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示談で弁護士ではない知人を代理人にする事はできるか?

【弁護士でなくても、刑事事件の示談交渉はできるか?】

最近、弁護士が主役の犯罪ドラマが多いです。物語の中で、弁護士が、犯罪の被害者と示談の交渉をしているシーンがよく見られます。これは弁護士でなければいけないのでしょうか?弁護士でない人が加害者の代理人になれるのでしょうか?いつものように、弁護士をしている伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談交渉は、誰でもできる!

結論から言いますと、刑事事件の示談交渉は、賠償金についての民事の和解交渉ですから、誰でも代理人になれます。

弁護士嫌いの被害者で、弁護士を立てると交渉に応じてくれないとか、当事者の共通の友人が仲介した方が円満解決が望めるとか、弁護士ではない方を代理人とすることが適切なときもあるのです。

ただし、伯父が言うには、必ず弁護士と相談しながら、交渉を進めるべきだということです。

刑事事件の示談交渉が、加害者の不利に作用するケース

例えば、代理人の人選が不適切で、問題が生じることがあります。代理人が強引に被害者に示談を押し付けたときは、後に、脅かされた、騙されたという話が被害者から出て来ます。

示談書が裁判所に提出されれば、検察官は、それが本物かどうかと合わせて、真意で示談に応じたのかを、被害者に必ず確認します。真意でないという話になれば、検察官は、必ず、その言い分を聴取書にして裁判所に提出することになります。こうなると、被害者の意思に反した示談だったと裁判官に思われてしまい、かえって加害者に不利になる危険すらあります。

相手は、犯罪被害者です。仮に代理人の口調が少々強かっただけだったとしても、心にトラウマのある方には、脅迫に映る場合もあります。被害者の心情に十分な配慮が求められるのです。しかも、相手に配慮した交渉を行ったことを証明するために、必ずメモ、録音などで、交渉経過を記録しておくべきなのです。

被害者の過大要求と、刑事事件の示談交渉に代わるもの

逆に、被害者が無茶な要求を繰り返して示談に応じない場合、例えば、全治2週間の打撲なのに、慰謝料100万円を要求し、支払わなければ、頑として示談に応じないときはどうでしょう。弁護士であれば、それが示談金の相場に比較して過大すぎることはすぐに判断できます。粘り強く交渉しても無理なときは、交渉を打ち切ったうえ、加害者は、通常の相場といえる金額を提示しており、示談が成立しないのは相手方の不相当な要求に原因があるという報告書を作成、提出して示談書の代わりとします。あるいは、被害者が受け取らないことを理由として、相当と思われる金額を法務局に供託したり、贖罪寄付に充てたりする方法もあります。

民事とは違う、刑事事件の示談交渉の最終目標とは?

刑事事件の示談交渉は、金銭問題が解決されたその先に、裁判官や検察官に、加害者に有利な事情として考慮してもらうという最終かつ最大の目標があるのです。その目標を達成するために、一般の民事の示談交渉とは違う工夫が必要になります。ですから、仮に、弁護士でない方に代理人をお願いする場合であっても、弁護士と相談しながら交渉を進めてもらうことが望ましいということです。

示談を断って相手が有罪になったら仕返しが怖い。示談に応じるべき?

刑事事件の加害者から示談の申し入れがあったとき、本当は、厳しい処罰を受けてほしいけれど、仕返しされるのではと思うと、示談に応じた方がいいのかな……こんな風に悩んでいる人は多いのではないかと思います。今回もまた、弁護士をしている伯父に聞いてみました。

刑事事件の示談に応じるべきか否かの判断基準はない

刑事事件の示談は、単なる金銭賠償だけの問題ではなく、加害者の処罰を求めるかどうかの問題です。国家に、自分に代わって、加害者への制裁を加えてもらうかどうかを決める、極めて情緒的な判断を含みます。たとえ肉親や家族であっても、決めることはできません。それができるのは、被害者だけです。「このケースでは示談するべき」などという客観的な判断の枠組みはありません。

本当に怖ければ、刑事事件の示談に応じるのもひとつの判断

仕返しが怖いから示談に応じるというと、それはおかしいという意見が必ず寄せられます。しかし、現実に怖い思いをするのは、被害者本人です。仕返しが怖くて、外を歩くのも不安だ、示談して楽になりたいと願うことを非難はできません。ビクビクしながら暮らすより、示談し、きっぱりと事件を過去のことにしてしまったほうが幸せな場合も否定できないからです。

仕返しは、ほとんどが杞憂

ただ、刑事事件の示談に応じないことで、仕返しをされるケースは、レアケースです。加害者は、ただでさえ逮捕・勾留・服役で、生活が大変ですから、仕返しどころではないのです。その上、仕返しで、再度、重い刑を受けるのは割に合いません。恐怖は、たいていは杞憂に過ぎません。

刑事事件の示談に応じても、仕返しされるケースもある

しかし、ストーカーのように、被害者に対する執着心が強いケースでは、示談に応じないことが、加害者をエスカレートさせる要因となることもありえます。もっとも、このようなケースは、逆に、示談に応じても、加害行為が止むわけでもない場合が多く見られます。示談に応じたかどうかは、加害者にとって、関心事ではなく、示談は防波堤になりません。

刑事事件の示談拒否が、仕返しに結びつくわけではない

こうしてみると、示談に応じたか否かが、加害行為の再発に関わっているのではないことがわかります。仕返しを考慮して、示談の諾否を検討するのは無意味です。となると、むしろ、示談に応じるかを離れて、どうすれば仕返しを抑止できるかを考えることが大切です。

双方の弁護士を通じて刑事示談交渉を行うことが必要

示談交渉は、成否にかかわらず、被害者の意見・考えを加害者に伝える、またとない機会です。仕返しを抑止するには、示談をする理由、示談しない理由、いずれであっても、被害者側の意見を相手に伝え、加害者を納得させることが必要です。そのためには、交渉にあたり、被害者側も弁護士をたて、相手方の弁護士との協議を通じて、こちらの意思をきちんと伝えてもらうことが何より肝心だということです。