを押して苦情を伝える方法もありますが、不安を感じる方も多いため、投書でお願いする方法があります。苦情を手紙にして相手に伝えるのです。手紙でお願いする場合は、以下のことに気をつけましょう。

・乱暴な言い回しは避けること
・苦情ではなく、お願いのスタンスで書くこと
・具体策を提示すること

紙1枚にただ「うるさいから演奏するな」と書くのは失礼です。

脅迫とも取られかねないので、乱暴な言い回しなどは避けてください。

丁寧にお願いするのが基本です。例えば、下記のような文章です。

「いきなりのお手紙失礼いたします。下の階に住んでいる者です。ピアノの演奏なのですが、私はどうしても音が気になってしまうので、できれば窓を閉めて演奏していただけると助かります。また朝早くから仕事があるので、夜に眠れなくて困っています。夜間の演奏は控えていただくか、音を外に漏れないような対策を講じていただけると大変助かります。ご協力をよろしくお願いいたします」

自分は困っていて、できればやめてほしいと伝えることで相手に伝わりやすくなります。手紙ですので、できれば名前を書いておくべきですが、身元を明かしたくない場合には、管理会社に伝える方法など、第三者に伝えるのも有効です。

ピアノの音は騒音になりえますが、人によっては騒音と感じない人もいます。そのため、相手が悪いと責めるのではなく相手に配慮した言い方を心がけるとトラブルとならずに済むでしょう。

ピアノの騒音をやめない人にはどう対応すべき?

苦情は伝えたものの、ピアノの騒音が収まらない!」という場合には、どうすれば良いのでしょうか? 苦情後もピアノの騒音が止まない場合の対処法についてご説明します。

まずはピアノの音を測定する|騒音計

まず騒音の証拠を集めてください。具体的には、ピアノの音を計測すると良いでしょう。

スマートフォンのビデオカメラなどでピアノの音を計測します。その際、騒音計で計測した値とともに撮影すると良いでしょう。

ピアノであったとしても、電子ピアノの場合には音の大きさを調整することもできますし、それほどの騒音といえないケースもあります。

ピアノの音の場合は他の近隣の人に聞いても「気にならない」と言われてしまうケースもあります。そのため、客観的な証拠を掴んでおくことも必要です。そうすると他の人に説明しやすいでしょう。

騒音計は安価なもので十分ですがもっと手軽に行いたい場合には、スマホのアプリなどで測定し、別の撮影機器で時間と音がわかる方法で撮影すると良いでしょう。

賃貸など、マンションの場合は、管理会社に伝える

証拠を掴んだら、次に客観的に苦情を伝えられる人に伝えましょう。賃貸などのマンションの場合は、管理人や管理会社、大家さんなどに証拠とともに伝えると良いでしょう。このときも、あまり強い言い方はしない方が良いでしょう。管理会社の担当者も苦情対応は嫌な仕事ですので、きちんと対応してもらえるように丁寧に伝えてください。証拠もあることを伝え、話を聞いてもらいましょう。

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なお、夜中に大音量で楽器を演奏するというような迷惑行為の場合は、すぐに警察に通報しても良いでしょう。この場合は警察が対応してくれます。

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戸建ての場合は、自治会に相談する

戸建て住宅の場合は、管理会社のように伝えるべき相手がおらず難しいという事情もあるでしょう。この場合は、自治会長に伝えてみる方法があります。場合によっては。自治会長自ら伝えてくれますが、そうしてくれない場合でも回覧板で「ピアノの演奏には配慮してください」という内容を回してくれる可能性があります。一度相談して見てください。

騒音トラブルに巻き込まれたら、弁護士依頼で裁判も検討する

第三者に伝えてもらう方法でもダメな場合は、弁護士に相談する方法もあります。実際に近所の騒音トラブルについて裁判で損害賠償を請求した事例も多数あります。

裁判での損害賠償までは必要ないというケースでも、弁護士が相手に伝えることでトラブルが大きくならずに済むケースもあります。マンションの場合と同様に、明らかな迷惑行為の場合は警察にも相談すべきです。

相手に何も伝えなければ、騒音が収まることはありません。自分で伝えても効果がない場合は、第三者である自治会や弁護士、警察から伝えてもらう方法を考えて見てください。

「ピアノの音が気になる」という方は、騒音と感じているということです。相手に伝えるか、第三者に伝えるなどの対処をしていきましょう。ご近所トラブルが怖い場合には、弁護士に相談してみるのも1つの方法です。法律や交渉によって、穏便に解決できる方法はないか相談してみましょう。

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