刑事事件の示談書の効果・書き方は?雛形付きで刑事事件示談を解説!

示談書

刑事事件で逮捕された際、釈放・不起訴となるためには示談が必要不可欠になります。

示談の際に作成する示談書ですが、どのような書式で書けばいいのでしょうか。また、示談書によりどのような効果があるのでしょうか。

以下においては、刑事事件における示談の意義、示談書の意義、示談書の書式(雛形、フォーマット)、示談書の類似書類などに触れながら、示談書の重要性について解説することとします。

刑事事件における示談の意義

示談とは、裁判手続によらず、当事者(刑事事件の被疑者・被告人と被害者)間で話し合い、損害賠償責任の有無や金額、支払方法等を合意し、民事上の解決とすることです。いわゆる民事上の和解になります。

示談内容や具体的事情にもよりますが、一般的には、示談後は、被害者は被疑者・被告人(以下、両者を意味する場合、単に「被告人」と総称します。)に損害賠償等を改めて請求できなくなります。

刑事手続と民事的な解決となる示談とは、本来的には別のものですから、示談が成立したからといって被告人に対する刑事処分が必ず軽減されるとは限りません。しかし、警察や検察庁、裁判所では、刑事処分を決めるに際し、示談の成立を被告人に有利な事情として考慮し、刑事処分を軽減する可能性があります。

敷衍しますと、捜査段階においては、示談が成立した場合、検察官は、起訴・不起訴の決定をするに際して、公判請求ではなく略式命令請求にとどめたり、あるいは、不起訴処分(起訴猶予)で終わらせたりすることも考えられるのです。

また、示談の成立によって、検察官は、事案によるとはいえ、事件の早期処理が可能になり、被疑者を早期に釈放することも考えられます。

そして、示談が成立した場合には、その結果は最終的な判決において有利な情状として斟酌されますし、保釈の許否の判断でも有利な材料になるといえるのです。

このように、被害者のある犯罪では、示談の重要性は高いのです。

示談書の意義

当事者間で示談が成立しても、その結果が利用できませんと刑事処分を有利に導くことはできません。刑事事件では、捜査段階、公判段階を問わず、証拠に基づいて手続が進められていきます。

示談書は、示談成立の結果を証明する証拠として大きな意味を持つのです。

確かに、示談が成立した結果は、示談書による証明だけとは限りません。しかし、後日、示談の成否をめぐって争われたような場合、当事者の供述のみでは、水掛け論に終わってしまう可能性があります。

そのようなトラブルを避けるためにも、示談書の作成が重要になってくるのです。

示談書の書式(雛形、フォーマット)

示談書の記載で最も重視されるのは、被害回復があったという事実です。しかし、被告人側の事情によっては、支払が後日になったり、一括ではなく分割払になったりもします。

そこで、示談書が民事上の解決に資するように、契約書の体裁を整えておく必要があります。ここで、参考のため、「示談書」の雛形を示しておきますが、このような内容であれば、必要な要件は網羅されていることになります。

示  談  書

○○●●(以下、「甲」という。)と△△▲▲(以下、「乙」という。)は、下記事件(以下、「本件」という。)につき、以下のとおり示談した。

平成〇年×月××日午前(後) 時 分ころ、・・・・(場所)先路上において発生した乙の甲に対する傷害事件

1 乙は、本件について深く反省し、甲に対して謝罪の意を表し、甲はこれを受け入れる。

2 乙は、甲に対し、本件の示談金として金□□万円の支払義務があることを認める。

3 乙は、甲に対し、前項の金員を本日支払い、甲はこれを受領した。

4 甲は、本件につき、乙を許すこととし、厳重な処罰は求めない。

5 甲と乙は、本件に関し、本示談書に定めるほか、何らの債権債務関係のないことを相互に確認する。

以上

平成 年 月 日

(甲)・・・・・・・・・・(住所)

〇 〇 ● ●  ㊞

(乙)・・・・・・・・(事務所の住所)

△△▲▲代理人

弁護士 ◎◎⦿⦿ ㊞

この「示談書」に沿って説明を加えますと、当事者間の契約書である以上、合意すべき内容としては、最低限、①乙が甲に対し、損害賠償責任を負う原因となった事実(事件内容)の特定、②乙が甲に対し、示談金として支払義務のある金額、③その金額の支払方法、④甲乙間には、本件に関し、他に債権債務関係がない旨の記載が必要となります。

そして、③の支払方法については、㈠支払が終わっていれば、支払日とその受領の事実の記載をし、㈡後日の一括支払であれば、確定の期限に、前記②の金額を、甲の指定する口座に振り込んで支払う旨、分割支払であれば、支払期間(回数)と1回の支払額のほかに、毎年又は毎月の何日に(例えば、毎月末日限り)、甲の指定する口座に振り込んで支払う旨を定めることになります。

「示談書」にある他の条項(乙の反省・謝罪の意、甲の宥恕・嘆願の意)は、示談の法的性格に含まれないものの、示談書が作成される場合には、「乙(被告人)の反省文・謝罪文」、「甲(被害者)の嘆願書」に代わるものとして、一般的に、示談書に盛り込まれる例が多くなっています。

また、特に被害者の希望で盛り込まれることのある「接触禁止条項」、例えば、「示談書」の条項に、「乙は、甲に対して、いかなる場合でも、今後は一切接触しない。」旨を付加したとしても、上記の条項に比し、刑事処分の結果にそれほど影響を与えないため、必ず示談書に記載されるというものではありません。

以上に加え、「示談書」のように、作成日付、当事者の住所、署名(又は記名)と押印、代理人による場合は、その住所とその旨(○○代理人)、代理人の署名(又は記名)と押印により、示談書は完成します。

(1) 証拠としての示談書

検察官あるいは裁判所が、示談書を証拠として扱う場合、証拠能力(その証拠を事実認定の資料として用いることができる法律上の資格をいいます。)があることが前提となります。

示談書の成立に疑いがある場合(例えば、委任状を偽造して代理権がない者が示談した場合、あるいは、当事者が未成年者であれば、法定代理人―親権者・後見人―が示談することになりますが、法定代理人でない者が示談した場合など)には、検察官であれば捜査を尽くし、裁判所であれば証拠調べの方式に従い、作成経過を明らかにした上で、証拠能力があるかどうか、信用できるかどうかを調べますので、法的な効力が問題になることはないと思われます。

示談書の類似書類

示談書は、公務所又は公務員がその職務上作成すべき公文書ではなく、私人の名義で作成される私文書です。

示談書類似のものとしては、被告人作成の反省文及び謝罪文、被害者作成の嘆願書があります。

被告人が作成する反省文の場合、その内容としては、「犯行に至るまでの自分の気持ちの動きとか、自分の行為が被害者、家族、社会に及ぼした影響、犯行と自分の性格との関係、現在の気持ち、心境等」を正直に記した書面となるでしょう。

また、被告人作成の謝罪文は、上記の反省文に準じ、被害者に対する心底からの謝罪の気持ちを表したものになると思われます。

したがって、裁判実務では、それらの内容自体、被告人質問によって容易に代替することができるため、被告人質問でまかなっていることが多いようです。

なお、量刑事実(情状)については、厳格な証明(証拠能力ある証拠による適式な証拠調べ手続を経た証明)ではなく、自由な証明(厳格な証明によらない証明)で足りるとする考え方もありますが、裁判実務では、少なくとも、量刑の結論に影響を及ぼす量刑資料については、厳格な証明により行われることが通例とされていますので、以下では、それを前提としています。

刑事裁判における証拠の観点では、被告人作成の反省文及び謝罪文は、いずれも刑訴法322条1項の「被告人が作成した供述書」に該当し、また、被害者作成の嘆願書は、同法321条1項3号の「被告人以外の者が作成した供述書で、裁判官面前調書や検察官面前調書以外の書面」に該当します。

したがって、被告人作成の反省文及び謝罪文は、検察官の意見が不同意の場合でも、被告人質問でまかなえるため、証拠として採用する必要性があるかの点を措けば、同法322条1項の「特に信用すべき情況の下にされたもの」といえるので、証拠採用される可能性が高いのです。

しかし、被害者作成の嘆願書は、検察官の意見が不同意であれば、同法321条1項3号の「被害者の供述不能、かつ犯罪事実の存否の証明に不可欠」といえないので、証拠とはなり得ません。

以上からして、被告人作成の反省文及び反省文が証拠となったとしても、それは、あくまでも「被告人が犯行についての反省や被害者に対する謝罪の気持ちを述べていること」の意味にとどまることになります。

他方、被害者作成の嘆願書が証拠になった場合には、「被害者は、被告人を許し、刑事処罰は求めない、あるいは厳重な処罰は求めない」ものとして、被告人にかなり有利な証拠価値を持つことになります。

示談書の付加的条項に関する説明

なお、「示談書」にあるように、「被告人の反省・謝罪の意」の条項が盛り込まれた場合には、被害者が「被告人の犯行についての反省や被害者に対する謝罪の気持ちを了承して、これを受け入れること」までも含むものとして、被告人作成の反省文や謝罪文よりも、被告人に有利な証拠として扱われることになります。

他方、「示談書」雛形にある「被害者の宥恕・嘆願」の条項は、被害者作成の嘆願書と同じ証拠価値となります。

正確な示談書作成は弁護士事務所へ相談

このように、被害者のある犯罪においては、示談が非常に重要な役割を持ちます。

もし刑事事件で逮捕されてしまい釈放されたい場合、不起訴になりたい場合、在宅事件でも罰金前科を免れたい場合には、お早めに刑事事件に強い弁護士に相談してください。