法律情報局 | よくわかる日常問題! https://www.iaifa.org 日常の法律問題を解説するポータルサイト。身近なトラブル、ニュースで使われる専門用語、弁護士情報を初心者向けにわかりやすく徹底解説します。 Tue, 11 Jul 2023 08:15:58 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=4.9.8 https://www.iaifa.org/wp-content/uploads/2020/11/cropped-fabicon-32x32.png 法律情報局 | よくわかる日常問題! https://www.iaifa.org 32 32 交通事故と弁護士|適切な弁護士を見つけるためには https://www.iaifa.org/koutsujiko_bengoshi/ Tue, 11 Jul 2023 08:15:42 +0000 https://www.iaifa.org/?p=1328 交通事故問題で弁護士を探す場合、適切な弁護士を見つけるためにはどうすればよいのでしょうか。

弁護士の経験や実績は重要な要素ですし、過去の類似ケースでの成功事例やクライアントの満足度などを確認し、信頼性を評価することも大切です。

また「交通事故弁護士相談Cafe」などインターネット上の比較サイトなどで、弁護士の評判やフィードバックを調べることも重要です。

今回は、交通事故で弁護士を探す際にすべきことを解説します。

交通事故問題と弁護士の関係

そもそも交通事故における問題で弁護士が必要になるケースは必ずしも多くはありません。

物損事故と弁護士の関係

物損事故と弁護士の関係性について考えてみましょう。

物損事故は、例えば駐車場で他の車にぶつけたり、信号待ちしている間に後ろからちょっと追突されてバンパーが壊れたりするような、車の損壊に関わる事故です。

このような場合、原則として請求できるのは「修理代」です。

一般的に、治療費や慰謝料などは物損事故においては請求することができません。そのため、物損事故においては弁護士が介入する必要があまりない場合が多いです。

人身事故と弁護士の関係

一方で人身事故と弁護士の関係性について考えてみましょう。

人身事故の場合、特に「交通事故 慰謝料」と「交通事故 後遺障害」の問題が重要です。

保険会社は一般に低額な慰謝料を提示する傾向があります。また、被害者が個人で増額を求めても、保険会社はなかなか応じてくれません。

そのため、交通事故に強い弁護士が関与するケースが多いです。弁護士は、慰謝料の計算や交渉において力を発揮し、多くの場合、被害者の請求金額を大幅に増額することがあります。

そして、後遺障害認定に関しても、弁護士は重要な役割を果たします。後遺障害認定に失敗すると、被害者は正当な補償を受ける機会を逸する可能性があります。弁護士は、必要な書類の作成の手助けをし、後遺障害認定の手続きを支援することで、被害者の権利を守るのに役立ちます。

交通事故 弁護士」については「交通事故弁護士相談Cafe」などでも探すことができるので、ぜひお試しください。

交通事故の弁護士の選び方

それでは、交通事故の弁護士を選ぶ際のポイントについて、以下に続きを書きます。

弁護士の専門性と実績と信頼性

弁護士の専門性と経験は重要な要素です。

交通事故に特化した経験や専門知識を持つ弁護士を選びましょう。過去の事例や実績を調べ、交通事故の分野での成功を積んでいるか確認するのが重要です。

そして、交通事故問題は特殊な法的な要素や手続きがあり、専門知識が求められます。

経験豊富な弁護士は、類似の事案に慣れており、効果的な戦略を立てることができます。

また信頼性については、他の依頼者のフィードバックや評価を参考にすることで、弁護士の信頼性を判断できます。

コミュニケーションスキルを重視する

弁護士とのコミュニケーションは重要です。相談や面談を通じて、弁護士との相性やコミュニケーションスキルを評価しましょう。

相手の理解力や対応力が高く、適切なアドバイスを提供してくれる弁護士を選ぶことが重要です。

電話の際などには、相手があなたの話を真剣に聞いてくれているか、的確な質問や追加情報を求めてくるかなどを注視しましょう。

費用や契約条件を明確にする

弁護士の費用や契約条件についても明確に確認しましょう。

料金体系や支払い方法、契約の範囲や期間などを明確にすることで、後々のトラブルを回避できます。

初回の相談料や着手金、成功報酬などがどのような体系になっているかがポイントです。

まず相談やアドバイスを求める

最終的には、複数の弁護士と相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

無料の初回相談を利用して、自分の状況や問題について詳しく説明し、弁護士の意見や提案を聞いてみましょう。

それに基づいて、信頼できる弁護士を選ぶことができます。

交通事故 弁護士」については「交通事故弁護士相談Cafe」などでも探すことができるので、ぜひお試しください。

交通事故と弁護士のまとめ

今回は、交通事故に強い弁護士の選び方を解説しました。

もしも、弁護士が交通事故の専門知識や経験を持っていない場合、交通事故の問題を適切に扱うことができない可能性があります。

そして、適切なアドバイスや戦略の提供ができず、結果として補償を受ける機会を逸することになります。

弁護士の交渉力や訴訟経験が不十分なことにならないためにも、まずは交通事故に強い弁護士に相談をしましょう。

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債務者と債権者の違いは|わかりやすく民法解説 https://www.iaifa.org/saimutoha/ Tue, 25 Oct 2022 07:31:21 +0000 https://www.iaifa.org/?p=1325 「債権」や「債務」または「債権者」や「債務者」という言葉を、正確に知っている方と、あまり知らないという方に分かれるかもしれません。

これらの言葉、「債権」と「債務」の違いや「債権者」と「債務者」の違いなどをTwitterなどのSNSやYahoo!知恵袋などの電子掲示板で、たまに質問の投稿をされている方もいます。

そこで今回は、債務者と債権者の意味や違いなどの法律の基礎知識をわかりやすく解説します。

債権と債務の意味|民法をわかりやすく解説

民法での「債権」と「債務」とは、どのような意味なのでしょうか。わかりやすく解説致します。

債権とは

債権とは、相手方に給付行為を請求したり、相手方から提供された給付利益を保持することができる地位のことを意味します。

たとえば、お金の貸し借りをした場合の金銭債権が代表的なものです。

この時に、お金の貸主は、借主に対して、お金の返済を請求することができますが、このような地位または権利のことを債権といいます。

債務とは

債務とは、相手方に対して給付をなすべきとの拘束を受けた当事者の地位のことを意味します。

たとえば、お金の貸し借りをした場合の金銭債務が代表的なものです。

お金の借主は、貸主に対してお金の返済義務を負っていますが、このような地位または義務のことを債務といいます。

債権と債務の関係・例

たとえば、土地の売買契約を結んだ「売主と買主」、家屋の「貸主と借主」、また交通事故の「加害者と被害者」といったように、日常生活を送る中で、特定の人と特定の人とが特別な結合関係を形成している場合が少なくありません。

このような特別な結合関係の中で、一方が他方に対して一定の行為(給付行為)を請求することができ、または、他方から給付行為を介して提供される利益(給付利益)を一方が保持することができる関係があります。

たとえば、土地の売買の場合では、売主は、買主に対して売買代金を請求することができますし、買主から提供された売買代金を保持することができます。

他方、買主は、売主に対してその土地の所有権を移転するとともに、その土地を引き渡すように請求することができますし、売主から提供された所有権や占有を保持することができます。

このような債権債務の発生原因として、民法では「契約」「事務管理」「不当利得」「不法行為」を挙げています。

債権者・債務者とは|わかりやすく解説

では、民法での「債権者」と「債務者」とは、どのような人のことを意味するのでしょうか。わかりやすく解説します。

債権者とは

債権者とは、債務者に対して給付行為を請求したり、債務者から提供された給付利益を保持することができる地位を有する人のことをいいます。

債権者は、債務者に対して一定の給付(行為)を請求することができ、このことを債権の「請求力」といいます。

また、債権者は、債務者からの給付(利益)を保持することができ、このことを債権の「給付保持力」といいます。

債務者から任意の給付がないときには、債権者は、債務者を相手として訴訟を提起し、給付をするように求めることができます。このような権能のことを「訴求力(裁判上の制球力)」といいます。

また、給付を命じる判決を得ても債務者が給付をしない場合には、債権者は、債務者に対して強制執行を行い、債務者の財産から強制的に給付を受けることができます。このような権能のことを「強制力」といいます。

債務者とは

債務者とは、債権者に対して給付をなすべきとの拘束を受けた当事者の地位を有する人のことをいいます。

債務者は、債権者との関係では、債権者に対して給付をすべきであるとの拘束を受けていますので、債務者は債権者に対して給付義務を負っているといえます。

また、債務者としては、単に給付を債権者に実現すれば足りるというだけでなく、債権関係の目的に即して債権者が給付を利用することができるような措置をとることが信義則上義務付けられることがあります(付随義務)。

さらに、給付をするにあたっては、債権者の生命・身体・財産といった債権者が有している利益を侵害しないように注意して行動することも信義則上義務付けられている場合があります(保護義務)。

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画像をリツイートすると著作者人格権侵害で違法? https://www.iaifa.org/retweet/ Tue, 22 Jun 2021 08:38:18 +0000 https://www.iaifa.org/?p=1188 2020年7月21日、最高裁でリツイートの著作権侵害と発信者情報開示についての判決が出されました。

今回は、最高裁判決と林裁判官の反対意見を中心に、Twitterでリツイートをする際に考えることを検討してみましょう。

最判令和2年7月21日の事案

本件は、簡略化すると次のような事実関係で、著作権者がTwitter社に対して発信者情報開示を求めた事案でした。

  1. ある写真家の写真が、無断で、あるTwitterアカウントのプロフィール画像に使用された
  2. 同様に、無断で写真を画像付きツイートとして使用された
  3. この無断で使用されたツイートを複数人がリツイートした

このうち、無断でプロフィール画像に使用したり、無断でツイートするのは、公衆送信権の侵害にあたり著作権法違反となる(著作権法23条1項)ということは分かりやすいと思います。

問題はリツイートした人が著作権侵害または著作者人格権侵害になるかということです。
ただ、本件は無断でツイートされた画像のリツイートであって、著作者自身のツイートのリツイートとは全く異なる、という点は最初に押さえておきましょう。

なお、本件判決には、今回記事で解説する内容のほか、

  • HTMLデータの送信もプロバイダ責任制限法4条1項1号の「侵害情報」にあたり得るとしたこと
  • 氏名表示権の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は著作物の利用に係ることを要しないとしたこと

という2つの意義がありますが、長くなってしまうので割愛します。
様々な先生方が解説を書かれているので、探してみてください。

リツイートの何が問題か

事案当時のTwitterの仕様では、画像付きツイートがリツイートされると、自動でトリミング(インラインリンクが生成)されるようになっています。
本来正方形の画像が横長に、縦長の画像が正方形などにトリミングされて表示されているのは、Twitterを使っている方はなんとなくイメージできると思います。

例えば下の画像のように、左が実際の画像だとして、タイムラインでは右側の中央だけのようにトリミングして表示されることが通常です。
こうなると、画像端に入っている著作者の氏名などは表示されません。

写真を無断で使用された原告は、このリツイートによって画像にある自分の氏名がトリミングされたことで、同一性保持権(同法20条1項)と氏名表示権(同法19条1項)を侵害されたと主張したのです。
この他、公衆送信権、名誉声望保持権(著作権法113条6項)などの侵害も問題としていますが、いずれも侵害を否定されていますので、この記事では割愛します。

また「トリミングの主体が誰になるのか」というのも重要な争点ですが、Twitterの仕様とはいえリツイートした人がトリミングの主体とされている、と認識しておけばよいでしょう。

最高裁の判断

まずは判決文の一部を引用します(以下、〔〕内筆者、()内原文)。

本件各リツイート記事中の本件各表示画像をクリックすれば,本件氏名表示部分がある本件元画像を見ることができるとしても,本件各表示画像が表示されているウェブページ〔タイムライン〕とは別個のウェブページ〔元画像のページ〕に本件氏名表示部分があるというにとどまり,本件各ウェブページ〔タイムライン〕を閲覧するユーザーは,本件各表示画像をクリックしない限り,著作者名の表示を目にすることはない。また,同ユーザーが本件各表示画像を通常クリックするといえるような事情もうかがわれない。
〔中略〕本件各リツイート者は,本件各リツイートにより,本件氏名表示権を侵害したものというべきである。

簡単に言えば、「通常表示されるタイムラインで氏名表示が切れていて、拡大表示しなければ著作者名を見られないうえに、通常は毎回拡大表示などしない。したがって、リツイートでは著作者名が表示されておらず、氏名表示権を侵害している」ということです。
原審である知財高裁判決から変わっていません。

なお、同一性保持権については原審では侵害が認められましたが、最高裁では特に言及していません。

しかし、考えてみれば、Twitterの仕様で勝手にトリミングされてしまうのに、リツイートしたひとが著作者人格権侵害に問われるというのは納得できないところもあるでしょう。
何も知らずにリツイートしたら氏名表示権侵害で、発信者情報が開示され(本件ではメールアドレスのみ)、論理的には損害賠償請求もあり得るというのは、Twitterユーザーとしては全く安心できないはずです。

こうした判決の問題点を指摘しているのが、林景一裁判官の反対意見です。

林反対意見と戸倉補足意見

林反対意見

まず、林裁判官は、Twitterの仕様で決められていてリツイートした人には表示方法の変更等の余地がないのに、トリミングの主体とするのは言えないとしています。

本件氏名表示部分の不表示は,ツイッターのシステムの仕様(仕組み)によるものであって,こうした事態が生ずるような画像表示の仕方を決定したのは,上告人〔Twitter社〕である。これに対し,本件各リツイート者は,本件元ツイートのリツイートをするに当たって,本件元ツイートに掲載された画像を削除したり,その表示の仕方を変更したりする余地はなかったものである。
また,上記のような著作者人格権侵害が問題となるのは著作者に無断で画像が掲載される場合であるが,本件で当該画像の無断アップロードをしたのは,本件各リツイート者ではなく本件元ツイートを投稿した者である。
以上の事情を総合的に考慮すると,本件各リツイート者は,著作者人格権侵害をした主体であるとは評価することができない

個人的には実にそのとおりのご指摘だと思います。
「トリミングされる仕様にしておいて、トリミングによって著作権の問題が生じたらユーザーの責任です」というのは一般的には筋の通った論理とは思えません。

次に、林裁判官はTwitterなどのSNSの情報インフラとしての重要性を踏まえ、わいせつ画像や誹謗中傷がツイートもリツイートも許容されないことは当然としたうえで、一般的に問題ないと判断される画像などあらゆる画像付きツイートで出典や著作権者の同意などを確認しなければいけないのは利用者の負担が大きいと述べています。

本件においては,元ツイート画像自体は,通常人には,これを拡散することが不適切であるとはみえないものであるから,一般のツイッター利用者の観点からは,わいせつ画像等とは趣を異にする問題であるといえる。

多数意見や原審の判断に従えば,そのようなものであっても,ツイートの主題とは無縁の付随的な画像を含め,あらゆるツイート画像について,これをリツイートしようとする者は,その出所や著作者の同意等について逐一調査,確認しなければならないことになる。私見では,これは,ツイッター利用者に大きな負担を強いるものであるといわざるを得ず,権利侵害の判断を直ちにすることが困難な場合にはリツイート自体を差し控えるほかないことになるなどの事態をもたらしかねない。

この林反対意見は、おそらく一般的なTwitterユーザーの感覚に近いものでしょう。
ユーザーが「リツイート前に、そのツイートの著作権侵害等を検討してからでないと、あなたが著作権法違反になります」と言われれば、リツイートを控える人も出てくると思います。

ただ、多数意見は、こうしたユーザーの負担も、著作権侵害を防ぐためにやむを得ないものと判断しているようです。
このことは次にご紹介する戸倉補足意見から読み取れます。この戸倉補足意見を読むと、多数意見の考え方も理解しやすくなります。

戸倉補足意見

戸倉三郎裁判官(裁判長)の補足意見では、上記反対意見にあるユーザーの負担について、次のように述べています。

リツイートを行うに際して,当該画像の出所や著作者名の表示,著作者の同意等に関する確認を経る負担や,権利侵害のリスクに対する心理的負担が一定程度生ずることは否定できないところである。

しかしながら,それは,インターネット上で他人の著作物の掲載を含む投稿を行う際に,現行著作権法下で著作者の権利を侵害しないために必要とされる配慮に当然に伴う負担であって,仮にそれが,これまで気軽にツイッターを利用してリツイートをしてきた者にとって重いものと感じられたとしても,氏名表示権侵害の成否について,出版等による場合や他のインターネット上の投稿をする場合と別異の解釈をすべき理由にはならない

つまり、Twitterであっても出版であっても、その他のSNS等であっても、著作権侵害に注意するのは同様であるということを述べています。
この結論は、林反対意見も指摘する「ユーザーは画像の表示方法を変更できない」という点を考慮できていないようにも感じます。

通常、出版であれば当然著者や出版社がハンドリングして多重にチェックできますし、問題があれば自分たちの意思で変更できます。
しかし、リツイート元のツイートが著作権侵害しているかどうか、Twitterの仕様上リツイートによって著作者人格権を侵害するかどうかについて、ユーザーに都度チェックを要求するのは現実的ではなく、仮に侵害に気付いても変更できない以上、ユーザーに負担を負わせるのは適切ではないでしょう。

ともあれ、これらを述べたうえで、ユーザーが意図せず著作権侵害等をしてしまう危険性も考慮して、Twitter社に対して適切な対応を求めています。

今後も,そのような仕様であることを知らないリツイート者は,元の画像の形状や著作者名の表示の位置,元ツイートにおける画像の配置の仕方等によっては,意図せざる氏名表示権の侵害をしてしまう可能性がある〔中略〕。

ツイッターは,社会各層で広く利用され,今日の社会において重要な情報流通ツールの一つとなっており,国内だけでも約4500万人が利用しているとされているところ,自らが上記のような状況にあることを認識していないツイッター利用者も少なからず存在すると思われること,リツイートにより侵害される可能性のある権利が著作者人格権という専門的な法律知識に関わるものであることなどを考慮すると,〔中略〕著作者人格権の保護やツイッター利用者の負担回避という観点はもとより,社会的に重要なインフラとなった情報流通サービスの提供者の社会的責務という観点からも,上告人〔Twitter社〕において,ツイッター利用者に対する周知等の適切な対応をすることが期待される

余談ですが、この戸倉裁判官は、あの有名な岡口基一裁判官に関連して、「裁判官がTwitterにパンツ一丁の写真を上げるのは許容されるが、縄で縛られた写真はアウト」という、いわゆる戸倉基準を打ち出した人です。
まあ許容すると明言したわけではなく、特に言及しなかっただけですが…。

今後のTwitterはどうなる?

おそらくですが、今回の判決や補足意見を受けて、Twitterは仕様変更するのではないでしょうか。

戸倉補足意見は「周知等」と述べていますが、実際に利用規約などをしっかり読む人はそれほど多くありませんし、現実的に今回のような問題を生じさせないためには仕様変更が最も確実です。

また、もしこのままの状態でいると、リツイートした人が著作権者から損害賠償請求などを受けた場合、Twitterの仕様に問題があるとしてリツイートした人からTwitterに損害賠償請求または求償される可能性もあるでしょう。

Twitterユーザーはどうすればいい?

しかし、仕様変更は別にしても、私たちがTwitterなどのSNSを利用する際には、著作権侵害の可能性や、今回は取り上げていませんが名誉毀損などの可能性もある点に十分注意する必要があります。

SNSは実生活と比べると他者の権利侵害に鈍感になってしまう側面があるように感じますが、場がSNSであるというだけで、それぞれの権利については変わらないということを再認識しましょう。

それにしても本件の判決は現実からの乖離が少し大きいような気はしますが…。
本件は発信者情報開示請求に伴う判断なので、著作権者:ツイッター社の訴訟で、もし著作権者:リツイート者の損害賠償請求訴訟であれば、また異なる判断になった可能性は十分にあると思います。

著作権者は何に気をつければいい?

一般論に近いですが、画像に関して言えば、画像内に著作権者の名前を表示しておくことが有効です。

というのも、著作権の訴訟等では、「その画像が本当にその著作権者のものなのか」が争われることが少なからずあり、署名がないと著作権者が自分の画像であることを立証しなければなりません。
画像内に署名を入れておくことで立証責任が転換され、侵害者が、その著作権者の画像でないことを立証することになります。

本件の原告も署名を入れていましたが、画像の端に入れた署名はトリミングされてしまって、今回の判決に至ったということですね。

リツイートで名誉毀損!逮捕され罪になる・損害賠償になるって本当?

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いじめ防止対策推進法とは?3つの問題点も解説 https://www.iaifa.org/act-for-the-promotion-of-measures-to-prevent-bullying/ Thu, 15 Sep 2022 06:36:01 +0000 https://www.iaifa.org/?p=1315

いじめに関連する法律である、「いじめ防止対策推進法」について解説していきます。
いじめ防止対策推進法は、平成25年6月21日に成立し、9月28日に施行された法律です。
いじめ問題を解決するため、いじめの対応と防止について学校や行政などの責務を規定しています。

いじめ防止対策推進法ができた背景

では、なぜこの法律ができたのでしょうか。
きっかけとなったのは、2011年に起きた「大津市中2いじめ自殺事件」です。

いじめによって男子生徒が自殺した事件で、学校側の情報の隠蔽・第三者による調査の遅れ・いじめ対策における連携不足・加害者や関係者への処分など、
多くの問題が浮き彫りとなり、世間でも大きな注目を集めました。

この事件の反省から、いじめ防止対策推進法が制定されたのです。

いじめ防止対策推進法のポイント

  • いじめの定義
  • いじめ防止基本方針
  • 学校(学校の設置者)が講ずべき基本的施策・措置
  • 重大事態への対処

①いじめの定義

一つ目に、いじめの定義です。

この法律によって、いじめの定義が決められました。
その結果、いじめは直接的なものだけではなくインターネットを通じて行われる「ネットいじめ」も含まれることや、
程度によらずいじめられている本人がいじめだと感じれば「いじめ」にあたることなどが決められました。

②いじめ防止基本方針

二つ目に、いじめ防止の基本方針です。

いじめ防止対策推進法によって、国や地方公共団体、学校はいじめ対策をすることが義務づけられるようになりました。
また、いじめ対策のために関係者を集めた協議会を立ち上げることもできるようになりました。

③学校(学校の設置者)が講ずべき基本的施策・措置

三つ目に、学校または学校の設置者が講ずべき基本的施策やいじめの措置についてです。

まず、基本的施策としては、道徳教育の充実や相談体制の整備など、画面右側にあるような項目を行うよう定められました。
簡単にまとめると、いじめが起きないように事前に対策や研究を行うこと、そしていじめが起きた時に早期発見や相談をしやすい環境を整えることが求められたということです。

次に、いじめへの措置としては、事実確認を行い結果をきちんと報告することや、関係者に対する対処を規定することなどが定められました。
被害者への支援はもちろん、加害者への対処として警察との連携や、懲戒といった処罰が設けられたことも注目する点です。

④重大事態への対処

四つ目に、重大事態への対処です。

重大事態とは、「いじめられた子供の心身・財産に重大な被害が生じた疑いがあるとき」、また「相当期間学校を余儀なく欠席している疑いがあるとき」を指します。
大まかに、酷いいじめが起きているとき、長期間学校を休んでいるときと考えていいでしょう。

この重大事態が起きた時は速やかにいじめの調査を行うこと、被害者に情報を提供することなどが定められました。
また、地方公共団体といった第三者への報告も必須とされ、場合によっては第三者が再調査や必要な措置を講ずることができるようにもなっています。

これにより、いじめの隠蔽などが行われにくい体制づくりを目指されました。

いじめ防止対策推進法の3つの問題点

問題点①いじめの定義の範囲・認識の齟齬

まず、いじめの定義の範囲と認識の齟齬についてです。

いじめ防止対策推進法では、いじめの定義が「被害者がいじめだと感じればいじめになる」と決められました。

しかし、そうはいっても、意図せず少しぶつかってしまっただけというような些細なことでも、被害者がいじめだと言えばいじめになってしまうのかなど、定義が広すぎるがゆえに問題も生じています。

また、明確な基準や境界線がないことで、被害者がいじめを訴えても客観的にはいじめではないとして学校側に真摯に取り合ってもらえないケースや、被害者が「大丈夫」だと隠してしまうことでいじめを見抜けないケースもあるようです。

問題点②いじめ対策に向けた対応と認識が不十分

次に、いじめ対策に向けた対応と認識の強化です。

実は、いじめ防止対策推進法が制定されたといっても、学校などの現場にはあまり浸透していないのが事実です。
その理由として、教師や教育委員がいじめ対策への時間を十分に取れていないことが挙げられます。

特に教師においては、長時間労働やサービス残業の慢性化など、過重労働を強いられていることを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
現在の業務に多くの時間が取られてしまい、新しく制定されたいじめ防止対策推進法を勉強する時間が取れない、いじめを発見しても個別的に対応する時間が十分に取れない、そういった課題があるのです。

そのため、この法律をさらに活用していくためには、現場でのいじめへの認識の強化や労働環境の改善といったことも必要となっています。

問題点③不適切な対応をしたときの学校側の処分がない

最後に、不適切な対応をしたときの学校側の処分です。

今のいじめ防止対策推進法には、学校や教育委員会への処罰は規定されていません。
そのため、十分な対応をしなくても処罰がないからと、学校によっていじめに対する取り組みに格差がでたり、いじめを知っていたにもかかわらず対応しなかったということが起こり得てしまう状態になってしまっています。

また、いじめは必ずしも子供間のみで起きているというわけではなく、教師が加担しているケースも多くあります。
そのような場合には誰がどのようにして責任を取るのか、といった問題点も残っています。

まとめ

以上、いじめ防止対策推進法についてお話してきました。

ここまでお話してきたように、いじめ防止対策推進法は良い影響をもたらした部分もありますが、いまだに課題も残っています。
今後、いじめを少なくしていくためにも、国民全体で改善すべき点に声をあげていくことが大切だといえるでしょう。

 

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刑事事件での弁護士の役割とは?やってくれる事・やってくれない事 https://www.iaifa.org/role/ Sun, 06 Aug 2017 10:55:22 +0000 https://www.iaifa.org/?p=51 刑事事件の弁護人となる弁護士は、どんな事をしてくれるのでしょうか。また、頼んでもやってくれない事もあるのでしょうか。

弁護士に普段接する機会がありませんので、サービス内容は正直わかりません。相談に事務所に行って、せっかく依頼しようとしても断られたら時間の無駄になってしまいます。

今回の記事を通して、刑事事件弁護士がやってくれること、その役割を正確に把握して、自分のニーズにあっているか確認したうえで、依頼するようにしましょう。

弁護士がやってくれる事

被疑者、被告人との面会

刑事事件における弁護士の役割のうち、第一に重要なのが、身柄を拘束された被疑者、被告人との面会です。

特に捜査の初期段階は重要です。逮捕から勾留までの間(最長48時間)は、面会(接見)できるのは弁護士だけです。

また勾留された以後でも、捜査機関の立会なしに面会し、自由に書類や書籍の差し入れをできるのは弁護士だけです。裁判官は、勾留後でも、検察官からの請求により、面会を禁止することができますが、弁護士の面会を禁止することはできません。

面会は、事件について、本人からの情報を得る一方、本人に法律的な助言を行う大切な機会です。また本人から家族や勤務先へ伝えたいことを聞き取り、家族などから本人への伝言を伝える事実上の連絡役を果たします。

刑事事件で弁護士に依頼するタイミングとしては、早ければよいと言われる理由、スピード勝負といわれる理由はここにあります。

被害者との示談交渉

示談交渉も弁護士の大きな役割です。示談するか否か、示談金を幾ら支払うかは、本人次第ですが、身柄拘束されている場合はもちろん、在宅事件の場合でも、弁護士が代理人となったほうが、被害者側も安心して示談に応じてくれる傾向が強いのです。

示談交渉が成立すれば、被告人にとって有利な証拠となり、不起訴獲得が近づきます。

これは、刑事事件に強い弁護士に依頼するメリットになります。

刑事事件の保釈申請・公判手続

起訴後、保釈の申請も大きな役目です。自由の身で、裁判に備えることは大切です。弁護士が手続することを条件として保釈金を融資する機関もあるので、よく弁護士と相談して積極的に活用するべきです。

公判が開かれてからの手続は、専門家である弁護士に任せざるを得ないでしょう。通常、弁護士は、ひとつひとつの手続を説明し、意向を確認しながら進めますので、不明なことは正直に尋ねて、意見を伝えることが大切です。

被告人の利益を守る

弁護士は、いつでも本人の意向に従う義務があるわけではありません。例えば、本人が有罪を認めていても、弁護士が無罪だと確信した場合は、無罪を主張することが許されます。弁護士が、被告人から独立して、被告人を守護する立場にあるからです。

逆に、被告人が無罪を主張している場合に、弁護士が有罪の主張をすることは許されません。弁護士は、あくまでも被告人の利益を守るためのものだからです。

弁護士がやってくれない事

違法行為に加担はできない

面会で、自宅などに残した証拠物を移動してしまって欲しいとか、まだ逮捕されていない共犯者に早く逃げるよう伝えて欲しいなどの要望を受けることがあります。しかし、これらの要望に応ずることは、それ自体が証拠隠滅罪、犯人隠避罪という犯罪ですから、弁護士は応じることはできません。

もっとも、弁護士は守秘義務がありますので、これらの要望を捜査機関等に漏らすことはありません。

刑事事件と無関係な依頼には応じられない

身柄拘束された本人から、逮捕されて家賃を支払えず、アパートを退去したいから、大家と解約の交渉をして、明け渡し、敷金を返還してもらってほしいとか、友人に貸した金を回収し弁護費用に充ててほしいなどの要望を受けることがあります。

相手に事情を伝える程度のことならば、断る弁護士はいないと思いますが、これらは刑事事件とは無関係な民事事件です。私選弁護人の場合は、別途、民事事件の代理人として別途の受任契約を結んで担当する選択肢もありますが、国選弁護人の場合は、そもそもそのような依頼を受けることは禁止されていますので、応じることはできません。

被害者の依頼を受けない

刑事事件は、被疑者や被告人といった加害者と、被害を受けた被害者が存在します。刑事事件弁護士は、被害者よりは、加害者向け弁護を中心に活動されている弁護士が多いです。よって、被害者の依頼を受けないという事務所も存在するので注意が必要です。

弁護士の相談方法

弁護士相談

家族が逮捕された場合は、釈放してもらうには時間が勝負ですので、刑事事件に強い弁護士にまず無料電話相談することをお勧めします。

電話での無料相談を受け付けていない場合は、法律事務所への来所予約をとって弁護士あって相談するのがよいでしょう。

弁護士費用が心配になりますが、初回相談時に、着手金がいくらになるのか?成功報酬がどうなっているのか詳細が説明されるので、心配はいりません。分割払いも可能かなども確認しておくとよいでしょう。

とにかく、安い事務所がよいという視点で選んでしまうと、釈放もされず、刑も軽くならず、示談もできないという結果になりかねません。

外国人の方向けに通訳を設けている弁護士事務所もあります。また、元検事がいる弁護士事務所や、土日も相談を受けて付けている弁護士事務所などサービスには差があるので、お客様の声などの評判を参考にしながら、弁護士を選ぶとよいでしょう。

選び方に関しては、「刑事事件に強い弁護士の選び方、探し方」の記事を参考にしてください。そりが合わずに、途中で変更というのも大変ですので、しっかりと評判を踏まえて見極めたいところです。

私選弁護人は、「つけない」という選択もあり、国選弁護人に依頼することもあるでしょうが、無料相談をしてから決めても遅くないでしょう。

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国選弁護士から私選弁護士に変更する事は可能か? https://www.iaifa.org/change_lawyer/ Sun, 13 Aug 2017 10:53:14 +0000 https://www.iaifa.org/?p=53 国選弁護士に依頼して、刑事事件の弁護人となってもらったけれど、どうも波長があわない、こちらの言うことをあまり熱心に聞いてくれない。刑事事件に慣れておらず、新人ぽく、どこか頼りない。

このままでは、裁判で不利にならないか心配なので、私選弁護士を変えたいが、変更することはできるのかでしょうか?

国選弁護人選任手続は若干異なる

事件内容によって、国選弁護人選任のための手続が異なります。

弁護人がいないと開廷できない必要的弁護事件は、被告人から請求すれば、国選弁護人がつきます。必要的弁護事件には、

  • ①重大事件
  • ②争点が複雑な事件(公判前整理手続、期日間整理手続に付された事件)
  • ③裁判の手続を簡略化し、スピーディにする代わりに、被告人の利益が害されないよう配慮したもの(即決裁判手続)

があります。

それ以外の事件では、50万円以上の資産(現金、預金等)がない場合は、資産がないことを記載した資力申告書を裁判所に提出します。50万円以上の資産がある場合は、弁護士会に他の弁護士を紹介してほしいと申し出て、誰も引き受けてくれなかった場合であって、初めて国選弁護人がつきます。

もっとも、私選弁護の費用を支払いたくなければ、無料で引き受ける弁護士がいない限り、引き受け手がいないことになりますから、実際は、弁護士会への申し出は形式的に要求されるに過ぎません。

刑事事件の国選弁護制度は、資力にかかわらない

刑事訴訟法第36条は、

「被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。」

としています。「貧困その他の事由により」ですから、財力があるか否かは問題外です。

弁護費用が払えるか否かに関わりなく、何らかの理由によって、私選の弁護人を選任できない場合であれば、国選弁護人をつけるよう請求ができるのです。

参考:国選弁護制度

但し、国選弁護士は、刑事事件の経験豊富な弁護士ばかりが選ばれるわけではないので、頼りない、やる気がないと感じることがあるようです。

その場合は、私選弁護士を選ぶことができます。

国選弁護人を解任してから、私選弁護を請求できる

当然ですが、国選弁護人がついたままでは、私選弁護人の選任を請求はできません。

国選弁護人を解任することは、依頼した被告人の自由です。解任することに何らの理由もいりません

国選弁護人を解任すると意思表示さえすれば足ります。具体的には、国選弁護人に解任したい旨を伝えれば、国選弁護人が裁判所に解任なり辞任なりを伝えます。

被告人が在宅の場合は、裁判所書記官から、今後の弁護人について、他の私選弁護人をつけるか、国選弁護人をつけるか問い合わせの書面が来ますので、これに私選弁護人を希望すると記入して返送すれば良いのです。勾留されている場合は、拘置所に書類が届きます。記入して看守に渡せば、裁判所へ提出してくれます。

 

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刑事事件弁護士を選ぶなら元検事(ヤメ検)弁護士?ベテラン弁護士? https://www.iaifa.org/expert-lawyer/ Sun, 20 Aug 2017 11:58:40 +0000 https://www.iaifa.org/?p=56 ヤメ検ヤメ判という言葉を知っていますか?

  • ヤメ検とは、検察官(検事)出身の弁護士
  • ヤメ判とは、裁判官出身の弁護士

を言います。刑事事件の弁護には、ヤメ検が検察に顔が効くので有利とか、ヤメ判が裁判所に顔が効くので有利とか言われます。本当なのでしょうか?

検察官のお仕事とは?

検察官とは何でしょうか?検察官は、検事と副検事がいます。法律に違反した被疑者をしらべて、裁判にかけるか、かけないか?慎重に判断する仕事をしています。

警察は、犯人を見つけて逮捕し、証拠集めがお仕事です。

一方、検察官は、被疑者が本当に犯人かを調べて、起訴するか(裁判にかけるか?)判断します。起訴されなければ、裁判も始まりませんので、大きな役割を検察が持っています。

起訴できるのは検察官だけです。それだけ検事の仕事は責任が大きいのです。

参考外部サイト:検察官って何?(検察庁サイト)

元検事・元判事の弁護士は、刑事事件に精通している?

判検事出身は、刑事裁判に精通しているから有利と言われます。

弁護士の多くは、圧倒的に件数が多く、お金になる民事事件に比重を置いています。

交通事故専門(弁特を使って慰謝料増額の示談交渉)とか、債務整理専門(ひたすら借金整理、自己破産の仕事)とかで、他の刑事事件は経験が少ない弁護士も実際にはいます。

法曹としての稼働年数が同じ司法研修所同期の場合、刑事事件に力をいれている事務所は別として、一般の弁護士より、判検事のほうが刑事事件の経験が多いのは当然です。

しかし、判検事出身者の全てが同じではありません。まず、何年勤務した後、弁護士に転身したのかで違います。数年程度では、経験が豊富とは言えません。公費留学年数などが含まれていれば尚更です。

在職中、実際にどれだけ刑事裁判の現場を経験してきたかが肝心です。

検事・判事の仕事

判検事には、裁判以外の仕事も沢山あります。

検事は、法務省職員として行政官の仕事に長く携わる場合もあります。訟務検事、すなわち国家賠償訴訟等の国側代理人等、民事・行政訴訟を担当する場合もあります。

参考外部サイト:法務省における検事の職務(法務省)

判事も同様で、裁判所の人事、総務など、司法行政に主に携わり、裁判の経験が少ない人もいます。また判事は、最初から刑事畑と民事畑に別れるので、民事担当には、刑事裁判の経験はほとんどありません。

参考外部サイト:裁判官の人事評価の現状と関連する裁判官人事の概況(裁判所)

つまり、判検事出身といっても、同列に見ることはできないのです。

ヤメ検、ヤメ判は、刑事事件に顔が効く?

判検事出身者は、検察庁、裁判所に顔が効くのでしょうか。検察庁も裁判所も、巨大な権力組織です。

顔を効かせた結果、裁判の公正が歪められたことが外部に漏れれば、国家的な大問題です。判検事出身だから、捜査や裁判をどうこうしろと要求できるわけではありません。

判検事出身の弁護士でも、誠実に職務を行っている方は、たとえ言外にせよ、顔が効くなどという話を売り物にはしていません

ヤメ検弁護士の強みとは?

検察は起訴するかしないかを判断する仕事をしているわけですが、弁護士は被疑者の不起訴を獲得する仕事をしており、相反する立場にいます。

つまり、元検事の弁護士の強みは、その相手となる、検察の考え方・立証の仕方を熟知している点(手の内を熟知している)になります。

不起訴や、無罪判決、執行猶予を獲得する可能性を高められるといえるでしょう。

また、弁護士からの視点だけではなく、検察の視点をいれて複合的な刑事弁護の戦略を練ることが可能になります。また、経験に裏付けられた落としどころを見つけるもの、長けているといえるでしょう。

刑事事件の弁護に大切なことは弁護人の熱意

現場の刑事裁判畑を歩んできた判検事なら、経験は豊富です。年間数十件の民事事件をこなす合間に、4~5件の刑事事件を担当するような一般的な弁護士と比べ、捜査手法、起訴不起訴の判断基準、量刑相場などの知識は充実しています。

ただし、その経験は、検察官・裁判官の経験で、「刑事弁護人の経験」ではありません

例えば、弁護人として、最も重要な職務のひとつが示談交渉です。何としても示談を獲得する。被害者に追い返され、罵倒され、依頼者に代わり土下座をしてでも示談書に印鑑をもらう。

昔、裁判官出身の弁護士が、依頼者の家族に、示談をして被害者から示談書をもらって来るよう指示したという笑い話がありました。彼にとって、示談書は誰かが持って来るもので、自分が交渉して頭を下げ、もらってくるものとは思っていなかったようです。

弁護人に課せられた使命であり、その熱意が最も大切です。単に肩書き、だけではなく、最期はその弁護士の人柄を見て、依頼するかどうか判断するとよいでしょう。

弁護士の選び方は、下記を参考にしてください。

 

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刑事事件の弁護士費用は安いほどいいの?払えない場合は分割可能? https://www.iaifa.org/lawyer-cost/ Mon, 28 Aug 2017 10:08:34 +0000 https://www.iaifa.org/?p=58 刑事事件の弁護をお願いするときに、弁護士によって弁護士報酬の金額が大きく違うことがあります。高い先生の方が有能なのでは?安くても一生懸命やってくれる先生もいるのでは?払えない場合は、分割払いは可能なのか?と疑問があります。こちらを本日は解説いたします。

この記事を読んでわかること

  • 弁護士費用が安いほど良いというわけではない。実力と費用は比例しやすい。
  • 弁護士の力量が問われない事件(判決が一緒)で法外請求されることがある
  • 実力・経験が伴わないのに弁護士費用が高い弁護士もいる
  • 分割払いに対応している刑事事件弁護士もいるが、すべての事務所ではない
  • 費用が払えないなら、国選弁護士を利用する権利を持っている

刑事事件の弁護士費用は安いほうが良いは間違い

「刑事事件の弁護費用は、安ければ安いほど良い。ただし、当然に例外もある。」といわれています。その理由は?

まず、弁護士も時間を売る商売であること。もちろん、弁護士は、法律の知識、法的判断力、裁判実務の経験が売り物ですが、一番の商品は、その弁護士自身の時間です。

事務所経営には、事務員らの人件費、事務所の家賃、OA機器のリース代、弁護士会費、弁護士保険料、法律書籍代(これが馬鹿にならない!)といった固定経費がかかります。稼がなくてはならない金額は、毎月決まっています

時間あたり単価の安い依頼者の刑事事件に多くの時間は割けません。

次に、弁護士も同じ人間です。着手金が高いほど、また、その刑事事件で執行猶予判決や無罪判決をとることに成功した場合の報酬金が高いほど、やる気が湧きます

また、刑事事件の弁護費用が高いのに、依頼者が尽きない先生には、相応の実績があります。

弁護士にとって、一番の集客方法は、依頼者の口コミです。依頼者が、あの先生にまかせて良かったからと、次の依頼者を紹介してくれます。刑事事件の弁護費用が高くとも、口コミの連鎖が途切れないのは、期待に応え続けているからです。

つまり、弁護士費用も安く実力の伴う刑事事件弁護士に出会えればよいですが、一般的には、費用と実力が比例していると考える方が自然です。

刑事事件の弁護士費用が高いことが良くない例もある

ただし、世の中には、なんでも例外があります。

結論が変わらないのに法外請求

第一に、誰が弁護をしても同じ結論になるのに、金額がやたら高い弁護士がいます。

例えば、大麻所持、自己使用目的、微量、自白あり、反省あり、前科なし、家族あり、定職あり、職場復帰可能、家族や上司が情状証人予定、こんなケースは、100%執行猶予判決です。

弁護人によって結論が動くことはありません。国選弁護で十分ですが(その場合、被告人の負担額は8~9万円程度)、私選弁護でも、相場は、着手金20~30万円、報酬金も20万円~30万円。安い先生なら、結果がわかっているからと、着金と報酬金込みで、30万円程度でも受任してくれるでしょう。

ところが、過去には、このようなケースで、着手金と報酬金合計で300万円を請求した弁護士がいたと言います。もちろん、弁護士費用は、オープン価格ですから、それが違法ではありませんし、きちんと弁護活動をしてくれれば、問題ないとも言えます。しかし、高いにも程度があります。はっきり言って、お金が無駄です。

依頼数が少なくても費用が高く設定

第二に、売れていない弁護士だから高いという最悪のケースがあります。いい加減な事件処理ばかりしているため、リピーターがなく、依頼が少ないので経済的に苦しいため、たまに来た依頼に対して、つい高額な弁護料をふっかけて埋め合わせをしようとする場合です。これは地雷のようなものです。

解決事例数や相談件数を依頼する前に確認するとよいでしょう。

費用が高い弁護士に依頼したいが分割は可能?

法律事務所によっては弁護士費用の分割払いも可能としている事務所があります。クレジットカード払いもできる事務所がありますから、カード支払いを分割してもよいでしょう。ただしすべての法律事務所が分割払いが可能なわけではありません。

弁護士費用が払えないなら国選弁護士に依頼

国選弁護士は、国が弁護士費用を負担してくれる制度です。払えない場合は、国選弁護士に依頼することをお勧めします。

刑事被告人は、いかなる場合(費用が払えない場合)でも、弁護士を依頼する権利を持っているのです。

弁護士費用が高い理由を研究して、慎重に弁護士を選ぶべき

結局、弁護士費用が高ければ、必ず良いというわけではないのです。刑事弁護士の費用には相場があります。今日では、ネットで調べれば、おおよその相場はわかるはずです。

相場より高い先生は、高いなりの理由があるはずです。刑事事件弁護の経験と実績が豊富であり、受任した即日から、弁護活動を開始できる、その事件のために、他のスケジュールを押しのけてでも、時間を割いてくれる、複数の弁護士体制で動いてくれるなど、高額な理由があり、納得できるかどうかがポイントです。これらを良く見極めて下さい。

弁護士の力量が問われる事件なら、高い弁護士に依頼すべきですし、結果が変わらないなら、国選でよいという判断もできるでしょう。

刑事事件弁護士費用は次の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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刑事事件の弁護士費用の相場はいくらなの? https://www.iaifa.org/cost-souba/ Mon, 16 Oct 2017 03:02:24 +0000 https://www.iaifa.org/?p=265

この記事を読んでわかること

  • 法律事務所によって価格は異なる(オープン価格)
  • 自白事件は着手金30万円~50万円。報酬金30万円~50万円 総額100万円以内
  • 否認事件は着手金50万円以上。報酬金50万円以上。総額100万円以上
  • 旧規定にとらわれず、総額40万~100万円程度で行う事務所もある

刑事事件の弁護士費用は全てオープン価格

刑事事件を起こしてしまったとき、私選の弁護士を依頼すると、いったいどれくらいの費用がかかるのか。考えたこともない方がほとんどでしょう。
万一のために概要を知っておくと良いでしょう。

弁護士の料金は全てオープン価格です

刑事事件の費用は、弁護士事務所で決めることができる

かつては、日本弁護士連合会と各地域の弁護士会が、報酬規定を定めていましたが、平成16年、報酬規定は廃止され、弁護士費用は完全なオープン価格となりました

廃止された旧規定を、そのまま使用している弁護士が多い

ただ、廃止されても、長年、その規定で運用されてきた相場が急に変化するものではありません。そこで、旧規定を、そのまま「報酬に関する基準」としている弁護士が多いのです。

そこで、一例として、東京弁護士会旧報酬会規の内容を見てみます。

同会規では、刑事事件を、「事案簡明な事件」とそうでない事件の二つに分けます。

自白事件

事案簡明な事件とは、事実に争いのない自白事件です。複雑さ、困難さ、繁雑さがなく、特段の労力、時間を要しない事件で、起訴前は事実関係に争いがない事件、起訴後は結審まで裁判が2~3回程度の事件です。

この事件では、起訴前後を問わず、着手金30万円~50万円の範囲内。報酬金30万円~50万円の範囲内とされています。

否認事件

他方、それ以外の否認事件などは、起訴前後を問わず、着手金も報酬金も50万円以上とされています。

参考外部サイト→(旧)日本弁護士連合会報酬等基準

刑事事件の弁護士費用の相場は、40万円から100万円の範囲

旧規定が使われる例が多いということは、多くの弁護士にとって、刑事事件の着手金及び報酬金が30万円から50万円で、相場感覚からして妥当と判断されている証左です。ただ、弁護士数が増加している影響で、若い弁護士が多い事務所では、下限30万円ではなく、下限20万円程度でも引き受ける傾向があるようです。

そうすると、刑事事件の弁護士費用の相場は、自白事件の場合、着手金と報酬金を合計して、40万円程度から100万円程度の範囲内と思っていただいて間違いありません。他方、否認事件の場合は、裁判が長期に及ぶことが多く、件数が少ないこともあって、幅が大きく、いくらが相場とは言い難いのが正直なところです。

刑事事件の弁護費用では、別途、日当・経費がかかる

刑事事件の弁護費用には、上述の弁護士費用の他にかかる費用があります。

たとえば交通費やコピー代金、出張費とかの経費ですね。記録謄写費用は、通常の自白事件でも数千円から1万円程度はかかります。否認事件ともなると、数十万円かかる場合も珍しくありません。

これは、各事務所の「報酬に関する基準」に明記することになっていますから、事前によく確認しておく必要があります。

法律事務所の料金表を参考に

依頼したい法律事務所が提示している料金表を参考にしつつ、できるだけ早急に電話によって相談して、具体的な費用を教えてもらいましょう。相場からあまりに離れている法律事務所は避けた方が賢明だから、いくら急いでいても事前に見積もりを出さないところや、明らかに高すぎる金額を言ってくるところは候補から外しておくべきです。

費用が安い事務所がよいのか?

法律のプロを1つの刑事事件に集中させることは、とてもお金がかかることであり、相場より異常に安い法律事務所も信用に値しません。どれだけ簡単な案件であっても、24時間いつでも即応して、警察署への同行などを最優先で行うのだから、着手金と成功報酬でそれぞれ40万円ぐらい請求するのが普通です。

プロとして責任を持って仕事をしている弁護士が、本来なら依頼人に請求するべき弁護士費用をカットすることはありません。依頼人を全力で救う対価として、それに使用した経費を含めて必ず計上します。逆に言えば、極端に安い法律事務所では、まともな活動を行っていない疑いすらあります。

トータルコストで考える

自分の経歴と社会的信用を守ることが第一であり、弁護士費用は必要な分だけ支払うのが鉄則です。特に、警察署から呼び出しがかかっている、拘置所にいて自分では動けない場合では、法律の専門家に助けてもらうかどうかで、今後の人生が大きく変わります。一般的な相場を調べつつも、できるだけ腕が良い法律事務所を探して、すぐに契約しましょう。

多少高くても、腕が良ければ、無駄な費用が省け、トータルコストが安くなる可能性があるからです。

刑事事件に強い弁護士の探し方は、下記の記事に詳しく書いてあります。

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【初心者向け】刑事事件弁護士の選び方8つのポイント【選択基準を公開】 https://www.iaifa.org/find-lawyer/ Sat, 17 Nov 2018 15:00:04 +0000 https://www.iaifa.org/?p=21 刑事事件の選び方を、紹介します。刑事事件はスピードが命と言われます。逮捕から48時間で勝負が決まるので、弁護士選びは、熟慮する余裕がありません。

弁護士は「私選弁護人」と「国選弁護人」の2つに分けることができます。今回は、私選弁護人の選び方の解説記事です。

刑事事件の結果は弁護士の力量に大きく左右されます。後悔しない弁護士選びの方法をまとめると下記のポイントになります。

刑事事件弁護士の選び方8つの基準

  • ①弁護士事務所の解決実績が多数(2,000件以上が望ましい)
  • ②使命感や情熱がある弁護士
  • ③スピーディーな対応ができる弁護士事務所
  • ④相談者とコミュニケーションがとれる弁護士
  • ⑤刑事弁護委員会などの外部団体での活動をしている弁護士
  • ⑥元検事の弁護士
  • ⑦依頼者に寄り添える
  • ⑧ホームページで刑事事件の弁護士費用を提示している事務所

①弁護士事務所の解決実績が多数(2,000件以上が望ましい)

弁護士は、誰でも刑法、刑事訴訟法をマスターしています。でも、たくさんの人間の手で造られる現実の検査・裁判の全てが六法や法律書に書かれているわけではありません。OJT、つまり仕事は現場で覚えさせるのが一番とは、刑事弁護も同じです。

我国は、起訴するか否か、検察が非常に広い裁量を持っています。起訴されれば、ほぼ100%が有罪です。有罪か否かは、裁判前に決まっているのですから、起訴・不起訴の分かれ目が決定的に重要です。

不起訴を勝ち取るために何をする必要があるかは実際の経験を通じてしか体得できません。刑事事件に強い弁護士の第一条件は、刑事事件の「場数を踏んでいる」ことです。

これは病院選びにも似ています。心臓や腰の手術をどこに頼むか?と考えた時には、

  • 専門医がいるか?(なんでもできるドクターXのような外科医は現実にはいません)
  • この病院には、専門医が何人いるか?
  • 「手術件数」はいくらか?

この手術件数は、弁護士では、解決実績数になります。この数が多いほど良いと言えるでしょう。

場数を踏むと、先を見通すことができます。示談ができるのか?不起訴を獲得するにはどうすればよいのか、時々刻々と変化する状況に応じて先を見通して、手を打ってくれるのです。

弁護士も色々・・・

「債務整理」といった、民事中心にいつも業務を行っている弁護士もいます。また、企業法務(契約書関連)しかみていない弁護士もいます。

弁護士といっても様々なので、刑事事件を中心に取り組んでいる弁護士に依頼するのがよいでしょう。

②使命感をもっていること

刑事事件は、スピード勝負です。起訴不起訴の決定まで、22日間しかありません。即日、被疑者に接見し、土日祝日、深夜でも活動し(警察署の弁護士接見は、土日祝、深夜も可能)、現場の調査や関係者との面会に飛び回る。多数の仕事を、短期間にこなすのは、熱心な弁護士だけです。

熱心な弁護士であること

刑事事件は、件数も少なく、弁護料や報酬も安いことが多く、お金にならないとして敬遠されることも確かです。

そんな中で、刑事事件に熱心な人は、「弁護士の使命」として、「刑事事件弁護に情熱を持っている」、「刑事事件弁護が生き甲斐」という場合が多く、そのような弁護士を見つけることができれば幸運です。

例えば、刑事事件の相談件数は3,800件に超え、解決実績が豊富な東京新橋に本店がある「刑事事件に強い弁護士」の法律事務所ホームページには、「弁護士の力量と熱意を感じてください」と記載してあります。このことからも、刑事事件を専門とする弁護士は、熱血弁護士タイプが多いことが分かります。

参考サイト:弁護士法人 泉総合法律事務所

③スピード勝負

また、スピード勝負であるから、当然ながら、「フットワーク」が軽く、「土日」にも臨機応変に対応できる状態である法律事務所であることが必須条件となるでしょう。特に「金曜日の夜」に、お酒の絡んだ痴漢事件、傷害事件、盗撮事件が起きやすいので、土曜日、日曜日が休みの事務所は、これらに対応できないと言えます。

自然と、刑事事件に対応するには、複数の刑事事件専門弁護士を土日でも動ける状態で抱えており、拠点数も豊富に連携できないと、警察署や裁判所、検察へ加害者弁護にタイムリーに対応することは難しいと考えた方が良いでしょう。

人的リソース、拠点の規模が重要になります。

スピーディーに対応できる専門知識

被疑者との接見、勾留の阻止、釈放、不起訴を目指して被害者との示談など、刑事事件弁護士の役割は多いです。面会、被害者との示談交渉、保釈申請、公判手続き、勾留阻止と準抗告など多岐にわたります。

専門的な知識がないと、スピーディーに対応ができません。

④コミュニケーション能力が重要

外科手術や家の建築であれば、腕さえ確かなら、尊大な医者や頑固な棟梁でも、黙っておまかせして良いかも知れません。

しかし、弁護活動は、モノを造るのではなく、人を説得して動かすコミュニケーションです。横柄で話に耳を貸さない弁護士では駄目です。逮捕されている本人の話さえ、きちんと聞いてくれるかどうか心配です。示談どころか、被害者を怒らせ、事態を複雑化する危険さえあります。

家族らに対し、弁護方針、見通し、手続の説明など、素人でも理解できるように丁寧に話してくれる方かどうかも重要なポイントです。「素人は黙っていろ」では、先が思いやられます。

⑤刑事事件の委員会で活動、刑事事件の専門家として有名

日弁連刑事弁護センター、弁護士会の裁判員センター、刑事弁護委員会のような刑事事件の委員会で活動している弁護士かどうかは、ひとつの目安です。

もっとも、若手が、先輩や派閥の都合で、興味もない委員会に押し込まれてしまう場合や、中堅ベテランで民事事件を多数抱え、刑事事件のことを忘れたくないから参加している場合もありますから、絶対の基準ではありません。

刑事事件関係の著書の有無も目安になります。本の中身を読んで、その弁護士の情熱や経験を知ることができます。社会的に良く知られている、刑事事件の専門家として有名であるというのは重要です。

刑事事件を詳しく解説できる本を出版できる弁護士は少ないので、おすすめ、です。

⑥元検察官(元検事、ヤメ検事)がいる弁護士事務所

元検事がいる弁護士事務所は、刑事事件に強い弁護士事務所だといえるでしょう。

検事は、刑事事件について捜査を行い、その上で被疑者を起訴、もしくは不起訴にするかを判断します。
その後、「起訴が相当」という判断に至れば、刑事裁判(公判)が行われ最終的には求刑が行われます。

つまり、弁護士は、検事とはまったく違う役割(不起訴、無罪、勾留阻止)を行うわけであり、相反する立場の検察官の業務を知っている事務所は、強みがあるといえるでしょう。

⑦依頼者に寄り添えるか?

刑事事件は、つい出来心で、とか、魔が差してしまって、といった形で、犯罪に手を染める人もおります。

人間は弱い存在ですから、そのこと自体は責められないことです。そういった人としての確かに巨悪に手をそめたかもしれませんが、依頼人の後悔する心、反省する心、改心して再出発を図ろうとする心を理解し、寄り添える弁護士であることが重要です。

お前は罪をおかした!と裁く心で接する弁護士は、言い方もきつくなりがちで、コミュニーケーションがとりづらくなることがあります。

こういった依頼主に寄り添う心をもっているか?が重要です。

⑧ホームページで刑事事件の弁護士費用を提示している事務所

在宅事件なら話は別ですが、身柄事件となると時間がないため、依頼者は焦っています。それを見透かして、無料相談の面会時に、突然、着手金100万円ですと言われるかもしれません。弁護士費用の相場はわからないことが多いので、無知を付け込まれるかもしれません。

一方、安心価格の着手金20万円で弁護してくれる、力量が確かな刑事事件専門弁護士もおります。ホームページで、明瞭に安心価格を提示している事務所なら、法外な着手金を心の準備のないまま請求される心配はいりません。

家族の重大事ですから、安易な妥協で後悔しないよう、高値づかみしないよう、安心価格で、確かに信頼できる刑事事件専門弁護士をネットでよく探しましょう。

刑事事件弁護士のホームページを見る注意点

今では、刑事事件の実績をネットで広告、ホームページ集客している事務所も多くなりました。

「刑事事件 弁護士」と検索すれば、多くの法律事務所が表示されます。もちろん、力を入れている、経験もあり自信もあるからホームページ広告を出しているので、全く刑事事件を取り扱ったことがない弁護士よりは、安心して依頼できるでしょう。

また、弁護士は、広告規制があるため、有利誤認、優良誤認にならないよう、言葉一つ一つ気を使って作成されております。よって、美容系サイトやダイエットサイトに比べたら、法律事務所のホームページ掲載されている、専門弁護士の人数、解決実績数、相談件数のデータは信頼ができると言えるでしょう。解決実績数が多い事務所のほうが安心して依頼できるといえます。

ただ、ネット検索も、もちろん目安になりますが、広告はあくまで広告です。検索上位にヒットしただけで盲信してはいけません。

最後は刑事事件弁護士に実際に会って自分の目で選ぶ

ネットの口コミ、法テラスや弁護士会、自治体の無料法律相談等での相談など、弁護士を知る機会は、格段に増えていますが、どんな人間なのかは、実際に会って確かめるしか確実な方法はありません。

会ってしまえば、断りにくい雰囲気となるのは当然ですが、「他の事務所にも相談をしていて自分にあった弁護士を探している」ということを正直に伝えれば問題ありません。無料相談を受け付けている事務所が増えましたから、フィーリング遭う事務所、話をよく聞いてくれる事務所、料金体系をしっかり説明してくれる事務所を選べば後悔しないで済むでしょう。

何名かの弁護士と会って、信頼できる方に出会うことができれば、依頼するとよいでしょう。

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