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示談で弁護士ではない知人を代理人にする事はできるか?

【弁護士でなくても、刑事事件の示談交渉はできるか?】

最近、弁護士が主役の犯罪ドラマが多いです。物語の中で、弁護士が、犯罪の被害者と示談の交渉をしているシーンがよく見られます。これは弁護士でなければいけないのでしょうか?弁護士でない人が加害者の代理人になれるのでしょうか?いつものように、弁護士をしている伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談交渉は、誰でもできる!

結論から言いますと、刑事事件の示談交渉は、賠償金についての民事の和解交渉ですから、誰でも代理人になれます。

弁護士嫌いの被害者で、弁護士を立てると交渉に応じてくれないとか、当事者の共通の友人が仲介した方が円満解決が望めるとか、弁護士ではない方を代理人とすることが適切なときもあるのです。

ただし、伯父が言うには、必ず弁護士と相談しながら、交渉を進めるべきだということです。

刑事事件の示談交渉が、加害者の不利に作用するケース

例えば、代理人の人選が不適切で、問題が生じることがあります。代理人が強引に被害者に示談を押し付けたときは、後に、脅かされた、騙されたという話が被害者から出て来ます。

示談書が裁判所に提出されれば、検察官は、それが本物かどうかと合わせて、真意で示談に応じたのかを、被害者に必ず確認します。真意でないという話になれば、検察官は、必ず、その言い分を聴取書にして裁判所に提出することになります。こうなると、被害者の意思に反した示談だったと裁判官に思われてしまい、かえって加害者に不利になる危険すらあります。

相手は、犯罪被害者です。仮に代理人の口調が少々強かっただけだったとしても、心にトラウマのある方には、脅迫に映る場合もあります。被害者の心情に十分な配慮が求められるのです。しかも、相手に配慮した交渉を行ったことを証明するために、必ずメモ、録音などで、交渉経過を記録しておくべきなのです。

被害者の過大要求と、刑事事件の示談交渉に代わるもの

逆に、被害者が無茶な要求を繰り返して示談に応じない場合、例えば、全治2週間の打撲なのに、慰謝料100万円を要求し、支払わなければ、頑として示談に応じないときはどうでしょう。弁護士であれば、それが示談金の相場に比較して過大すぎることはすぐに判断できます。粘り強く交渉しても無理なときは、交渉を打ち切ったうえ、加害者は、通常の相場といえる金額を提示しており、示談が成立しないのは相手方の不相当な要求に原因があるという報告書を作成、提出して示談書の代わりとします。あるいは、被害者が受け取らないことを理由として、相当と思われる金額を法務局に供託したり、贖罪寄付に充てたりする方法もあります。

民事とは違う、刑事事件の示談交渉の最終目標とは?

刑事事件の示談交渉は、金銭問題が解決されたその先に、裁判官や検察官に、加害者に有利な事情として考慮してもらうという最終かつ最大の目標があるのです。その目標を達成するために、一般の民事の示談交渉とは違う工夫が必要になります。ですから、仮に、弁護士でない方に代理人をお願いする場合であっても、弁護士と相談しながら交渉を進めてもらうことが望ましいということです。

元検察・元判事の弁護士それともベテラン刑事事件弁護士?

ヤメ検、ヤメ判が刑事事件に有利とは?


ヤメ検、ヤメ判という言葉を知っていますか?刑事事件の弁護には、検事出身の弁護士ヤメ検が有利とか、裁判官出身の弁護士ヤメ判が裁判所に顔が効くとか。本当でしょうか?弁護士の伯父から聞いた話をお伝えします。

元検察・元判事の弁護士は、皆、刑事事件に精通している?

判検事出身は、刑事裁判に精通しているから有利と言われます。弁護士の多くは、圧倒的に件数が多く、お金になる民事事件に比重を置いています。法曹としての稼働年数が同じ司法研修所同期の場合、弁護士より、判検事のほうが刑事事件の経験が多いのは当然です。
しかし、判検事出身者の全てが同じではありません。まず、何年勤務した後、弁護士に転身したのかで違います。数年程度では、経験が豊富とは言えません。公費留学年数などが含まれていれば尚更です。
奉職中、実際にどれだけ刑事裁判の現場を経験してきたかが肝心です。判検事には、裁判以外の仕事も沢山あります。検事は、法務省職員として行政官の仕事に長く携わる場合もあります。訟務検事、すなわち国家賠償訴訟等の国側代理人等、民事・行政訴訟を担当する場合もあります。
判事も同様で、裁判所の人事、総務など、司法行政に主に携わり、裁判の経験が少ない人もいます。また判事は、最初から刑事畑と民事畑に別れるので、民事担当には、刑事裁判の経験はほとんどありません。
つまり、判検事出身といっても、同列に見ることはできないのです。

刑事事件の弁護に大切なことは弁護人の熱意

現場の刑事裁判畑を歩んできた判検事なら、経験は豊富です。年間数十件の民事事件をこなす合間に、4~5件の刑事事件を担当するような一般的な弁護士と比べ、捜査手法、起訴不起訴の判断基準、量刑相場などの知識は充実しています。
ただし、その経験は、検察官・裁判官の経験で、「刑事弁護人の経験」ではありません。例えば、弁護人として、最も重要な職務のひとつが示談交渉です。何としても示談を獲得する。被害者に追い返され、罵倒され、依頼者に代わり土下座をしてでも示談書に印鑑をもらう。弁護人に課せられた使命であり、その熱意が最も大切です。昔、裁判官出身の弁護士が、依頼者の家族に、示談をして被害者から示談書をもらって来るよう指示したという笑い話がありました。彼にとって、示談書は誰かが持って来るもので、自分が交渉して頭を下げ、もらってくるものとは思っていなかったようです。

ヤメ検、ヤメ判は、刑事事件に顔が効く?

判検事出身者は、検察庁、裁判所に顔が効くのでしょうか。検察庁も裁判所も、巨大な権力組織です。顔を効かせた結果、裁判の公正が歪められたことが外部に漏れれば、国家的な大問題です。判検事出身だから、捜査や裁判をどうこうしろと要求できるほど、日本の司法は堕落していません。 判検事出身の弁護士でも、誠実に職務を行っている方は、たとえ言外にせよ、顔が効くなどという話を売り物にはしていません。そのような話をメリットとして強調する判検事出身者がいたら、眉毛につばをするべきです。

ヤメ検、ヤメ判事も、ベテラン刑事弁護士と同じ

判検事出身者といっても、その人の経験と熱意次第です。ベテラン刑事弁護士として社会から評価されている方は、刑事事件の場数を踏んでおり、刑事事件弁護に情熱を持っているから評価されるのです。判検事出身の弁護士であっても、同じく刑事裁判の実際の経験が豊富なのかどうか、刑事事件弁護に熱意を持っているのかどうかを基準に選ぶべきなのです。

刑事事件の弁護士を私選弁護士から国選弁護士に変更する事は可能か

自分で弁護士に依頼して、弁護費用を支払って、刑事事件の弁護人となってもらったけれど、どうも波長があわない、こちらの言うことをあまり熱心に聞いてくれない。このままでは、裁判で不利にならないか心配なので、弁護士を変えたいが、もうお金がないから、私選の弁護士は雇えない。私選の弁護人がいても、国選弁護人をつけてもらうことはできるのか。

弁護士の伯父に聞いたところ、問題なくできるとのことです。

刑事事件の国選弁護制度は、資力にかかわらない

刑事訴訟法第36条は、「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。」としています。「貧困その他の事由により」ですから、財力があるか否かは問題外です。弁護費用が払えるか否かに関わりなく、何らかの理由によって、私選の弁護人を選任できない場合であれば、国選弁護人をつけるよう請求ができるのです。

私選弁護人を解任してから、国選弁護を請求できる

では、私選弁護人がついたケースはどうでしょうか。

当然ですが、私選弁護人がついたままでは、国選弁護人の選任を請求はできません。しかし、私選弁護人を解任することは、依頼した被告人の自由です。解任することに何らの理由もいりません。私選弁護人を解任すると意思表示さえすれば足ります。具体的には、私選弁護人に解任したい旨を伝えれば、私選弁護人が裁判所に解任なり辞任なりを伝えます。被告人が在宅の場合は、裁判所書記官から、今後の弁護人について、他の私選弁護人をつけるか、国選弁護人をつけるか問い合わせの書面が来ますので、これに国選弁護人を希望すると記入して返送すれば良いのです。勾留されている場合は、拘置所に書類が届きます。記入して看守に渡せば、裁判所へ提出してくれます。

刑事事件の内容によって、国選弁護人選任手続は若干異なる

事件内容によって、選任のための手続が異なります。

弁護人がいないと開廷できない必要的弁護事件は、被告人から請求すれば、国選弁護人がつきます。必要的弁護事件には、①重大事件、②争点が複雑な事件(公判前整理手続、期日間整理手続に付された事件)、③裁判の手続を簡略化し、スピーディにする代わりに、被告人の利益が害されないよう配慮したもの(即決裁判手続)があります。

それ以外の事件では、50万円以上の資産(現金、預金等)がない場合は、資産がないことを記載した資力申告書を裁判所に提出します。50万円以上の資産がある場合は、弁護士会に他の弁護士を紹介してほしいと申し出て、誰も引き受けてくれなかった場合であって、初めて国選弁護人がつきます。

もっとも、私選弁護の費用を支払いたくなければ、無料で引き受ける弁護士がいない限り、引き受け手がいないことになりますから、実際は、弁護士会への申し出は形式的に要求されるに過ぎません。結局、資産の有無に関わりなく、国選弁護人を選任できますので、その前に私選弁護人を解任していても何ら問題はありま

刑事事件での弁護士の役割とは?やってくれる事・やってくれない事

刑事事件の弁護人となる弁護士は、どんな事をしてくれるのでしょうか。また、頼んでもやってくれない事もあるのでしょうか。

刑事事件の被疑者、被告人との面会

刑事事件における弁護士の役割のうち、第一に重要なのが、身柄を拘束された被疑者、被告人との面会です。
特に捜査の初期段階は重要です。逮捕から勾留までの間(最長48時間)は、面会(接見)できるのは弁護士だけです。
また勾留された以後でも、捜査機関の立会なしに面会し、自由に書類や書籍の差し入れをできるのは弁護士だけです。裁判官は、勾留後でも、検察官からの請求により、面会を禁止することができますが、弁護士の面会を禁止することはできません
面会は、事件について、本人からの情報を得る一方、本人に法律的な助言を行う大切な機会です。また本人から家族や勤務先へ伝えたいことを聞き取り、家族などから本人への伝言を伝える事実上の連絡役を果たします。

刑事事件の弁護士も違法行為に加担はできない

面会で、自宅などに残した証拠物を移動してしまって欲しいとか、まだ逮捕されていない共犯者に早く逃げるよう伝えて欲しいなどの要望を受けることがあります。しかし、これらの要望に応ずることは、それ自体が証拠隠滅罪、犯人隠避罪という犯罪ですから、弁護士は応じることはできません。もっとも、弁護士は守秘義務がありますので、これらの要望を捜査機関等に漏らすことはありません。

刑事事件の示談交渉は弁護士のほうがまとまりやすい

示談交渉も弁護士の大きな役割です。示談するか否か、示談金を幾ら支払うかは、本人次第ですが、身柄拘束されている場合はもちろん、在宅事件の場合でも、弁護士が代理人となったほうが、被害者側も安心して示談に応じてくれる傾向が強いのです。

刑事事件と無関係な依頼には応じられない

身柄拘束された本人から、逮捕されて家賃を支払えず、アパートを退去したいから、大家と解約の交渉をして、明け渡し、敷金を返還してもらってほしいとか、友人に貸した金を回収し弁護費用に充ててほしいなどの要望を受けることがあります。
相手に事情を伝える程度のことならば、断る弁護士はいないと思いますが、これらは刑事事件とは無関係な民事事件です。私選弁護人の場合は、別途、民事事件の代理人として別途の受任契約を結んで担当する選択肢もありますが、国選弁護人の場合は、そもそもそのような依頼を受けることは禁止されていますので、応じることはできません。0

刑事事件の保釈申請・公判手続は弁護士とよく相談して

起訴後、保釈の申請も大きな役目です。自由の身で、裁判に備えることは大切です。弁護士が手続することを条件として保釈金を融資する機関もあるので、よく弁護士と相談して積極的に活用するべきです。

公判が開かれてからの手続は、専門家である弁護士に任せざるを得ないでしょう。通常、弁護士は、ひとつひとつの手続を説明し、意向を確認しながら進めますので、不明なことは正直に尋ねて、意見を伝えることが大切です。

刑事事件の弁護士は、本人の意向に反する活動もできる場合がある

ただし、弁護士は、いつでも本人の意向に従う義務があるわけではありません。例えば、本人が有罪を認めていても、弁護士が無罪だと確信した場合は、無罪を主張することが許されます。弁護士が、被告人から独立して、被告人を守護する立場にあるからです。
逆に、被告人が無罪を主張している場合に、弁護士が有罪の主張をすることは許されません。弁護士は、あくまでも被告人の利益を守るためのものだからです。

資産があっても国選弁護人をつけることはできる?

国選弁護制度は、お金がない人のためだけの制度ではない!

国選弁護人は、お金がない人が、国費で弁護士をつけてもらう制度だと思っていませんか?違うのです。弁護士の伯父から聞いたところ、資産がある人でも、国選弁護人に弁護してもらうことができるというのです。

資産の有無で国選弁護人の選任手続が違うだけ!

憲法は、国選弁護制度につき、「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」(37条)として、資産の有無を問題としていません
これを受けて刑事訴訟法も、「被告人は、貧困その他の事由により私選弁護人を選任することができないときは、裁判所に対し、国選弁護人の選任の請求をすることができる。」(36条)とし、貧困は理由の一例に過ぎません。実は、被告人の財力の有無によって、国選弁護人をつける場合の選任手続が少し違うだけなのです。

重大事件などでは資産の有無は関係がない

まず、被告人の資力が全く関係しない場合として、必要的弁護事件があります。これは弁護人がいなくては裁判を開けない事件であり、私選弁護人がいない限りは、資力にかかわらず、裁判所は、国選弁護人をつけなくてはなりません。必要的弁護事件は、①重大事件(死刑、無期、長期3年を超える懲役・禁錮)、②争点が複雑な事件(公判前整理手続、期日間整理手続に付された事件)、③裁判の手続を簡略化し、スピーディにする代わりに、被告人の利益が害されないように配慮したもの(即決裁判手続)があります。

大金持ちでも、国選弁護を利用できる

それ以外の事件では、被告人の資力により、国選弁護人の選任手続が違ってきます。(ア)資産(現金及び預貯金等)が50万円に満たない場合は、それを裁判所に申告すれば、国選弁護人が選任されます。(イ)資産が50万円を超える場合は、弁護士会に対して弁護人の選任を申し出たけれど、弁護人となる弁護士が誰もいなかった場合であって、はじめて国選弁護人が選任されます。
大金持ちであっても、引き受け手がいなければ、国選弁護人がつくのです。あなたが50万円以上の現金を持っていても同じです。弁護料を払いたくなければ、無料で引き受ける弁護士がいない限り、引き受け手がいない場合として、国選弁護人がつくわけです。

勾留されている被疑者でも国選弁護人がつく場合がある

被疑者に対する国選弁護人は、憲法の要請ではありませんが、刑事訴訟法では、①重大事件(死刑、無期、長期3年を超える懲役・禁錮)で、②被疑者が勾留されているときは、国選弁護人をつけるとされています。手続は、被告人で必要的弁護事件以外の事件の場合と同じで、資産の有無にかかわりません。

裁判所が職権で国選弁護人をつける場合もある

未成年、高齢者など、必要がある場合は、被告人の意思にかかわらず、裁判官の職権で、国選弁護人をつけることもできます。重大事件で勾留されている被疑者についても同様です。

国選弁護制度は、公正な裁判のための制度

国選弁護制度は、金のない人のための制度ではなく、弁護を受ける権利を保障し、公正な裁判を実施するためのものです。
不公平だと思うかも知れませんが、有罪の場合は、国選弁護は有料が原則です。被告人に費用を支払えないことが明白なときは、裁判所の判断で弁護費用を負担させないことになりますが、それ以外は、被告人に支払義務がありますから、不公平とも言えません。

刑事事件の弁護士費用の総額はどれくらい?

刑事事件の弁護士費用は全てオープン価格

刑事事件を起こしてしまったとき、私選の弁護士を依頼すると、いったいどれくらいの費用がかかるのか。考えたこともない方がほとんどでしょう。
万一のために概要を知っておくと良いでしょう。弁護士の伯父に聞いたところ、弁護士の料金は全てオープン価格だということです。

刑事事件の費用は、弁護士が決めることができる

かつては、日本弁護士連合会と各地域の弁護士会が、報酬規定を定めていましたが、平成16年、報酬規定は廃止され、弁護士費用は完全なオープン価格となりました
弁護士は、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期など、報酬を算定するために必要な事項を明示した「報酬に関する基準」を作成して事務所に備え置くことが必要ですが、内容は、各弁護士が自由に定めることができます

廃止された旧規定を、そのまま使用している弁護士が多い

ただ、廃止されても、長年、その規定で運用されてきた相場が急に変化するものではありません。そこで、旧規定を、そのまま「報酬に関する基準」としている弁護士が多いのです。
そこで、一例として、東京弁護士会旧報酬会規の内容を見てみます。
同会規では、刑事事件を、「事案簡明な事件」とそうでない事件の二つに分けます。
事案簡明な事件とは、事実に争いのない自白事件です。複雑さ、困難さ、繁雑さがなく、特段の労力、時間を要しない事件で、起訴前は事実関係に争いがない事件、起訴後は結審まで裁判が2~3回程度の事件です。
この事件では、起訴前後を問わず、着手金30万円~50万円の範囲内。報酬金30万円~50万円の範囲内とされています。

他方、それ以外の否認事件などは、起訴前後を問わず、着手金も報酬金も金50万円以上とされています。

刑事事件の弁護士費用の相場は、40万円から100万円の範囲

旧規定が使われる例が多いということは、多くの弁護士にとって、刑事事件の着手金及び報酬金が30万円から50万円で、相場感覚からして妥当と判断されている証左です。ただ、弁護士数が増加している影響で、若い弁護士が多い事務所では、下限30万円ではなく、下限20万円程度でも引き受ける傾向があるようです。
そうすると、刑事事件の弁護士費用の相場は、自白事件の場合、着手金と報酬金を合計して、40万円程度から100万円程度の範囲内と思っていただいて間違いありません。他方、否認事件の場合は、裁判が長期に及ぶことが多く、件数が少ないこともあって、幅が大きく、いくらが相場とは言い難いのが正直なところです。

刑事事件の弁護費用では、別途、日当・経費がかかる

刑事事件の弁護費用には、上述の弁護士費用の他にかかる費用があります。
まず、弁護士の交通費や証拠書類等の記録謄写(コピー)代は、必要経費として負担しなくてはなりません。記録謄写費用は、通常の自白事件でも数千円から1万円程度はかかります。否認事件ともなると、数十万円かかる場合も珍しくありません。
また、弁護士によっては、調査のために地方に出張した際、1日3万円から5万円程度の日当を請求する場合もあります。これは、各事務所の「報酬に関する基準」に明記することになっていますから、事前によく確認しておく必要があります。

刑事事件に強い弁護士の選び方、探し方

家族が逮捕された!刑事事件に強い弁護士を探さないと!どんな弁護士が刑事事件に強いのか?弁護士をしている伯父から聞いたことをまとめてみます。

刑事事件の場数を踏んでいること

弁護士は、誰でも刑法、刑事訴訟法をマスターしています。でも、たくさんの人間の手で造られる現実の検査・裁判の全てが六法や法律書に書かれているわけではありません。OJT、つまり仕事は現場で覚えさせるのが一番とは、刑事弁護も同じです。

我国は、起訴するか否か、検察が非常に広い裁量を持っています。起訴されれば、ほぼ100%が有罪です。有罪か否かは、裁判前に決まっているのですから、起訴・不起訴の分かれ目が決定的に重要です。不起訴を勝ち取るために何をする必要があるかは実際の経験を通じてしか体得できません。刑事事件に強い弁護士の第一条件は、刑事事件の「場数を踏んでいる」ことです。

刑事事件に使命感をもっていること

刑事事件は、スピード勝負です。起訴不起訴の決定まで、22日間しかありません。即日、接見し、土日祝日、深夜でも活動し(警察署の弁護士接見は、土日祝、深夜も可能)、現場の調査や関係者との面会に飛び回る。多数の仕事を、短期間にこなすのは、熱心な弁護士だけです。刑事事件は、件数も少なく、弁護料も安いことが多く、お金にならないとして敬遠されることも確かです。そんな中で、刑事事件に熱心な人は、「弁護士の使命」として、「刑事事件弁護に情熱を持っている」、「刑事事件弁護が生き甲斐」という場合が多く、そのような弁護士を見つけることができれば幸運です。

刑事事件弁護には、コミュニケーション能力が重要

外科手術や家の建築であれば、腕さえ確かなら、尊大な医者や頑固な棟梁でも、黙っておまかせして良いかも知れません。

しかし、弁護活動は、モノを造るのではなく、人を説得して動かすコミュニケーションです。横柄で話に耳を貸さない弁護士では駄目です。逮捕されている本人の話さえ、きちんと聞いてくれるかどうか心配です。示談どころか、被害者を怒らせ、事態を複雑化する危険さえあります。

家族らに対し、弁護方針、見通し、手続の説明など、素人でも理解できるように丁寧に話してくれる方かどうかも重要なポイントです。「素人は黙っていろ」では、先が思いやられます。

刑事事件に強い弁護士の探し方

弁護士会の刑事弁護委員会のような刑事事件の委員会で活動している方かどうかは、ひとつの目安です。もっとも、若手が、先輩や派閥の都合で、興味もない委員会に押し込まれてしまう場合や、中堅ベテランで民事事件を多数抱え、刑事事件のことを忘れたくないから参加している場合もありますから、絶対の基準ではありません。

刑事事件関係の著書の有無も目安になります。本の中身を読んで、その弁護士の情熱や経験を知ることができます。

今では、刑事事件の実績をネットで広告している事務所も多くなりました。これも、もちろん目安になりますが、広告はあくまで広告です。検索上位にヒットしただけで盲信してはいけません。

ネットの口コミ、法テラスや弁護士会等での相談など、弁護士を知る機会は、格段に増えていますが、どんな人間なのかは、実際に会って確かめるしか確実な方法はありません。会ってしまえば、断りにくい雰囲気となるのは当然ですが、家族の重大事ですから、安易な妥協で後悔しないようにしましょう。

示談を断って相手が有罪になったら仕返しが怖い。示談に応じるべき?

刑事事件の加害者から示談の申し入れがあったとき、本当は、厳しい処罰を受けてほしいけれど、仕返しされるのではと思うと、示談に応じた方がいいのかな……こんな風に悩んでいる人は多いのではないかと思います。今回もまた、弁護士をしている伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談に応じるべきか否かの判断基準はない

刑事事件の示談は、単なる金銭賠償だけの問題ではなく、加害者の処罰を求めるかどうかの問題です。国家に、自分に代わって、加害者への制裁を加えてもらうかどうかを決める、極めて情緒的な判断を含みます。たとえ肉親や家族であっても、決めることはできません。それができるのは、被害者だけです。「このケースでは示談するべき」などという客観的な判断の枠組みはありません。

本当に怖ければ、刑事事件の示談に応じるのもひとつの判断

仕返しが怖いから示談に応じるというと、それはおかしいという意見が必ず寄せられます。しかし、現実に怖い思いをするのは、被害者本人です。仕返しが怖くて、外を歩くのも不安だ、示談して楽になりたいと願うことを非難はできません。ビクビクしながら暮らすより、示談し、きっぱりと事件を過去のことにしてしまったほうが幸せな場合も否定できないからです。

仕返しは、ほとんどが杞憂

ただ、刑事事件の示談に応じないことで、仕返しをされるケースは、レアケースです。加害者は、ただでさえ逮捕・勾留・服役で、生活が大変ですから、仕返しどころではないのです。その上、仕返しで、再度、重い刑を受けるのは割に合いません。恐怖は、たいていは杞憂に過ぎません。

刑事事件の示談に応じても、仕返しされるケースもある

しかし、ストーカーのように、被害者に対する執着心が強いケースでは、示談に応じないことが、加害者をエスカレートさせる要因となることもありえます。もっとも、このようなケースは、逆に、示談に応じても、加害行為が止むわけでもない場合が多く見られます。示談に応じたかどうかは、加害者にとって、関心事ではなく、示談は防波堤になりません。

刑事事件の示談拒否が、仕返しに結びつくわけではない

こうしてみると、示談に応じたか否かが、加害行為の再発に関わっているのではないことがわかります。仕返しを考慮して、示談の諾否を検討するのは無意味です。となると、むしろ、示談に応じるかを離れて、どうすれば仕返しを抑止できるかを考えることが大切です。

双方の弁護士を通じて刑事示談交渉を行うことが必要

示談交渉は、成否にかかわらず、被害者の意見・考えを加害者に伝える、またとない機会です。仕返しを抑止するには、示談をする理由、示談しない理由、いずれであっても、被害者側の意見を相手に伝え、加害者を納得させることが必要です。そのためには、交渉にあたり、被害者側も弁護士をたて、相手方の弁護士との協議を通じて、こちらの意思をきちんと伝えてもらうことが何より肝心だということです。