ベテラン刑事事件弁護士それとも元検察・元判事の弁護士?

ヤメ検、ヤメ判が刑事事件に有利とは?


ヤメ検ヤメ判という言葉を知っていますか?刑事事件の弁護には、検事出身の弁護士ヤメ検が有利とか、裁判官出身の弁護士ヤメ判が裁判所に顔が効くとか。本当でしょうか?弁護士の伯父から聞いた話をお伝えします。

元検察・元判事の弁護士は、皆、刑事事件に精通している?

判検事出身は、刑事裁判に精通しているから有利と言われます。弁護士の多くは、圧倒的に件数が多く、お金になる民事事件に比重を置いています。法曹としての稼働年数が同じ司法研修所同期の場合、弁護士より、判検事のほうが刑事事件の経験が多いのは当然です。
しかし、判検事出身者の全てが同じではありません。まず、何年勤務した後、弁護士に転身したのかで違います。数年程度では、経験が豊富とは言えません。公費留学年数などが含まれていれば尚更です。
奉職中、実際にどれだけ刑事裁判の現場を経験してきたかが肝心です。判検事には、裁判以外の仕事も沢山あります。検事は、法務省職員として行政官の仕事に長く携わる場合もあります。訟務検事、すなわち国家賠償訴訟等の国側代理人等、民事・行政訴訟を担当する場合もあります。
判事も同様で、裁判所の人事、総務など、司法行政に主に携わり、裁判の経験が少ない人もいます。また判事は、最初から刑事畑と民事畑に別れるので、民事担当には、刑事裁判の経験はほとんどありません。
つまり、判検事出身といっても、同列に見ることはできないのです。

刑事事件の弁護に大切なことは弁護人の熱意

現場の刑事裁判畑を歩んできた判検事なら、経験は豊富です。年間数十件の民事事件をこなす合間に、4~5件の刑事事件を担当するような一般的な弁護士と比べ、捜査手法、起訴不起訴の判断基準、量刑相場などの知識は充実しています。
ただし、その経験は、検察官・裁判官の経験で、「刑事弁護人の経験」ではありません。例えば、弁護人として、最も重要な職務のひとつが示談交渉です。何としても示談を獲得する。被害者に追い返され、罵倒され、依頼者に代わり土下座をしてでも示談書に印鑑をもらう。弁護人に課せられた使命であり、その熱意が最も大切です。昔、裁判官出身の弁護士が、依頼者の家族に、示談をして被害者から示談書をもらって来るよう指示したという笑い話がありました。彼にとって、示談書は誰かが持って来るもので、自分が交渉して頭を下げ、もらってくるものとは思っていなかったようです。

ヤメ検、ヤメ判は、刑事事件に顔が効く?

判検事出身者は、検察庁、裁判所に顔が効くのでしょうか。検察庁も裁判所も、巨大な権力組織です。顔を効かせた結果、裁判の公正が歪められたことが外部に漏れれば、国家的な大問題です。判検事出身だから、捜査や裁判をどうこうしろと要求できるほど、日本の司法は堕落していません。 判検事出身の弁護士でも、誠実に職務を行っている方は、たとえ言外にせよ、顔が効くなどという話を売り物にはしていません。そのような話をメリットとして強調する判検事出身者がいたら、眉毛につばをするべきです。

ヤメ検、ヤメ判事も、ベテラン刑事弁護士と同じ

判検事出身者といっても、その人の経験と熱意次第です。ベテラン刑事弁護士として社会から評価されている方は、刑事事件の場数を踏んでおり、刑事事件弁護に情熱を持っているから評価されるのです。判検事出身の弁護士であっても、同じく刑事裁判の実際の経験が豊富なのかどうか、刑事事件弁護に熱意を持っているのかどうかを基準に選ぶべきなのです。