業務横領における会社側の対応|アルバイトや社員にお金を横領された場合

刑事事件
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アルバイトや社員に会社のお金を横領されてしまった…そんな時、どのように対応するのが正しいのかなかなか判断がつかないものです。

今回は自分の会社のお金を横領されてしまったときにどのような対応をすれば良いのか、また実際に刑事告訴をする場合にはどのような手続きの手順を取れば良いのか、アルバイトや社員の業務上横領が発覚した際の正しい対処法について詳しく解説していきます。

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横領を見つけたら|刑事告訴・刑事告発とは?

横領を見つけたら刑事告訴を考えるかと思います。まず、刑事告訴・刑事告発とはどのようなものなのか確認しておきましょう。
刑事告訴・刑事告発とは、警察や検察などの捜査機関に対して、事件を捜査し犯人を処罰してもらうことを求めることを指します。

刑事告訴と刑事告発の違いは、処罰を求める人が誰であるかということです。

・刑事告訴…被害者本人が処罰を求める場合
・刑事告発…被害者以外の関係者が処罰を求める場合

アルバイトや社員の業務上横領によって被害を被った会社は、刑事告訴をすることになります。

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刑事告訴をするメリットとは?

では自社のアルバイトや社員の業務上横領が発覚した場合に、刑事告訴をするメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?

メリット1:犯人に処罰を科すことができる!

実際に裁判の結果犯人が処罰されるかどうかは、刑事告訴をした後の捜査の結果と裁判の進み次第ですが、刑事告訴をすることによって犯人に処罰を科すきかっけを作ることができます。

業務上横領罪の場合、罰金刑はなく、刑罰は10年以下の懲役とされています。

裁判で有罪となり、犯人に懲役刑を科せられた場合、おおまかな懲役期間は以下の通りです。

・被害金額100万円以下:執行猶予
・被害金額500万円:2年の実刑
・被害金額1000万円:2年6か月の実刑
・被害金額3000万円:3年の実刑

このように横領されてしまった金額によって、刑罰を受ける期間は変わってきます。

メリット2:横領金を返済してもらいやすい!

刑事告訴は、横領されたお金の返済を促す有力な手段の1つとされています。

業務上横領は、100万円を超える金額であれば有罪判決を受けることが多く、懲役刑に科せられます。
その際、横領を行なったアルバイトや社員は、刑事裁判が終わるのまでの間に会社側と示談して横領金を返済することで、執行猶予付きの判決となる可能性が高まるのです。

もしも執行猶予がつかずに実刑になってしまった場合でも、横領金を返済していれば、1年ほど懲役期間が短くなることも珍しくありません。

このように、業務上横領罪の刑罰は、横領金を返済したかどうかによって刑の重さが変わってきます。

そのため、横領したアルバイトや社員にとっては、会社側に刑事告訴され、刑事裁判にかけられてしまった場合には、少しでも自分の刑を軽くするために横領金を少しでも返済しようと努力しなくてはなりません。

これらの理由から、刑事告訴は横領された会社のお金を取り戻すための有効な手段と言えるでしょう。

会社としてのケジメをつけることができる!

業務上横領があった場合、当然懲戒解雇するべきです。
しかし、その後も横領したお金の返済がない場合には、解雇しただけで事件を終わらせてもいいのでしょうか?

そこで刑事告訴を行い、犯人に刑事裁判によって刑罰を受けてもらうことで、業務上横領事件について1つのケジメをつけることができるというのも、刑事告訴を行うメリットの1つと言えるでしょう。

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刑事告訴の一連の流れ

では実際に、アルバイトや社員に会社のお金を横領されていたことが発覚した場合には、どのような手順で業務上横領罪の刑事告訴手続きをすれば良いのか、詳しく流れを見ていきます。

弁護士への相談

刑事告訴を行う場合には、まず弁護士への依頼から始めることをおすすめします。

もちろん弁護士を頼まずに告訴することも可能ですが、実際には、自社での刑事告訴では警察がなかなか積極的に動いてくれないことが多いのが事実です。

弁護士に業務上横領の経緯などを詳しく伝え刑事告訴の依頼することによって、適切な書類と証拠を準備したうえで刑事告訴を行うことができますので、その後の警察の協力も得やすくなるでしょう。

告訴状の郵送

刑事告訴を行うためには、まず警察に「告訴状」という文書を提出しなくてはなりません。

「告訴状」には、犯人が
・いつ
・どこで
・どのようにして
・いくらを
横領したのかという、業務上横領に関す事実を正確に細かく記載し、警察に処罰を求める書面のことです。

とはいえ、この告訴状が警察に届いたからといってすぐに刑事告訴が受理されるわけではありません。
多くの場合警察は告訴状のコピーをとり、告訴をすぐには受理せずに告訴状を返送してきます。

警察との打ち合わせ

告訴状を警察に郵送した後は、警察に直接出向き、今後の打ち合わせを行う必要があります。

特に犯人が複数回にわたって何度も会社のお金を横領しているような場合には、「どの横領を処罰の対象にするのかどうか」ということを決めなくてはなりません。

複数回にわたって横領されていて、複数回分の証拠がある場合には、確実な証拠がある分はできるだけ処罰の対象とする決定されることが一般的に多いです。

そしてこの警察との打ち合わせで、刑事告訴を行う対象の横領を確実に証拠のある分の横領のみに絞り込む場合には、最初に警察に郵送した告訴状の記載内容を修正し、告訴状を再度提出し直さなくてはなりません。

告訴状の受理

警察との打ち合わせ後、告訴状を正式に受てもらいます。

告訴状を受理してもらって初めて、警察が捜査をスタートすることとなります。

警察による捜査

警察の捜中には、被害者として警察の捜査に協力しなくてはなりません。

提出できる証拠が増えた場合には追加で提出したり、被害者として調書作成の協力をする必要も出てきます。

このような捜査協力のため、社長や担当者が警察に出向かなくてはならない日も出てきます。

送検される

警察で犯人への取り調べが行われた後には、事件は検察庁に送致されます。

これが「送検」と呼ばれています。

起訴・不起訴を決定する

一通りの捜査が終わった後、検察によって起訴・不起訴の決定がなされます。

ここ「起訴」とは、犯人を刑事裁判にかけるという意味です。
「不起訴」とは、証拠不十分、もしくは被害金額がごく僅かであるなどの理由から、刑事裁判にかけることはしないという判断です。

刑事裁判が行われる

起訴された場合には、裁判所で刑事裁判が行われ、有罪判決が出た場合には、処罰が言い渡されます。

以上が、業務上横領罪の刑事告訴を行う場合の手続きの具体的な流れです。

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証拠不十分で告訴できないことはある?

実は業務上横領は立証が難しい場合が多く、刑事告訴を行なって捜査機関が捜査を行ったとしても、十分な証拠がないとして不起訴となるケースも少なくありません。

ではどのようにして、会社のお金が横領されたということを立証すれば良いのでしょうか?

横領の立証では、被害金の使途先が重要となります。
そのため実際に横領の被害が発生した以降、被疑者が財産をどのようにして処分したのかという状況に関する証拠が重視されます。

例えば、会社の横領の被害にあった金額に近い金額の、物品の購入や借入先への返済を行なっている場合には、横領したお金を支出したものと推定することができます。

また、横領された被害金が引き出されたり持ち出されたりした後に、その被害金の金額と同額か同じ程度の金額が、被疑者の預金口座に入金されていた場合も同様です。横領した会社のお金を自分の口座に振り込んだと推定できます。

このような推定を立証するためには、横領した会社のお金以外に被疑者がそのような金額の財産を持っていないという証拠がないと立証できません。
そのため捜査機関は、被疑者の経済状況に関する証拠を複数集めることによって証拠の収集にあたります。

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どうやって証拠を集めたらいいの?

社員が会社のお金を横領していると疑われるとき、会社はどうやって証拠を集めたらよいのでしょうか。

多くの場合、まず初めに以下のものを調査する場合が多いです。

・会社の預貯金
・会社の金庫内の現金
・帳簿類
・伝票類
・各種契約書
・領収証
・パソコンなど

特に会社で使用しているパソコンの調査では、会社の内外の者とのメールやメッセージのやり取りをチェックすることも場合によっては必要です。

メールやメッセージのチェックによって、横領しているかどうかの事実調査だけではなく、業務上横領に共犯者が存在していたということが判明するケースもあります。

もちろん横領を行なったのが用意周到な人であれば、横領の証拠隠滅のためにデータの改ざん・消去がすでに行われている場合もあります。
しかし専門の業者に依頼することでデータを復元できることもあり、元の改ざん・消去前のデータを確認することができる場合もあります。

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業務上横領を理由に解雇は可能?クビにならない?

アルバイトや社員の横領が発覚した場合には、会社として主に3つの観点から責任を追及なくてはなりません。

・民事上の責任(損害賠償請求)
・刑事上の責任(業務上横領罪・背任罪)
・会社内での責任(懲戒解雇・懲戒処分・人事処分など)

これまで刑事告訴の手順などを紹介してきましたので、ここでは会社内での責任追及についてお話しします。

まずはじめに答えから言ってしまうと、業務上横領だけを理由とした解雇(クビ)は、もちろん可能です。

会社の金品を横領するという行為は、「企業秩序の侵害」であり、明らかに懲戒処分の対象となり得ます。

そのため、犯人に対する会社内での制裁としては、「懲戒処分」が妥当でしょう。
「懲戒処分」には、退職が前提の「懲戒解雇」だけではなく、会社には残るものの罪を償わなくてはならない「けん責」「戒告」「減給」「出勤停止」などの処分があります。

ここで横領の金額や行為の悪質性によっては、懲戒処分の中でも最も厳しいと言われている「懲戒解雇」をする判断をしなくてはなりません。

しかし、懲戒解雇という処分は、会社員にとって最も厳しい処分です。
そのため、以下の条件をクリアしない場合には、違法行為と判断され、無効となってしまいます。

・懲戒解雇の理由は、就業規則に定められている必要がある。
・懲戒解雇とすることが相当なほどの問題行為がある。
・懲戒解雇とする前に、対象となる従業員には弁明の機会を与える必要がある。

このような厳しい条件をクリアして初めて、横領をした犯人を懲戒解雇、つまりクビにすることができるのです。

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まとめ

今回は、会社のお金がアルバイトや社員によって横領されてしまった場合、どのような対処法を取るのが良いのか解説してきました。

刑事告訴する場合には、会社側で入手できる証拠をできる限り多く提出することが大切です。
とはいえ業務上横領は、横領の証拠不十分となってしまうケースも多いのが事実で、警察との綿密なやりとりが必要となります。

もしもアルバイトや社員から会社のお金を横領されていたことが発覚した!という場合には、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に細かく相談したうえで、事件のスムーズな解決を目指していきましょう。

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