金融商品取引法違反って何?わかりやすく解説

東京証券取引所基礎知識
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テレビや新聞などで、「金融商品取引法違反で会社の経営者が逮捕・起訴された」というニュースを見たことがある方は多いと思います。

最近では、日産の元会長であるカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反で逮捕・起訴されて大きく報道されました。

金融商品取引法は一般の方にはあまり馴染みのない法律です。どのような行為が違法となり、違反するとどのような罰則があるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな金融商品取引法についてわかりやすく解説いたします。

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金融商品取引法について

金融商品取引法とは

金融商品取引法とは、証券市場における有価証券の発行、売買その他の取引について定めた法律です。略して金商法(きんしょうほう)と呼ばれることも多いです。

金融商品取引法の前身となったのは1948年に制定された「証券取引法」という法律です。2006年に証券取引法が全面的に改正され、金融先物取引法など他の法律も統合されて金融商品取引法となりました。

金融商品取引法の目的

金融商品取引法の目的は、法律では「国民経済の健全な発展および投資者の保護に資すること」とされています。少しわかりづらいと思いますので具体的に説明します。

株式、債券、投資信託、金融先物、投資ファンド商品といった金融商品の取引は、経済の発展には必要不可欠なものです。

ところが、取引におけるルールが明確でなかったり、不正な取引が横行するなどして投資をした人が思わぬ不利益を受けるような状況になれば、活発な取引は期待できません。

そこで、あらかじめ販売や勧誘のルールを定めて利便性を高めるとともに、透明性や公平性を確保するための情報公開について定め、インサイダー取引、相場操縦、開示書類の虚偽記載などの不正行為を規制しているのが金融商品取引法です。

また、インターネットの普及などにより金融商品取引は国際化していることから、金融市場の国際的な競争力を強化することも金融商品取引法の役割の一つです。

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金融商品取引法に違反するとどうなる?

金融商品取引法の罰則は3種類

金融商品取引法に違反したときの罰則には、刑事罰、行政処分、課徴金制度の3種類があります。

①刑事罰

金融商品取引法に違反する行為をした人に対する刑事罰は最高で懲役10年とされています。これは刑法の詐欺罪などと同じ刑罰であり、けして軽い罪ではありません。
実行行為者だけでなく、法人そのものに対しても多額の罰金が科されます。
それぞれの刑罰の内容と刑罰に該当する行為は次のとおりです。

実行行為者に対する刑罰

①10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または併科
■有価証券届出書・発行登録書・有価証券報告書・訂正報告書等について、重要事項に虚偽記載のある書類を提出した者
■公開買付開示公告をはじめとする公開買付け関連の公告または公表等について、重要事項に虚偽記載のある表示のある公告または公表した者
■公開買付届出書・訂正届出書・公開買付撤回届出書・公開買付報告書等について、重要事項に虚偽記載のある書類を提出した者
■公開買付届出前の重要事実の公表義務や公開買付届出後買付期間末日前の重要事実の公表義務について、公表を行わずまたは虚偽の公表を行った者
■不正取引行為・風説の流布・相場操縦的行為等の有価証券の取引等に関する規制に違反する行為をした者

②10年以下の懲役もしくは3,000万円以下の罰金、または併科
■財産上の利益を得る目的で、相場操縦後の相場により有価証券の取引等を行った者

③5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、または併科
■届出をしないで募集または売出しを行った者
■公開買付開始公告を行わない者
■企業内容等の開示書類を提出しない者
■内部統制報告書・四半期報告書・半期報告書・臨時報告書・公開買付けにかかる意見表明報告書・大量保有報告書・訂正報告書等について、重要事項に虚・偽記載のある書類を提出した者
■インサイダー取引に違反した者

法人に対する刑罰

会社の代表者、代理人、使用者その他の従業員が会社の業務に関する違反行為を行った場合、会社に対して7億円以下の罰金が科されます。

②行政処分

金融商品取引法に違反した金融商品取引業者に対しては、業務改善命令、登録の取消し、業務停止、過料などの行政処分が科されることがあります。

③課徴金制度

インサイダー取引などの不公正取引、有価証券届出等の虚偽記載(発行開示義務違反)、有価証券報告書等の虚偽記載(継続開示義務違反)に対しては、課徴金が科されることがあります。課徴金の金額は株券の価格や買付数量などを元に算出されます。

一部の違反行為については、課徴金に関する調査のための処分がなされる前に自主的に証券取引等監視委員会に報告すれば課徴金額が半額になる減額制度が設けられています。

また、インサイダー取引や情報伝達・取引推奨行為を行った者が、違反行為日から遡って5年以内に課徴金納付命令を受けたことがあるときは、課徴金額は1.5倍になります。

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金融商品取引法違反に時効はある?

金融商品取引法違反行為が行われた日から5年が経過すると公訴時効が成立します。

また、裁判で罰金刑の言い渡しがありそれが確定したときから3年が経過すると罰金は時効で消滅します。もっとも、強制執行を受けると時効が中断してしまうため、現実に罰金が時効にかかるケースは少ないでしょう。

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金融商品取引法が禁止する行為

金融商品取引法違反になる行為のうち、代表的なものについて解説します。

インサイダー取引

インサイダー取引とは、会社の関係者が、その会社の株価に重要な影響を与える事実を知り、その重要事実が公表される前に株式などの取引を行うことをいいます。会社の関係者から重要事実について情報を受けた人が同様の取引を行った場合も処罰の対象となります。

インサイダー取引は金融商品市場の信頼を損なう行為であり、金融商品取引法が規制する代表的な行為であるとされています。

たとえば、子会社の幹部社員が、親会社が画期的な新製品の開発に成功したことを知らされ、その事実が公表される前に親会社の株式の買い付けを行う行為が、典型的なインサイダー取引です。

無登録営業

金融商品取引業を行うためには事前に金融庁から金融商品取引業者としての登録を受ける必要があります。

金融商品取引業者として登録を受けるためには、最低資本金などの資産要件に加え、金融商品取引業を適格に遂行するに足りる人的構成を有していることなどが要件となります。

無登録で金融商品取引業を行った場合にはすでに説明したような罰則が科されます。

損失補填

損失補填とは、金融商品の売買で損をした得意先に対し、証券会社が現金などで穴埋めをすることをいいます。損失補填は金融商品取引業者と顧客の双方において禁止行為とされています。

証券会社は市場仲介者として中立、公平、健全に取引に関与することが求められていますが、損失補填は中立性、公平性、健全性に背く行為であるために禁止されています。顧客に対しても禁止行為とされているのは、証券会社に対して損失補填を要求することを抑止するためです。

金融証券取引法成立前のことですが、1991年には証券会社が大口顧客に対して多額の損失補填を行っていたことが発覚して社会問題となり、証券取引法の法改正に繋がりました。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。金融商品取引法についてご理解いただけたでしょうか。

金融商品の取引は私たちの日常生活とはかかわりが薄いことが多く、ニュースなどで金融商品違反と聞いてもピンとこないことが多いかもしれません。

しかし、金融商品の取引は経済を支えているものであり、不正な取引が横行して金融市場の信頼が損なわれることは日本の経済そのものの信頼に関わるのです。

金融商品取引法違反に関するニュースを目にしたときには、その違反行為がどのような弊害をもたらすのか考えてみてはいかがでしょうか。

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