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刑事事件の弁護士費用の総額はどれくらい?

刑事事件の弁護士費用は全てオープン価格

刑事事件を起こしてしまったとき、私選の弁護士を依頼すると、いったいどれくらいの費用がかかるのか。考えたこともない方がほとんどでしょう。
万一のために概要を知っておくと良いでしょう。弁護士の伯父に聞いたところ、弁護士の料金は全てオープン価格だということです。

刑事事件の費用は、弁護士が決めることができる

かつては、日本弁護士連合会と各地域の弁護士会が、報酬規定を定めていましたが、平成16年、報酬規定は廃止され、弁護士費用は完全なオープン価格となりました
弁護士は、報酬の種類、金額、算定方法、支払時期など、報酬を算定するために必要な事項を明示した「報酬に関する基準」を作成して事務所に備え置くことが必要ですが、内容は、各弁護士が自由に定めることができます

廃止された旧規定を、そのまま使用している弁護士が多い

ただ、廃止されても、長年、その規定で運用されてきた相場が急に変化するものではありません。そこで、旧規定を、そのまま「報酬に関する基準」としている弁護士が多いのです。
そこで、一例として、東京弁護士会旧報酬会規の内容を見てみます。
同会規では、刑事事件を、「事案簡明な事件」とそうでない事件の二つに分けます。
事案簡明な事件とは、事実に争いのない自白事件です。複雑さ、困難さ、繁雑さがなく、特段の労力、時間を要しない事件で、起訴前は事実関係に争いがない事件、起訴後は結審まで裁判が2~3回程度の事件です。
この事件では、起訴前後を問わず、着手金30万円~50万円の範囲内。報酬金30万円~50万円の範囲内とされています。

他方、それ以外の否認事件などは、起訴前後を問わず、着手金も報酬金も金50万円以上とされています。

刑事事件の弁護士費用の相場は、40万円から100万円の範囲

旧規定が使われる例が多いということは、多くの弁護士にとって、刑事事件の着手金及び報酬金が30万円から50万円で、相場感覚からして妥当と判断されている証左です。ただ、弁護士数が増加している影響で、若い弁護士が多い事務所では、下限30万円ではなく、下限20万円程度でも引き受ける傾向があるようです。
そうすると、刑事事件の弁護士費用の相場は、自白事件の場合、着手金と報酬金を合計して、40万円程度から100万円程度の範囲内と思っていただいて間違いありません。他方、否認事件の場合は、裁判が長期に及ぶことが多く、件数が少ないこともあって、幅が大きく、いくらが相場とは言い難いのが正直なところです。

刑事事件の弁護費用では、別途、日当・経費がかかる

刑事事件の弁護費用には、上述の弁護士費用の他にかかる費用があります。
まず、弁護士の交通費や証拠書類等の記録謄写(コピー)代は、必要経費として負担しなくてはなりません。記録謄写費用は、通常の自白事件でも数千円から1万円程度はかかります。否認事件ともなると、数十万円かかる場合も珍しくありません。
また、弁護士によっては、調査のために地方に出張した際、1日3万円から5万円程度の日当を請求する場合もあります。これは、各事務所の「報酬に関する基準」に明記することになっていますから、事前によく確認しておく必要があります。

刑事事件に強い弁護士の選び方、探し方

家族が逮捕された!刑事事件に強い弁護士を探さないと!どんな弁護士が刑事事件に強いのか?弁護士をしている伯父から聞いたことをまとめてみます。

刑事事件の場数を踏んでいること

弁護士は、誰でも刑法、刑事訴訟法をマスターしています。でも、たくさんの人間の手で造られる現実の検査・裁判の全てが六法や法律書に書かれているわけではありません。OJT、つまり仕事は現場で覚えさせるのが一番とは、刑事弁護も同じです。

我国は、起訴するか否か、検察が非常に広い裁量を持っています。起訴されれば、ほぼ100%が有罪です。有罪か否かは、裁判前に決まっているのですから、起訴・不起訴の分かれ目が決定的に重要です。不起訴を勝ち取るために何をする必要があるかは実際の経験を通じてしか体得できません。刑事事件に強い弁護士の第一条件は、刑事事件の「場数を踏んでいる」ことです。

刑事事件に使命感をもっていること

刑事事件は、スピード勝負です。起訴不起訴の決定まで、22日間しかありません。即日、接見し、土日祝日、深夜でも活動し(警察署の弁護士接見は、土日祝、深夜も可能)、現場の調査や関係者との面会に飛び回る。多数の仕事を、短期間にこなすのは、熱心な弁護士だけです。刑事事件は、件数も少なく、弁護料も安いことが多く、お金にならないとして敬遠されることも確かです。そんな中で、刑事事件に熱心な人は、「弁護士の使命」として、「刑事事件弁護に情熱を持っている」、「刑事事件弁護が生き甲斐」という場合が多く、そのような弁護士を見つけることができれば幸運です。

刑事事件弁護には、コミュニケーション能力が重要

外科手術や家の建築であれば、腕さえ確かなら、尊大な医者や頑固な棟梁でも、黙っておまかせして良いかも知れません。

しかし、弁護活動は、モノを造るのではなく、人を説得して動かすコミュニケーションです。横柄で話に耳を貸さない弁護士では駄目です。逮捕されている本人の話さえ、きちんと聞いてくれるかどうか心配です。示談どころか、被害者を怒らせ、事態を複雑化する危険さえあります。

家族らに対し、弁護方針、見通し、手続の説明など、素人でも理解できるように丁寧に話してくれる方かどうかも重要なポイントです。「素人は黙っていろ」では、先が思いやられます。

刑事事件に強い弁護士の探し方

弁護士会の刑事弁護委員会のような刑事事件の委員会で活動している方かどうかは、ひとつの目安です。もっとも、若手が、先輩や派閥の都合で、興味もない委員会に押し込まれてしまう場合や、中堅ベテランで民事事件を多数抱え、刑事事件のことを忘れたくないから参加している場合もありますから、絶対の基準ではありません。

刑事事件関係の著書の有無も目安になります。本の中身を読んで、その弁護士の情熱や経験を知ることができます。

今では、刑事事件の実績をネットで広告している事務所も多くなりました。これも、もちろん目安になりますが、広告はあくまで広告です。検索上位にヒットしただけで盲信してはいけません。

ネットの口コミ、法テラスや弁護士会等での相談など、弁護士を知る機会は、格段に増えていますが、どんな人間なのかは、実際に会って確かめるしか確実な方法はありません。会ってしまえば、断りにくい雰囲気となるのは当然ですが、家族の重大事ですから、安易な妥協で後悔しないようにしましょう。

示談を断って相手が有罪になったら仕返しが怖い。示談に応じるべき?

刑事事件の加害者から示談の申し入れがあったとき、本当は、厳しい処罰を受けてほしいけれど、仕返しされるのではと思うと、示談に応じた方がいいのかな……こんな風に悩んでいる人は多いのではないかと思います。今回もまた、弁護士をしている伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談に応じるべきか否かの判断基準はない

刑事事件の示談は、単なる金銭賠償だけの問題ではなく、加害者の処罰を求めるかどうかの問題です。国家に、自分に代わって、加害者への制裁を加えてもらうかどうかを決める、極めて情緒的な判断を含みます。たとえ肉親や家族であっても、決めることはできません。それができるのは、被害者だけです。「このケースでは示談するべき」などという客観的な判断の枠組みはありません。

本当に怖ければ、刑事事件の示談に応じるのもひとつの判断

仕返しが怖いから示談に応じるというと、それはおかしいという意見が必ず寄せられます。しかし、現実に怖い思いをするのは、被害者本人です。仕返しが怖くて、外を歩くのも不安だ、示談して楽になりたいと願うことを非難はできません。ビクビクしながら暮らすより、示談し、きっぱりと事件を過去のことにしてしまったほうが幸せな場合も否定できないからです。

仕返しは、ほとんどが杞憂

ただ、刑事事件の示談に応じないことで、仕返しをされるケースは、レアケースです。加害者は、ただでさえ逮捕・勾留・服役で、生活が大変ですから、仕返しどころではないのです。その上、仕返しで、再度、重い刑を受けるのは割に合いません。恐怖は、たいていは杞憂に過ぎません。

刑事事件の示談に応じても、仕返しされるケースもある

しかし、ストーカーのように、被害者に対する執着心が強いケースでは、示談に応じないことが、加害者をエスカレートさせる要因となることもありえます。もっとも、このようなケースは、逆に、示談に応じても、加害行為が止むわけでもない場合が多く見られます。示談に応じたかどうかは、加害者にとって、関心事ではなく、示談は防波堤になりません。

刑事事件の示談拒否が、仕返しに結びつくわけではない

こうしてみると、示談に応じたか否かが、加害行為の再発に関わっているのではないことがわかります。仕返しを考慮して、示談の諾否を検討するのは無意味です。となると、むしろ、示談に応じるかを離れて、どうすれば仕返しを抑止できるかを考えることが大切です。

双方の弁護士を通じて刑事示談交渉を行うことが必要

示談交渉は、成否にかかわらず、被害者の意見・考えを加害者に伝える、またとない機会です。仕返しを抑止するには、示談をする理由、示談しない理由、いずれであっても、被害者側の意見を相手に伝え、加害者を納得させることが必要です。そのためには、交渉にあたり、被害者側も弁護士をたて、相手方の弁護士との協議を通じて、こちらの意思をきちんと伝えてもらうことが何より肝心だということです。