示談を断って相手が有罪になったら仕返しが怖い。示談に応じるべき?

刑事事件の加害者から示談の申し入れがあったとき、本当は、厳しい処罰を受けてほしいけれど、仕返しされるのではと思うと、示談に応じた方がいいのかな……こんな風に悩んでいる人は多いのではないかと思います。今回もまた、伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談に応じるべきか否かの判断基準はない

刑事事件の示談は、単なる金銭賠償だけの問題ではなく、加害者の処罰を求めるかどうかの問題です。国家に、自分に代わって、加害者への制裁を加えてもらうかどうかを決める、極めて情緒的な判断を含みます。たとえ肉親や家族であっても、決めることはできません。それができるのは、被害者だけです。「このケースでは示談するべき」などという客観的な判断の枠組みはありません。

本当に怖ければ、刑事事件の示談に応じるのもひとつの判断

仕返しが怖いから示談に応じるというと、それはおかしいという意見が必ず寄せられます。しかし、現実に怖い思いをするのは、被害者本人です。仕返しが怖くて、外を歩くのも不安だ、示談して楽になりたいと願うことを非難はできません。ビクビクしながら暮らすより、示談し、きっぱりと事件を過去のことにしてしまったほうが幸せな場合も否定できないからです。

仕返しは、ほとんどが杞憂

ただ、刑事事件の示談に応じないことで、仕返しをされるケースは、レアケースです。加害者は、ただでさえ逮捕・勾留・服役で、生活が大変ですから、仕返しどころではないのです。その上、仕返しで、再度、重い刑を受けるのは割に合いません。恐怖は、たいていは杞憂に過ぎません。

刑事事件の示談に応じても、仕返しされるケースもある

しかし、ストーカーのように、被害者に対する執着心が強いケースでは、示談に応じないことが、加害者をエスカレートさせる要因となることもありえます。もっとも、このようなケースは、逆に、示談に応じても、加害行為が止むわけでもない場合が多く見られます。示談に応じたかどうかは、加害者にとって、関心事ではなく、示談は防波堤になりません。

刑事事件の示談拒否が、仕返しに結びつくわけではない

こうしてみると、示談に応じたか否かが、加害行為の再発に関わっているのではないことがわかります。仕返しを考慮して、示談の諾否を検討するのは無意味です。となると、むしろ、示談に応じるかを離れて、どうすれば仕返しを抑止できるかを考えることが大切です。

双方の弁護士を通じて刑事示談交渉を行うことが必要

示談交渉は、成否にかかわらず、被害者の意見・考えを加害者に伝える、またとない機会です。仕返しを抑止するには、示談をする理由、示談しない理由、いずれであっても、被害者側の意見を相手に伝え、加害者を納得させることが必要です。そのためには、交渉にあたり、被害者側も弁護士をたて、相手方の弁護士との協議を通じて、こちらの意思をきちんと伝えてもらうことが何より肝心だということです。