ゴミの不法投棄がバレたら|警察に逮捕される?罰金は高額なの?

身近な法律問題

テレビなどの粗大ゴミ・家庭ゴミの処分には、費用や手間がかかるため、つい出来心から「粗大ゴミを道の脇に捨ててしまった!放置した!」なんて経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそも、テレビなどの粗大ゴミを道の脇に捨てる行為は、犯罪にあたるのでしょうか。

また、警察から電話がかかってきて呼び出され、逮捕されたり、罰金を支払うことになるのでしょうか、逃れることはできないのでしょうか。

この記事では、粗大ゴミを道の脇に捨ててしまった場合にまつわる法律問題について、分かりやすく解説していきます。

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粗大ゴミ・家庭ゴミを道の脇への放置行為は、法律違反・犯罪なの?

どのような法律が定められているの?

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」という法律が、ゴミの処分の方法などについて定めています

(※この法律は、一般的には「廃棄物処理法」と呼ばれていますので、この記事でもこの法律のことを「廃棄物処理法」と呼びます。)

廃棄物処理法第16条は、次のように定めています。

<廃棄物処理法 第16条>
「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。」

この法律により、「廃棄物」を決められた処分場以外の場所に好き勝手に捨ててはならないことになります。

勝手に処分場以外の場所に捨てた場合には、「不法投棄」となり、法律に違反することになります。

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「廃棄物」ってなに?

廃棄物処理法の定義

「廃棄物」といえば、ゴミのイメージがあると思いますが、廃棄物処理法では「廃棄物」について定義を定めています。

<廃棄物処理法 第2条第1項>
「廃棄物とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚泥又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く。)をいう。」

テレビなどの粗大ごみは、「廃棄物」の定義に含まれていますので、道の脇などに勝手に捨てた場合には、廃棄物処理法違反となります。

裁判例の定義

また、裁判例は「廃棄物」について次のように判示しています。

<最二決平成11年3月10日判決>
「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと。」

この裁判例が出るまでは、貴金属を含む汚泥などの、資源性があり有価で取引されるものも、廃棄物処理法の規制対象となっていたため、リサイクルの促進が妨げられる可能性がありました。

しかし、この裁判例が出たことにより、廃棄物にあたるか否かは「取引価値の有無」など様々な要素を総合的に考慮して判断することとなりました。

「廃棄物」の処分場

「廃棄物」には、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」があります。

「産業廃棄物」とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類、その他政令で定める廃棄物に加え、輸入された廃棄物と携帯廃棄物のことをいいます。

一方「一般廃棄物」は上記、産業廃棄物以外の廃棄物のことをいいます。

これらは、それぞれ環境省令で最終的な処分場が定められており、最終処分場へ送られる前段階で、再利用や再資源化ができるものは別途処理されます。

このように、「廃棄物」は必要に応じて適正に分別・再利用するなどして、生活環境や公衆衛生を保護しています。

したがって、処分場以外の場所、たとえば道の脇や公園、山、海などに「廃棄物」を身勝手に捨てる行為は「不法投棄」にあたり、廃棄物処理法に違反します。

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警察が動いてバレたら|廃棄物処理法違反の罰則

先ほど解説したとおり、テレビなどの家庭ゴミを道の脇に捨てる行為は「不法投棄」にあたり、廃棄物処理法に違反します。

そして、廃棄物処理法に違反した場合には、罰則が定められており、バレたら警察に逮捕されてしまうわけです。

個人が不法投棄をした場合の罰金はいくら?

個人が不法投棄をした場合の罰則は、次のように定められています。

<廃棄物処理法 第25条1項14号>
「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、または併科」

不法投棄は、「単にゴミを道の脇に捨てただけ」と思いがちですが、周辺の人に迷惑のかかる行為であり、また生活環境を悪化させる可能性もありますので、意外と「重い罰則」が定められています。

法人が不法投棄をした場合の罰金はいくら?

法人が不法投棄をした場合の罰則は、次のように定められています。

<廃棄物処理法 第32条1項1号>
「3億円以下の罰金」

法人が不法投棄をした場合には、その法人と実際に不法投棄を行った人の両方に罰則が科せられることになります。

実際に不法投棄を行った人に対しては、「個人が不法投棄をした場合」と同様の罰則が科せられます。

そして、法人には「3億円以下」という巨額の罰金が科せられる可能性があり、非常に重い罰則といえます。

また、法人は社名が公表されるなどして、対外的な信頼を失ってしまうおそれもあるため、法人が不法投棄をした場合に受ける影響は、かなり大きいものといえるでしょう。

同時にその他の法律に違反する可能性

不法投棄は、不法投棄を行った場所により、同時に別の法律に違反する可能性があります。

道路法に違反する可能性

道路に大きなテレビやタンスなどの粗大ゴミを不法投棄して、交通に支障をおよぼすおそれを生じさせた場合には、廃棄物処理法違反と同時に「道路法」(道路法第43条、102条1項3号)に違反する可能性があります。

道路法に違反した場合の罰則は、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

住居侵入罪が成立する可能性

他人の庭や私有地に侵入して、不法投棄を行った場合には、廃棄物処理法違反と同時に「住居侵入罪」(刑法第130条)が成立する可能性があります。

住居侵入罪の罰則は「3年以下の懲役または10万円以下の罰金」です。

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不法投棄は、未遂や廃棄物の収集又は運搬も処罰の対象となる?

廃棄物の不法投棄は、その「未遂も処罰の対象」となりますので注意が必要です。

また、不法投棄前の行為である「不法投棄を目的とした廃棄物の収集又は運搬」をした場合にも、その収集又は運搬行為自体が処罰の対象となります。

不法投棄目的での廃棄物の収集又は運搬したときの罰則は、次のとおりです。

個人の場合

<廃棄物処理法 26条6号>
「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科」

法人の場合

<廃棄物処理法 32条1項2号>
「300万円以下の罰金」

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廃棄物処理法違反に時効はないの?

廃棄物処理法に違反した場合は、罰則が科せられるか、地方公共団体から行政処分を受ける可能性があります。それぞれについて、時効があるのか解説します。

行政処分の時効について

行政処分とは、行政機関が法律の定めにしたがって、国民の権利や義務に直接影響を及ぼすことをいいます。

たとえば、テレビを道の脇に不法投棄した人がいれば、その人に対して不法投棄をしないよう命令することなどが挙げられます。

この行政処分については時効の定めはありません。

そのため、不法投棄を行ってから数年経ったとしても、行政処分を受ける可能性があります。

罰則の時効について

罰則のような刑事罰については、時効の定めがあります。

廃棄物処理法に違反した場合の公訴時効は「違反行為が完了してから5年」とされています(刑事訴訟法250条2項5号)。

そのため、テレビなどの粗大ゴミを道の脇に捨てたとしても、捨てたときから5年が経過すれば、時効が成立し、罰則は科せられなくなります。

もっとも、共犯者がいる場合で、共犯者が起訴された場合には、共犯者の裁判が確定するまで公訴時効の進行は停止します(刑事訴訟法254条2項)。

つまり、AさんとBさんが2人で協力して、道の脇に大きなテレビを捨て、後にAさんのみが見つかって逮捕・起訴されたというケースにおいて、仮に2人がテレビを捨てたときから5年が経過していたとしても、Aさんの裁判が確定するまでは、逃げ切って逮捕されていないBさんの時効は未だ成立せず、5年が経過した後もBさんは逮捕されて罰則に科される可能性が残ることになります。

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廃棄物処理法違反で逮捕されたらどうなるの?

①警察・②検察官による取調べ

警察が動いて、廃棄物処理法違反で逮捕された場合は、まず、警察での取調べが「最大48時間」行われます。

その後、検察官に送致され、検察官による取調べが「最大24時間」行われます。

※①の警察による取調べと、②の検察による取調べは、合わせて72時間以内に行われなければなりません。

③検察官による決定

検察官による取調べが行われた後、検察官は被疑者を釈放するか、勾留請求をするかを決定することになります。

④勾留請求と勾留状発付

検察官が被疑者を勾留すると決定し、勾留請求をした場合には、裁判官が勾留状を発付します。

⑤勾留

裁判官から勾留状が発付されれば、10日間勾留されることになります。

この勾留期間は延長することができるので、場合によっては「最大20日間、勾留」されることになります。

⑥起訴

最大20日間の勾留が終わるまでに、検察官は被疑者を「起訴」するか否かを決定します。

検察官が被疑者を「起訴」すると決定した場合は、起訴され、裁判へと繋がります。

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釈放される可能性はある?タイミングはいつ?

警察での取り調べ後

警察での取調べにおいて、「微罪処分」となった場合には、ここで刑事手続きは終了となり、釈放されます。

「微罪処分」とは、検察官に事件を送致しない処分のことをいいます。

微罪処分は、刑事訴訟法に要件が定められているわけではありませんが、以下の要件が備わっている場合に、認められる傾向にあります。

・初犯であること
・被疑者が犯した罪について反省していること
・犯行態様が悪質ではないこと
・被害者が許してくれていること
・被害の程度が大きくないこと
・被疑者に監督者がいること

検察での取り調べ後

事件が検察官に送致された場合、検察官は24時間以内に勾留請求をするか否かを決定します。ここで、検察官が「勾留請求をしない」という決定をした場合には、釈放されることになります。

勾留の要件は、刑事訴訟法に定められており、「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」で、以下のいずれかの要件に該当する場合に認められます。

・被疑者が定まった住居を有していない
・罪証隠滅のおそれがある
・逃亡のおそれがある

不起訴になった場合

検察官は被疑者を起訴するか否かを決定します。

ここで「不起訴」となった場合は、釈放されることになります。

執行猶予になった場合

「起訴」されたとしても、判決で「執行猶予」を得ることができれば、釈放されます。
「執行猶予」とは、有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予して、 その間に罪を起こさないことを条件として、刑罰の執行から免れさせることをいいます。

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廃棄物処理法違反で捕まったらどうすればいいの?

弁護士に相談する

警察に捕まってしまうと、最大72時間は家族とも面会ができず、ひとりで取り調べに耐えなくてはなりません。しかし、弁護士であればいつでも面会が可能です。

弁護士は面会において、手続きや取調べに対する具体的な流れなどを説明してくれます。

また、取調べでは記憶にない事実は認めないことや、自分の供述内容とは異なる供述書には署名・押印しないことなど、取調べにおける注意点なども助言してくれます。

弁護士がいれば、早期釈放や、罰金の額を抑えられる可能性もあります。

反省の意を示す

廃棄物処理法違反は、窃盗や傷害といった犯罪のように明確な被害者をイメージしにくいものです。

しかし、廃棄物処理法違反は、環境や公衆衛生に悪影響を及ぼす重大犯罪です。

そこで、取り調べにおいて、きちんと罪の重さを自覚し、反省の意を示すことが重要になります。

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まとめ

廃棄物処理法に違反した場合の罰則は意外と重く、家庭ごみを放置したことがバレて警察から電話がかかってきて呼び出され、捕まってしまう可能性もあります。

逮捕されてしまった場合には、直ちに弁護士に相談するようにしましょう。

不法投棄は、周辺の住民に迷惑をかけるだけでなく、生活環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。そのため、粗大ゴミなどの家庭ゴミは手間がかかるとしても手続きに従って適切に処分するようにし、周りに迷惑をかけないように心がけましょう。

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